コミックス7巻05~09章中盤まで。
シュトロハイムが遺した情報に従い
ジョセフとスピードワゴンはローマへ。
スパゲッティ・ネーロ
行儀や作法がどうとか言う以前に
確か欧米人は『麺をすする』ことができなかったと記憶しているが
原作でも「ズビズバー」と音を立てて食べているのでよしとするか。
レストランにいたイヤミなスケコマシをお仕置きするべく
ジョセフは波紋を悪用するが
原作で使われている「イタ公」という表現が
「キザ野郎」に変更されているのは
例はあえて出さないが
日本語で「〜公」という呼び方は概ね蔑称であり
放送禁止かどうか以前に慎むべき表現であることは間違いない。
ナチスのときとは自主規制の意味がかなり違う。
メキシコの洞窟で発見されたレリーフ
原作よりもサンタナの扱いがことさら小さく
格下感が強調されている。
角の形状と位置関係から身分の上下を想像した
スピードワゴンの危機意識はすばらしい。
あれだけ苦戦したサンタナより、遙かに強大な敵がまだ三人存在することを
一切の希望的観測抜きで冷静に危惧しているのだ。
4人ひとまとまりになっている原作程度ならまだしも
ここまで大小と上下の差違をつけられると
「まさか身分関係を表してるんじゃないよね・・・」とか
普通なら考えてみたいところだ。
上下・主従の関係がある3人はローマで2000年眠り
遙かに若造で波紋の存在すら知らなかったサンタナは
ひとり離れた地の遺跡で眠っていた。
実際、4人の力関係はこのアニメ版のレリーフに近く
昔からよく見てきた
少年マンガにおける悪役四天王の構図に似ている。
「サンタナを倒したくらいでいい気になるな
あやつは我ら四天王で一番弱いのだからな」とかなんとか。
そんなことより気になるのは
サンタナの眠る遺跡を誰が作ったのかということだ。
まさかサンタナが自分の眠る神殿を築いたわけはなく
サンタナを畏怖し、祭り上げた2000年前のメキシコの民が作ったのか。
メキシコといえば、アニメではさほど詳しく語られていないが
原作第一部冒頭に出てくるアステカの民が存在したのがメキシコだ。
アステカが栄えたのは6〜700年前
彼らの持つ石仮面が
サンタナの所持品から流出したものであることは疑いの余地が無く
彼らが歴史から忽然と姿を消した理由は
(史実ではスペインに滅ぼされたそうだが)
本作では、石仮面以上の力を欲して遺跡の深部を求め
サンタナにより近づこうと禁忌を犯したため滅亡
すなわち、サンタナの養分となった可能性がうかがえる。
(もしくは全員吸血鬼になって消滅。太陽の民だもの)
2000年前
ひっそりと暗闇で柱に同化し眠りについたサンタナ。
周囲には石仮面を配置し、
その魔力に魅入られた人間を養分とする
食虫植物やチョウチンアンコウのようなシステムだったのだろう。
そのうちサンタナの存在を知り
石仮面の力を利用する者が現れる。
しかしその人智を越えた能力を畏れたため遺跡に封じ込め
その対抗策を後生に託すために壁画を遺したと考えれば
柱の男(角が生えている)が太陽の光に弱い
かのような記述が遺されていることにも説明がつく。
ん〜?
だとすると上位の三人のレリーフは誰が彫ったのだ・・・・
アニメではこのアステカの風習のくだりがカットされているため
その経緯が汲み取りにくいのが残念だ。
え〜、閑話休題
ウィル・A・ツェペリの孫、シーザー・ツェペリ
バンダナを巻いていない。
原作でも、初登場となるレストランのシーンでは
バンダナを巻いていなかったが、
キャラが弱いと思ったのか、その次の話からは巻いている。
シーザーのトレードマークなのだから
アニメではファーストインプレッションで
印象づけておいて欲しかったところだ。
原作でシーザーがタバコを吸っていたのがカットされた。
シーザーは20歳だが、深夜アニメとはいえ
タバコを推奨する表現はTVでタブーなのか
代わりに
ジョセフたちが普通のコーヒーカップでコーヒーを飲む中
ひとりだけデミタスカップに注がれたコーヒーを飲んでいる。
カフェ・グレコのイタリアンコーヒーとみた。
なかなか洒落ている。
イタリアとドイツは同盟国なのだぜィ!
劇中の時代は1938年
1940年の日独伊三国同盟以前にも
ドイツとイタリアは微妙な同盟関係に確かにあった。
しかしその同盟関係はムッソリーニの本意ではなかったハズだし
イギリス人に向かって誇らしげに言うことでもない。
ここはマルクの言うとおり
スピードワゴンの情報(と金と人脈)がものを言ったと考えるのが正しい。
シーザーは単にジョセフに対して居丈高に
ものを言いたかっただけだろう。
ローマの地下に眠る三人の柱の男
カーズの指先や三人の周囲に光る宝石のことは後々わかる。
ちなみに、原作ではこの時点で宝石は描かれていない。
そして目覚めるカーズ・エシディシ・ワムウ
グロ表現がんばってるな。
第一部では真っ黒にされていたであろう表現が
きっちり描かれている点は評価に値する。
いちいちグロ表現を塗りつぶしていたら
このシーンなんか何やってるかわからなかっただろう。
というより、第一部が神経質になり過ぎだったんじゃ?
あぁ・・・さすがにコレはダメか・・・
サンタナの切断面がOKだったのは
人間じゃないからなのかな・・・。
ジョセフたちを微塵も気に留めることなく
語りはじめる三人。
ワムウがローマ帝国時代のラテン語を話しているというくだりが
カットされたのは、
ここで三人がラテン語で話し始めても困るし
一瞬で言語を学習・理解したのだとしても、
それはドイツ語なのかイタリア語なのか
そもそもジョジョ一行は
英語でコミュニケーションを取っているのかどうかさえ微妙だ。
ややこしいので割愛したのだろう。
おれの怒りは爆発寸前!
次回:「ヒーローの資格」
直接対決でジョセフがかますぜ!
エンディングには、シーザーと柱の男達が追加。
まだ本編で顔を明かしていないカーズとエシディシは
少し影になっている。
余談だが:
ツェペリ家の系図
父親マリオの顔がコミックスとは違う。
これはおそらく
原作10巻で語られるシーザーの過去で
シーザーと死に別れる際の父親の顔だろう。
対してコミックスの方はシーザーが10歳の時以前の顔。
アニメの方は、あとで本編に回想シーンで登場するから
そのために起こされたキャラデザインを使ったのだろう。
僕は以前、第07話のレビューで
シーザーは父親が55歳を過ぎてからの子どもであるという
仮説を建てた。
それが正しいとしたらコミックスは
波紋を使えないシーザーの父親の顔が55歳を過ぎているようには
とても見えないという矛盾があるのだが、
たしかこの原稿執筆の時点では、まだ4巻巻末の謝罪前なので
作者の頭の中でも
ツェペリ家の系譜は整理されていなかったハズである。
アニメの表現が適切なのだろう。
注)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
コミック版との比較をしてみようというスタンスで書いています。
決して原作マンセーな人ではありませんし、アニメスタッフに喧嘩を売るつもりもありませんが
思ったことは言うというブログ自体の姿勢を崩すつもりはないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思います。
それについては、何というかもう・・・ご了承ください。