はじまりましたね。
2003年に同じボンズ・ANIPLEX制作ですでに一度アニメ化されている本作ですが
原作が人気になるやいなや、即アニメ化が決定したため
あっという間にストーリーが追いついてしまい、後半はほぼオリジナルの展開に。
アレはアレで有りっちゃアリなんですが
アニメオリジナルのホムンクルスが名前と性格がリンクしてなかったり
ダンテの行動原理がいまいちしっくり来なかったり、
そもそもホムンクルスの定義がまるで違う・・・とか
ホーエンハイムの扱いが・・・・とか
おざなりにしちゃダメな部分で釈然としないところが顕著に見られ
作品のパッケージとしては、うまくまとめ上げられてはいるものの
今となって、原作のその後の展開を見た者としては
アレを本当に「ハガレン」として受け入れられるのか
という気持ちにさせられるのは当然の所。
原作者の荒川弘に今後の展開予定とか結末を
聞いた上で制作が始まったにもかかわらず
原作でじっくり時間を掛けて描写したいであろう重要なエピソードなんかは
当然アニメで先にやってしまうワケにもいかず
相当な腹をくくってはじめたシリーズだっただろうと
制作者の苦労は想像に難くない。
そんな中、今回は原作準拠だというので
特にレビューする必要もないだろうと思っていたら
・・・ずいぶん違いますね。
いや導入のエピソードがオリジナルなのは別にいいんですけど、
世界観がすでに随分違うな・・・と。
のっけから「大総統が実は悪」と臭わしていたり
国家錬金術師の内部にもその抵抗勢力が存在するとか
話がシリアスすぎます。
てか、物語は
錬金術を使って、失った身体を取り戻すエルリック兄弟の旅からはじまり
旅を続けるうちに少しずつ事の真相が明らかになっていく展開が面白いのに
オープニング映像にいきなり若い頃のホーエンハイムが出てくるとか
正直ありえません。
一度アニメ化されているし、原作のファンも多いし
いまさら原作準拠で作り直すと言っても、そのままなぞっては能がない
てことなんでしょうか。
しかし、いきなり原作終盤のテンションではじめられても困ったものです。
この作り方は、初心者に優しくありません。
やはり物語の謎の重要な部分やキーパーソンは、
せめて解明されるクールまで隠しておいて欲しいところ
話作りの上手い人は、ずっと先の展開があらかじめ決めてあっても
謎を小出しにして、上手に伏線を張って、
後でそれらを上手く回収しながら、きれいに風呂敷をたたむものですよ。
重要な小物を全部チラ見させてしまっては
謎が謎ではなくなってしまいすっかり興ざめですよ。
こういうところからも、今作は
すでに原作を読み込んでいる人(すなわちお客さんとして確定している人)向けに
作られているとしか思えません。
人気作だからもう一度映像化して金儲けしよう
という考えが透けて見えるようで、何だかイヤな感じです。