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K A G E R O U

 




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噂の「KAGEROU」齋藤智裕 著を読みましたよ。
各所で酷評!とか言われていますが
僕が想像していたよりも全然まともでしたよ。
「会話文が多く1時間ちょっとで読破できる」という話を聞いたとき
正直、なんだラノベかよと思ったのですが
挿絵が無いのはもちろん、
文字のみでその場の状況や登場人物の心情を描写する手法は
ライトノベルや携帯小説と一緒にしてはいけないものになっています。
この作品が本当に純粋に齋藤がひとりの能力で書き上げた
処女小説作品なのだとしたら、いや大したもんだと思いました。
逆に、ゴーストライターが居たり代理店やプロの編集者が
作ったものだとしたら、あまりにもオソマツすぎます。
電通か博報堂かテリー伊藤か秋元康か知りませんが
ウラでお膳立てをした人物はたぶん存在するのだと思いますが
何から何までねつ造して名前だけ貸せと言うことはないと信じたい。
表現の稚拙さも含めて
僕は、齋藤智裕が自身の感性で書いた と、現時点では考えています。
以下はネタバレ含みますが
哀切かつ峻烈な「命」の物語
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。
そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分かつものとは何か?人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。
そこで彼は一つの儚き「命」と出逢い、
かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。

これは初版本の帯に書かれたコピーです。
まず「哀切かつ峻烈な「命」の物語」これは言い過ぎ。
悲しすぎることも厳しすぎることもありません。
本文の文体と表現や語彙がまるで違いますので
おそらく帯の文章は別の誰かが書いているようです。
これは出版業界の通例を見てもおかしなことではありませんが
いかんせん、ここに書かれていることがほぼ内容の全てで
ここに「臓器移植」「少女」を加えたらカンペキです。
帯の機能を越えちゃってますね。
1時間ちょっとで読めるということは映画化を考えている
という意見もあるようですが
淡々と切々と陰々と滅々と進む物語です。
昔のフランス映画のように起伏や抑揚がありません。
舞台転換の少なさ、会話とひとり語り主体、
大がかりな特殊装置を必要としない、などの点から
僕は舞台劇の方が適していると考えます。
演出家と脚本次第では大化けする気がします。
最後にいくつか気になった点を
主役のバックストーリーが足りなさすぎる
40才に設定した意図もまるでわからないし
死を決意するほどの悲壮感や行き詰まり感がまるでない。
「ビリー・ジーン」のMJ、バカボンパパ、ブラックジャック
スパイダーマン、フェルメールの絵など
まるで〜〜のようにという例えがなんともイメージ貧困で苦笑する。
モーリーは喋りすぎのご都合キャラ。
「手動」ってギミックは面白い。
キョウヤの顛末が伏線不足。 などなど
決して絶賛する面白さはありませんが
これが売れないと水嶋ヒロがメディアに出てこないもんですから
影ながら応援してます。もっと精進してください。
ちなみに俳優:水嶋ヒロの大ファンだった僕のヨメは
「まったく興味ない。別に読みたくない。」だそうです。

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Comment

  1. soramove より:

    書籍「KAGEROU」命を考えるには少し軽いか

    「KAGEROU」★★★フツーだった
    齋藤 智裕・著 ,
    ポプラ社、2010/12/15
    ( 236ページ, 1,470円)
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    第5回ポプラ社小説大賞受賞作。
    水嶋ヒロの処女作、高額の賞金を辞退とか
    話題つくりが利いたのか、100万部突破らしい。
    「廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンスから
    男はまさに飛び降りようとしている、
    それを間一髪助けた黒服の男。
    終わりを迎えようとする命と
    必死で繋いでいこうとする命、
    結構真面目な題材に正面きって取り組んだ作品」
    なんか胡散臭い、
    どこか売名行為というか
    なーんか色んな先入観を持ってしまうのは
    これだけ騒がれたら仕方ない、
    作者も色々思うんだろうけど
    隠すなら今も隠し続けるべきで
    晒してしまったなら
    その全てを受け入れるしかない
    それがセレブってことなんだろう。
    ネット予約して買った本、
    さっそく読み始めて
    文章は巧くないけど、
    ただひとつ「書きたい」ことがあるのは分った、
    それでいいんだよな、
    そんなふうに思いながら
    次の展開を待った。
    でもね
    真面目で志の高いところから
    出発してるのは分るけど
    もうひとつ「何か」想像させるもの
    「何か」驚きが
    欲しかったな。
    読みやすいし
    真面目な題材を黒服との
    軽妙なやりとりで
    最後まで読ませきったのはなかなか。
    でも面白かったかと聞かれたら
    それほどでもなかったな。
    これが2000万円もの大賞受賞作品というから
    いけないんだ、
    役者、水嶋ヒロの処女作という
    コピーでなら
    次の作品も期待したい気持ちになったはず。
    自分は次回作は
    書店で立ち読みくらいでいいかな。
    ★100点満点で60点★
    soramove
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    何も無いところから「何か」を生み出す作家の作業は
    想像出来ないほど大変だろう、だから次回ガンバッテもらいたいものだ。
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