おおかみこどもの雨と雪

   




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「時をかける少女」「サマーウォーズ」に続く、
細田守監督作品第三弾「おおかみこどもの雨と雪」の
試写会が当たったので観てきました。
少しバレありますのでご注意を。
19歳の大学生”花”は”おおかみおとこ”と恋に落ち、
ふたりの子供に恵まれ、幸せな生活を送っていた矢先
“おおかみおとこ”は死んでしまう。
残された花は”おおかみこども”の姉弟を抱え
人々の奇異の目や生活上の問題から離れ、
また、いずれ二人が成長したときに
“人”として生きるか”狼”として生きるか
選択できる生活が送れる地を求め、山里へ移り住む。
緻密な日常描写にファンタジーを織り込む手法に定評がある細田守監督、
本作でも例に洩れず
厳しい都会の現実や人の暖かみ、人の愛情、狼の本能などを織り交ぜて
ふたりの”おおかみこども”の成長を描く。
人間の子供では「思春期」に当たり
狼では「成熟期」に当たる生後10年頃
活発で獣にも物怖じしなかった姉”雪”が
恥じらいや後悔から人間らしく生きることを選ぶのに対し
病弱で主張を持たず、狼であることをある意味毛嫌いしていた弟”雨”は
ある事件を境に自然への回帰を意識しはじめる。
人間でもよくある
女だからこそ、男だからこそ
姉だからこそ、弟だからこその意識の違い
家族愛の裏返しの反目、抗えない本能
“人”と”狼”の生きる道を絡めて
次第にふたりはそれぞれの生き方を選択する。
先行して行われたフランスでのワールドプレミアでは
スタンディングオベーションが止まなかったらしい。
美しい映像、緻密な描写
可愛らしく画面中を動き回る魅力的な”おおかみこども”たち。
少し話がかけ足過ぎるのが気になるが、
余計な部分を削ぎ落とした結果と思えば理解できる範囲。
物語もまっすぐ1本筋が通っていて、よくできた”上手い”作品だと思った。
ただ、
これまでの2作では、主題を描写するための一手法として効果的に挿入されていた
“涙の表現”や”絆の実感”がそうとう重要に前面視されているため、
前2作のような明快な”楽しいエンターテインメント”を求めて観ると、
残念ながら、少し肩すかしを食らうかもしれない。
余談だが:
日本では孤独なイメージが強い野生の狼は、本来は群れを作る生き物。
「一匹狼」という表現はもともと
他と協力しなくても強い者のことではなく
群れからはぐれた寂しく可哀相な人のことを指しているのだが
その辺、作る側の意識と観る側の意識が
上手く合致していない気がしないでもない。そういう違和感は感じた。
まぁ細田ファンなら観て損はない完成度。だが過度な期待はしない方が吉 かな。

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