旧作における第13話に相当
小マゼラン銀河外縁部、戦火を交えるふたつの勢力。
ガミラス軍の「宇宙の狼」ドメル中将率いる第6空間機甲師団が
圧倒的戦力差で一方的に蹂躙しているのは
このカラーリング、複眼のような意匠・・・
僕たちは彼らを知っている
旧作シリーズ第2作目の「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」及び
TVシリーズの「宇宙戦艦ヤマト2」の仇敵、彗星帝国ガトランティスの艦艇だ。
ご丁寧にBGMまで彗星帝国軍のものが使用されている。
本作ではマゼラン銀河の外部から飛来し、繰り返し侵入を試みる新興勢力のようで
ガミラスの勢力圏もマゼラン銀河の外までは強く及んでいないことがわかる。
僕たちがその強大さを知っている勢力を圧倒することで
現在のガミラス軍の強さ、巨大さ、その勢い、
そしてドメルの勇猛さや知将ぶりを印象づけるのが狙いであり
ガトランティスの登場は、決して続編への伏線ではないと、僕は考える。
還る艦を失い、休戦の使者から捕虜に身を落としたメルダ。
前回の話では、地球人のことを、
宣戦布告もなしに攻撃を仕掛けた野蛮な民族と言って憚らず
青い肌の優位性や、代々軍の重責を担う一族の誇りを重んじる彼女が
母艦の裏切り行為(これはモニターで見ていたが)や、
その後、なりふり構わぬ“友軍からの”攻撃により母艦が撃沈されたことなど
古代たちから説明を受けたとて、どうして信じられようか。
これはもちろんメディカルチェックや保菌の確認なども含めて
ガミラス人の身体の詳細を知るための検査だが、
このような屈辱をメルダが甘んじて受け入れているのが少し不思議だ。
検査の結果、
メルダの肉体は青い皮膚を除けば、DNA配列まで地球人と同じ。
旧作13話でも、捕虜としたガミラス人は
呼吸による大気成分まで地球人と同じであった。
確か旧作TV版のラストでデスラーが
「地球型の大気の中では我々は生きられない」と
言っていたような気がするが・・・まぁいいか・・・。
ガミラス人を野蛮な獣のように考えていた古代は
地球人と変わらぬ姿を見て
我々と同じ知能や感情を持つ人間が
なぜあんな残虐な侵略行為をするのだと激昂。
遊星爆弾で両親を失ったことなどを思い出しながら葛藤し
今、自分が斬りかかったガミラス兵が
自ら命を絶とうとしたことを
「命の大切さをしれ!」と、たしなめる古代。・・・なんじゃそら
ガミラス人にも誇りがあり、血も涙もある人間なのだ
ということなんだと思うが・・・古代、お前ひどいよ・・・。
沖田艦長の指示でいろいろ情報を聞き出そうとするも
末端の兵士にはガミラスの実態が分かろうはずもなかった
という理由で、情報は得られなかったそうである。
それでも文化形態や文明のレベルだけでも分かれば
大きな収穫だと思うが・・・
(なんか非人道的なことしてるようにも見えるが・・・気のせいだな
そして艇の修理完了と共に食料を与えて釈放
地球人とガミラス人の間に信頼や友情が芽生えた、なんてことはなく、
ガミラスは憎いが、いち人間個人に対する地球人のスタンスを
再確認する話だった。
このガミラス兵がどこかで生き延び、後のストーリーで再登場、
味方してくれる場面なども、ひょっとすると考えられていたのかもしれないが
如何せん、旧作は話数短縮を余儀なくされ
カットされたエピソードも少なくないため、そればかりは知るよしもない。
島が見る記録映画「地球の危機〜対異星人 戦いの記録〜」
政府公報の下の数字は認可番号だよな?年月日じゃないよね
戦時のこういう映画って、たいていは戦意昂揚のための国策プロパガンダで
偽証や捏造はあたりまえだし、自勢力に都合のいい解釈しか映さない。
父親の死を穢されて、
自分の中の真実が揺らいでいるときに観てもなんの慰めにもならないぞ。
君のお父さんは立派な男だ。それは断言できる。
艦長・・・その言い方はフォローになってないです・・・
8年前、反対勢力を押し切り、艦隊提督である沖田を解任してでも
島の父が乗るムラサメに先制攻撃をかけさせたのは芹沢。
旧作では、地球防衛本部長官の藤堂が全権の責任者だったが
本作においては、藤堂は地球連邦政府の極東管区行政長官であり文官。
方や、芹沢は国連宇宙軍極東管区軍務局長で、軍務の最高司令官なのである。
これは芹沢にそれなりの権力を与え
8年前の性急な判断や、事実の隠蔽、イズモ計画への固執など
獅子身中の虫と言ってもいい、
災いの種を設定するためと考えられる、地味だが大きな設定改変である。
司令部からの箝口令を破って真実を語る山崎
もちろん島は頑なに信じない。
その頃、雪と山本によるサービスタイム。
せっかくのサービスタイムに水を差してナンだが
ヤマトの艦内スペースを考えると、
女性用の浴場だけでこのスペースはいくらなんでも広すぎだ。
しかも、これだけの湯を涌かすエネルギーを考えてもムダが多すぎる。
地球との最後の通信のときに
其れ用に間に合わせのスペースを作ったことには感心していたのに
限られた空間の使い方がここへ来ておかしい。
窮屈な艦内生活だからこそ、福利設備は手厚くしたい
という気持ちが働いたと考えるにしても、これはゆきすぎだ。
そして、雪の助言もどこ吹く風
山本は実に身勝手な行動にでる。
前回メルダに言われた
戦闘機乗りなら、私達の間にこんなもの(銃)は必要ない
を実践するかの如く、
ドッグファイトで語りあおうというのだ。
キャットファイトではなく・・・な(w
結果、山本の乗るファルコンはエンジントラブルにより爆発
脱出した山本を救助したのは他ならぬメルダだった。
あー、山本個人レベルならこれで解決でいいよ。
しかしどうだろう・・・
熱く青臭いヒューマンドラマの側面が色濃かった旧作と比べ
本作では連邦組織や軍組織のリアリズムを上乗せして描写しているはずなのに
ヤマト内の規律だけ、こんなにゆるくていいのか・・・?
山本の重大な軍規違反はこれで(少なくとも)二度目。常習だ。
たった6日間の営巣入りで済まされては、艦内に示しがつかないよ。
更に何億円もする(であろう)ファルコンを
極個人的理由で無断運用の上、おシャカにしておいて
ひとりスッキリした顔してんじゃねェよ。
まぁ、とにかく・・・だ、
旧作と同じく、いくばくかの食料を与えてメルダを解放。
本作では、種族間で、ある種の理解を得ることに成功した。
後に再登場するらしいメルダが
友好的かどうか、存分に期待しよう。
余談だが:
生物学的な身体の組成やメンタリティが地球人と同じとはいえ、
文化形態は異なるはずである。
地球人同士でも、
友好的なジェスチャーが相手にとっては侮蔑を表す場合もある。
信頼と感謝の証が「シェイクハンド」だったり、
翼を揺する動作が、飛行機乗りにとって挨拶代わりだったり、
そこまで地球人と同じというのは少し出来すぎだ。
わずかでもいいから、メルダが地球の文化を学習するカットがない限り
ここは少し分かりにくい描写をした方が良かった。
安易な演出が少し悔やまれる。