原作:58話~62話途中まで
コミック15巻まるまる一冊を使って描かれたイシュヴァール殲滅戦のくだりが
中尉の語りでグイグイ進む
コミックでは、スカー周辺のイシュヴァールの動きも交えながらだったが
まったくアメストリス軍からオンリーの視点で。
マスタング大佐やホークアイ中尉、ヒューズ准将、アームストロング少佐などが
大勢の人を不本意な戦いで殺戮し、どれだけの重荷と葛藤を背負ってきたかがわかる
重要なエピソードなんですが
中尉の主観だから仕方ないのか
アームストロングの苦悩や、ノックス先生の絶望、
無能な司令官の話なんかはすべてハブられ、
あまつさえ
キンブリーが投獄された原因の事件も描かれず。
殲滅戦も終わり、
意識する余裕もなかった部下たちと、しばしうち解けるマスタング
この部下たちは後ほどセントラル攻防戦で活躍する大事な人材なんですけど
あとで困りませんかね。こいつら誰?って。
そのくせ、負傷したコマンチじいさんや
バスク・グランなどをきっちり描写するという、よくわからない尺の使い方
しかもグラン大佐は、無意味に名乗りを上げるおかしな人になってる。
ロイとリザの再会がまったくドラマティックじゃなくなってるし
マルコーの賢者の石実験は、
コミックでは軍籍を剥奪されたイシュヴァール人たちを材料としていました。
イシュヴァール人兵の始末と新兵器の開発を同時に行うという
物語上の合理性を感じさせたコミック版とは違い
おそらくいわれなき罪で捕らわれたイシュヴァール人を材料とした今作の実験は
より残虐非道で筋も建前もない所業だったように描写されました。
死から目を背けてはいけない、殺した人々を忘れてはいけない
なぜなら、彼らは殺した私たちのことを決して忘れないから
その覚悟で軍を変えようと奔走するマスタング大佐と
それに従う自分たちのことを語るこのセリフはコミックにはないもの
このセリフはキンブリーが正論としてイシュヴァールで説いたもので
二人がそれからずっとこの言葉を重く背負って来たというなら
キンブリーの最期ももう少しコミックとは違ったものになるでしょうか。
それはそうと、
ホークアイ中尉の背中・・・一瞬でしたね。
まぁ、この作品にエロを求めるつもりはなんだけど、
なんというか、もう少しこう・・・ まぁいいや。
背中の刺青、コミックでは襟足から覗くような位置にありましたが
少し下に下がって大きさもやや大きくなってますね。
しかも中尉の背中の刺青が何なのか明確に語られず終いで
大佐が父親の生涯の研究の集大成を負った男ではなくなっています。
今見直したら、一応描写されてた。
でもいずれにせよ、背中を焼いた経緯は語られていないし
いまいち中尉と大佐の関係がつかみ取れない。
とにかく、すごく残念な回でした。