ONEPIECE 872 「とろふわ」

   




ホールケーキ城が倒壊する。
麓の町全体よりも巨大な建造物の崩落に、首都「スイートシティ」は大パニック。

ステューシーとモルガンズ以外には誰一人として事情を知るものが居らず、何が起きたのか分からないビッグ・マムも動揺を隠せない。


おまえらもちつけ!
ただひとりカタクリが冷静なのは、このあと「なんとかなる」未来を予見したからなのだろう。


そう、シュトロイゼンが「ククククの実」の能力で、崩れる城を「ゆるふわ・とろふわ」のホールケーキに作り変えたため、スイートシティには生クリームやスポンジケーキが降り注ぎ、大事故には至らなかった。


・・・この質量なら降ってきたのが生クリームだろうと余裕で死ねると思うけどな・・・。


この騒ぎに乗じて連合軍は脱出。共同戦線もここまでとなった。
崩れる城からシーザーが離脱するのをイチジが見送った以降のジェルマ66の行動は不明。この場には居ない。


怒りが収まらないモンドールの号令で、いささか冷静さを取り戻した息子たちの追手がルフィたちにかかる。

しかし・・・

ママの様子がおかしい。これは「食い患い」だ。

ジェルマの科学力、極上のウェディングケーキ、そして玉手箱・・・
ママが今回の茶会で楽しみにしていたものは、何ひとつ手に入らなかった。そればかりか、ルーキー二人に愚弄され、ジンベエに三行半を突きつけられ、シーザーを取り逃がし、尊敬するマザー・カルメルのたった一枚しかない写真を割られた。


その慰みになるどころか、口に入ったものは味気ない「ただの菓子」だけ。

一口も口に出来なかった史上最高のウェディングケーキへの満たされない思いが「食い患い」を引き起こした。しかし、素材を厳選した最高の出来栄えだった巨大ケーキを再現することはほぼ不可能・・・これは最大最悪規模の「食い患い」が予想できる。

さぁ大変だ。息子たちはルフィやベッジを追うどころではなくなる。ルフィたちが無事トットランドから逃げおおせる可能性が出てきたが・・・ちょっと待ってほしい。

ママは自分に歯向かう者を絶対に許さない。歯向かっておらずとも「お茶会の招待を断った」というただそれだけで、大事な人の首を送りつける徹底ぶりだ。闇社会の大物を大勢招いたビッグイベントの場でルーキー二人に大恥をかかされたとあっては、今後の闇社会での取引に大きく差し障る。
ママが正気に戻れば、翌日にはクルーの関係者あまねく全てに刺客が送られるに違いない。
このまま逃げることは、何の解決にもなっていないことはもちろん、その場しのぎにもならないのだ。

では、例えばこの「食い患い」を、シュトロイゼンが食材を調達し、サンジが調理することで解決できるとすればどうか。

せっかく壊滅を免れたと思った首都スイートシティはママによってふたたび壊滅の危機、制止に入った息子や逃げ遅れた市民には、モスカートのように寿命を奪われた死人も出るだろう。これほどの大惨事を止めることができるのなら、和解の道はあるかもしれない。

しかし、ママは自分の「食い患い」を自覚していない。
息子たちがルフィと和解の道を模索しようとも、正気に戻ったビッグ・マムが納得しない限りルフィたちへの怒りが消えることはない。
その巨大なハードルを超えてルフィたちと和解するには、ママに「食い患い」を自覚させる必要がある。

鍵を握るのはシュトロイゼンだ。
彼なら、ママがゼフの料理人としての腕を高く評価していることも知っているはず。サンジなら可能、いや今この場ではサンジにしか不可能であることを、シュトロイゼンは知っており、さらに彼だけが、過去の真実を知っているのだ。

しかし、ママに「食い患い」を自覚させること、それはときどき街が破壊される理由をはじめ、とりもなおさず、ママが巨人族に嫌われ続けてきた理由や、マザー・カルメルが突然失踪した「あの事件」の真相を、ママに突きつけることに他ならない。そこにまた新たな修羅場が待ち構えていることは容易に想像がつく。

精神崩壊をも招きかねないその衝撃の事実を、シュトロイゼンはママに告げることができるのだろうか。

余談だが:


シュトロイゼンの「ククククの実」は、この世のあらゆる物を「食材」に変える能力だという。調理せずに食材そのものを食っても味気ないというわけだ。なるほど、食うに困ることはないが、美味くはない・・・と。
なら「クククク」という名前はどうかと思うが・・・。

 

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