ジョジョが終了して、少々燃えつきた感のある昨今
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。BIEです。
そんな中、気持ちも新たに今期のアニメで僕が観るべきは
「宇宙戦艦ヤマト2199」と「進撃の巨人」の2本。
「進撃の巨人」はずっと原作読んでますが、
何度か書いたことがあるとおり、
僕は大好きな作品がアニメ化されるのをあまり喜べないタチなのと
今が絶頂でおもしろく、未だ中盤か
下手したらまだまだ序盤でしかない原作からして
アニメ版はオリジナル展開で完結することがまず確定であり、
良作となっても批判を受けることが避けられない。
それをどう受け止めるかが難しいところ。
まぁ、一度くらいは記事にすると思いますが
上記のような理由で原作と比較してみたところで意味がないため
今回はレビューを見送ろうと思います。
で、「宇宙戦艦ヤマト2199」の方はといいますと
実はDVDが出たときにすでにレビューしてまして、
今さら感があるのがまずひとつ。
更にぶっちゃけると、DVDですでに14話まで観ちゃってるので
初見の感動をお伝えするのが難しいことがふたつ。
しかし、今回のテレビ放映ではじめて観たという
旧来のオリジナルシリーズを観ていた同世代の友人と話などすると
僕としてもまた新たに思うところもあるわけで
せっかくなので、うちのサイトらしく
旧作と比較しながら観ていくことにしようと思います。
ただ、コミックとの比較と違って
映像作品の引用はハンパなく手間がかかるので
毎週更新できるかどうかは未定とします。
(そんなに期待されてないだろうけど
大前提として
「宇宙戦艦ヤマト」をそれなりによく知っている方を
対象として書きますので、よく知らない方やまったく知らない方は
とんでもない角度からネタバレが飛んでくる可能性に
くれぐれもご注意ください。
それではまず、予備知識として
旧作と本作との大きな差違を拾っておきましょう。
本作2199に関しては、旧作から40年近い年月が経過して
実際に世間で明らかになったり改められた、
科学的、生物学的、はたまた宇宙理論的など様々な考証が
付け加えられたり、正されたり、矛盾を考慮されたり
さらには、時代背景的に現代や未来に不適切な
文化や表現について、社会的な配慮も含めて
大小様々な情報の取捨選択がなされています。
代表的なものでは
・イスカンダルまでの距離が、旧作では「14万8千光年のかなた」
だったものが「16万8千光年」に変更
・ガミラスによる地球汚染は「放射能」ではなく、特殊な有毒物質
・「地球防衛軍」なる組織は存在せず、「国連宇宙軍」
ほかにも作中の矛盾を正すために
・現実にはまっぷたつに裂壊している戦艦大和の船体を改修するのではなく
旧時代の沈没戦艦に「偽装して新造」されたことに。(これには少しだけ興醒め
・波動エンジンは設計図の供給を受けたのは1年前
そのとき来訪したスターシァの妹がもうひとりいるらしい。
・ヤマト内部の就労シフトが三交代制となり、
旧作では何役も職務を兼任していた森雪の交代要員や専任要員
それ以外にも大勢の女性クルーが設定された。
・アナライザーは「完全なロボット」であり、
旧作のように「僕は人間だ」などと言わないし
森雪を愛したり、ましてやスカートめくりなんてしない。
※ただし声優が藪・ガンツと三役共通という点は旧作と同じ
ま、
それ以前に、表層的に視聴者が最も気にかけるであろう
メカニックの意匠やキャラクターデザインが大きく変更されているのだが
西崎義展の死去や松本零士に対する、コンテンツ側のスタンスを考えると
納得のゆくものになっていると、僕は考えている。
ユニフォームのデザインは、旧作のエキセントリックなものを踏襲しながら
「仮面ライダー THE FIRST」や「キューティハニー THE LIVE」で
皮革を使った衣装デザインを確立した、本作の総監督:出渕裕が
布の縫製から鋲打ちまで考えた、リアル指向なものになっており、
ただ宇宙的、未来的なだけだった松本零士のデザインが
みごとにリファインされている。
ちなみに、出渕は重度の軍服マニアで、氏が最も好きなドイツ軍装は
おそらくガミラスの軍装に活かされてくると思われる。
結城信輝による美麗なキャラクターは
とりわけ旧作のファンには意見が分かれるところであろうが
僕的には100点満点だ。
旧作の岡迫絵とは似ても似つかないが
ヤマト自体のもつイメージは継承したいが、
しかし松本零士テイストに依存したくない制作陣の意思の結晶と捉えると、
同様のニオイを持つ「復活編」での
まるで魅力を感じないキャラたちより14万8000倍マシであろう。
前置きが長すぎるな
そろそろ本編に入ろうか。
まず、OP映像の絵コンテを切ったのは
ヤマトオタク120%で、緻密なメカ描写に定評がある庵野秀明なのだが
しまった、
これは第三話からしか収録されていないので、くわしくはまた今度。
冥王星海戦
「バカメ」で有名な物語冒頭の艦隊戦だ。
この「バカメ」の言い方ひとつのために
出渕監督はベテラン声優:菅生隆之にNGを出しまくったという。
いかにも昭和のオタらしい閉鎖空間的なこだわりが
必ずしも作品を良くするとは限らないのだが
この作品は旧作を熟知している昭和のアニメファン(オタとは言わない
のために作られていると、僕は思っているので、まぁ良いだろう。やりすぎるな。
閑話休題
とかくアニメ技術の進歩はすばらしい
左:旧作 / 右:2199
描くのが非常に難しい独特のフォルムを持つ艦艇が
CGによって自在に動くその迫力は圧巻だ。
いささか動きが軽すぎるのが気に入らないので
その辺もう少し重たそうでアナログな動きが再現できればバッチリだ。
この冒頭の冥王星海戦、戦力の差は圧倒的歴然であり
ガミラスが侵略を開始して以来こんな戦闘を繰り返していては
地球はあっという間に戦闘力を失っていたはずである。
それでもその戦力差を省みず、
負けると分かっている戦いを恐怖を克服し強敵に立ち向かうのが
脳みそ面舵40度に傾きっぱなしの軍国愛国主義者
西崎氏の理想とする男のロマンであり、この作品世界の美徳だったのだが
ぶっちゃけ、そういうアナクロな考えは21世紀には通用しない。
そのせいかどうか知らないが、
旧作ではこの作戦中に突如飛来したイスカンダルの使い=サーシャ。
本作では
サーシャの来訪が地球側に事前に知らされていたことになっており
無謀な犬死にに見える本艦隊作戦は
この使者を安全確実に迎えるための大いなる陽動作戦だった
ことに変更されている。
使者(サーシャ)の宇宙船デザインはほぼまんまだが
すでに事切れていたサーシャ
えー、生身で・・・この恰好で・・・もっとツッコミどころあんだろうよ
古代たちのカプセル回収をもって本作戦は終了。
ここまでで旗艦キリシマ以外は守の”ゆきかぜ”一隻のみが残存
旧作では、いよいよジリ貧となり撤退
本作では、作戦は成功で、これ以上の損耗は無意味なので撤退。と大きく異なる。
僕はイヤですッ!! 男だったら戦って戦って戦い抜いて、
ひとつでも多くの敵をやっつけて死ぬべきじゃないんですかッ!!
沖田の説得に耳を貸さず、我を通す兄(古代守とはよくいった
う〜ん、確かに現代じゃこの思考は理解してもらいにくいかもなぁ
この後沖田が、
おのれ悪魔め、わしは最後の一人になっても絶望しない
と、今日の屈辱に耐え、決意を新たにするモノローグがあるのだが、
このときの沖田は、
旧作では艦隊を全滅させ自分だけおめおめ逃げ帰った艦隊司令であり、
本作ではとりあえず作戦は成功。
さらに地球を救う一縷の望みが、戻ったらまだ残されているという、
「決して絶望しない」の言葉の重みがまるで異なっているのが
僕にはどうにも不満である。
あなたは地球に必要な人。
戦線に残りキリシマ撤退を援護します。
「船乗りのうた」を皆で唄いながら特攻する”ゆきかぜ”
モノクロのアナログ回線テラワロスwww
せつなく、されど爽やかに自ら死に赴く若者たち
このときの、ファゴットだかオーボエだかの美しいメロディが
なんだか「帰ってきたウルトラマン」のエピローグを彷彿とさせる。
あれ?音楽、冬木透じゃないよね?
そのうちワンダバ言い出したりしないよね
帰還するキリシマに合流した古代たち
これが旧作では冥王星海戦から3日後だったのが3週間後に変更になってるのは
実際の宇宙船の速度とか考慮した結果なんだろうか。
旧作ではテレビシリーズ「ヤマトIII」に登場した
古代たちの同期:平田。
土方・山南と違い、こいつはヤマトに乗ります。
遊星爆弾と赤く醜い地球
左:旧作 / 右:2199
雪のナレーションでこれまでの経緯が語られる
2191年(今から8年前
人類は史上初めて地球外知的生命体と接触
友好関係を求めた地球に対し、彼らは一方的に戦端を開き
情け容赦のない無差別攻撃を仕掛けてきた。
第二次火星沖海戦で艦隊による地球への直接攻撃は食い止めたものの
その後彼らは遊星爆弾によるロングレンジ爆撃にシフト
地球は、遊星爆弾により大地は干上がり、大気は汚染され
あまねく生命が死に至った。
この火星沖海戦における英雄が沖田十三であり、
この海戦を機に火星の居住区は放棄されたのだと思う。
また、先にも述べたが遊星爆弾による汚染とは
旧作と違い「放射能」による汚染ではない。
タイミング的に、東北の震災(原発事故)に配慮したのだろうと
よく言われるが、そうではなく、企画当初からそのつもりだったと
出渕はDVDのオーディオコメンタリで語っている。
余談だが、このオーディオコメンタリが非常におもしろく、
本編観てて、僕が「へえ」と思ったような箇所については
ほぼもれなくブッちゃんが解説してくれているので
機会があればぜひ聞いてください。
ツンデレ雪との出会い
旧作で博愛の象徴だった雪が、しっかり自分を持った芯のある女性に。
熱血正義漢の自信家でグイグイ前へ出る男だった古代は、慎重な男に。
真面目一徹で融通の利かない男だった島は、南国育ちのやや軽い男に
それぞれ、キャラ付けが変更されている。
これは時勢柄を考慮した改変なのだろう。
他には、真田さんが「詩」を愛する心を持ったオトナの男になってたり
南部が大局と空気を読めないボンボンで雪のことを好きだったり
あと旧作では動物専門のヤブ医者だった佐渡先生が
ちゃんと中央病院の名医になっていたり
ドサクサにまぎれてヤマトに乗ったアナライザーが
軍用機器として正式に搭載されていたり
個々のキャラにバックストーリーがちゃんと用意され
ありえない設定は改められている。
航空隊の加藤
短髪なのは旧作と同じだが、生真面目だったキャラはちょっと「やんちゃ」風
そして加藤と同じく航空隊のエースだった山本は
本作では大きくキャラ設定を変更されているが、それはまた次回。
コスモゼロはかっこいい
突如現れた偵察機を迎撃に出る古代と島
旧作では火星から乗ってきた機体だったが
ここではコスモゼロに。なんで変更されたのかは不明。
そして墜落した場所で戦艦大和の残骸と御対面。
土方が「気付かれたな」と言っているように
地球が新造戦艦を密かに造っていることに気付いたがための偵察機。
そうなんだけど、そう考えると待てよ。
旧作では、さっきはじめてスターシァのメッセージと
波動エンジンの設計図らしきものを見たんだよな。
これから作る未知のエンジンがすぐに実用化されるなんてww
とは当時、子供心にも思っていたが
現状、
ついさっきまでは放射能除去装置の存在なんか知らない。
波動エンジンの存在も知らない地球人が
イタチの最後っ屁のごとく、悪あがきするために
それも何故だか地下のドックではなく
汚染された地上に露出した艦艇を改修して新造戦艦を密かに造っていた?
不自然すぎます。
そういう不自然さもあって改変されたのかもしれません。
とすると、本作では
地球を捨てて他の星に移住する「イズモ計画」を変更して
今の「ヤマト計画」にシフトしたわけだから
もともとヤマトは移民船団の護衛艦もしくは
移民星探査船団の護衛艦として建造された可能性もあるな・・・いや、ないか。
ところで、
古代が持ち帰ったカプセルについて
「彼女の言葉に嘘はありませんでした」とつぶやく真田が見つめる謎の装置。
この装置はヤマトに積み込まれ
ある人物と後のストーリーに大きく影響してくるハズです。
以下次回、ヤマト発進シークエンスは「抜錨」言い過ぎ。
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