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宇宙戦艦ヤマト 2199 #14 魔女はささやく 

今回は、完全オリジナルエピソードだが、
モチーフと見られるコミック作品があるらしい。
また、旧作の第19話に通じる描写もある。
モチーフというのは
西崎 / 松本コンビで描いた読み切りのサイドストーリー
「宇宙戦艦ヤマト 永遠のジュラ編」らしいが、
僕は読んだことないので、これについては何とも言えない。
デスラーの妻と娘が登場する。興味ある人は探して読んでみると良いだろう
基準がないので、今回はなんともレビューしづらいなコレ・・・。

ゲシュタムの門
古代文明が残した亜空間ネットワークを使い
通常のワープよりも超長距離の安定した時空跳躍を可能とする装置で、
ガミラスはこれを制御し宇宙各所で利用しているらしい。
後々、ヤマトも使用することになるので覚えておこう。
本作では、これの存在が、
旧作におけるいくつかの謎や矛盾を解消するためのギミックとなっている。
(当然、賛否あるでしょうね。

ミレーネル・リンケ
宣伝情報相、兼デスラーの側近であるセレステラの部下で
ジレル人ただふたりの生き残りのひとり。
今回セレステラが自ら指揮を執るヤマト鹵獲計画のキモである。

宇宙に降る雪
旧作04話でも火星に降る雪が出てくるが

環境汚染でもはや地球上では見られない光景を悼んだものだった。
現実に火星探査が進んだ結果、火星に雪が降るかどうか怪しいからなのか
単に尺の都合だったのか、このシーンがカットされたかわりと
思えなくもないが、たぶんそれは考えすぎ。
この雪が明らかにするものとして
SNOWの”雪”森雪を引っ掛けているのだろう。
実はこの雪は、リンケがワープ装置を介して思念を飛ばす触媒で
冒頭、フラーケンの次元潜航艦が散布していたものだ。
ヤマトはまんまとその宙域を通ってしまったということになる。
先の戦いのことがあるので
亜空間ソナーによるレーダー索敵に集中していたとはいえ
目視で分かる異変宙域にヤマトを踏み込ませるとは
いったいなんのための哨戒任務なんだか・・・
とにかく突然ヤマトとの通信が途絶

帰投してみるとヤマトは縦回転の謎の挙動
誰もいない第一艦橋

そして突然、何処かへとヤマトはひとりでに動き出す
これは自動航法室がクサイ

ついに雪の姿も消え、一人ひとり不思議の世界へごあんな〜い

突然コールが鳴る緑電話
今ここにいる自分にかかってくるはずのない電話
という意味で
映像として、公衆電話がチョイスされているのはいい選択だ。
この「?」が徐々に古き良き時代に浸らせる入口なのだ。
1990年代にお馴染みのテレホンカードが使えるタイプの公衆電話。
果たして2190年代に電話というコミュニケーション手段があるかどうかも怪しく
最悪の場合この筐体を”電話”と認識すらできないのではないかとも思うが
これは古代の精神が反映された世界。
「古代が、公共の通信装置に自分宛の連絡がきたと認識している」と
視聴者なりの経験則で緑電話に脳内変換しているとでも思えばいいだろう。
だとすると、今の若い人たちには意味が分からないかもしれないが
広い年代層へアピールする「公衆電話」の最大公約数がコレだったのだろう。

帰ってこい進。お前は戦ったりする人間じゃあなかったはずだ。
両親・叔父叔母の存在に違和感を感じつつ
懐柔の言葉は最愛の兄の口から
僕は戻らなきゃ・・・
雪の夢

君にはここで地球について学んでもらい、地球人として暮らしてもらう。
と告げる「土方のオジサマ」が、パートナーとして雪を紹介している。
これは自分なのか、他人なのか
雪とユリーシャの記憶が混同しているようでもある。

雪の夢に登場するユリーシャに驚くリンケ

おさげ髪を下ろし雪を「ユキ」と呼ぶ百合亜
完全にユリーシャとシンクロしている。

なぜ機関室に集合しているのかは分からないが
夏草や兵どもが夢のあと(ちょっと違うな
立ったままなのは、
眠っているのではなく、ただ幻を見せられているからなのだろう。

取り付けるときには真田さんが物々しい防護服でセットしていた波動コア

この部屋内部に波動防壁を張りめぐらし
室内への立ち入り作業を可能にしているらしい。
波動エネルギーそのものが人体に悪影響あるものなのか
エネルギー量が莫大すぎるのか
波動エネルギーで産みだした波動防壁は人体に無害なのか
波動コア抜き取っても波動防壁は持続するのか 等々
いろいろ気になるけど、たぶん理屈は考えられているのだろう。
夢の中の兄:守に
地球に落ちる遊星爆弾、この光景を忘れるなと諭され
記憶の改竄に自ら気付き、正気に戻った古代

古代だけが誰の助けも得ず、精神攻撃を破ったのは何故か。
考え得る理由はふたつ。
ひとつは、古代の孤独。
愛する両親・叔父叔母をひとときになくした衝撃的な記憶が
拭いきれないトラウマとなっており、
その印象とガミラス憎しの強い感情が、
もはや幸せだった時代に馴染めないほど強くなっている。
しかしその理屈だと、古代よりも人間的に強い沖田や
古代よりもガミラスへの憎しみが強い山本も洗脳から解かれてよいはず。
今回このふたりが登場しないのはそういうツッコミを逃れるためなのかな。
最愛の恋人を失った新見は甘い時間を夢見てるし
父の死の真実から逃避したいのか、島は母親と弟の夢を見ている。
古代が特別精神が強いとも思わないんだが・・・
ふたつめは、思い出の中、
兄:守の帰りを待つ両親たちの前で、所在ない様子の古代から、
もともと両親・叔父叔母は守に期待をしており、進は要らない子だった。
かつての古代家の幸せな家庭は、進の望むものではなかった可能性。
そういう確執と、それによる後悔があったなら
その過去から古代ひとりが自力で逃れられたことにも納得がゆく。
しかし、そこまでするのはヤマトの主題から乖離しすぎだと思うの・・・
エヴァンゲリオンじゃねぇしな・・・

とにかく、洗脳の解けた古代は雪のピンチに駆け出すのだが・・・
森くん・・・雪ーーっ!! この唐突さは何だ。
本作において古代がはじめて「雪」と呼んだ瞬間だが
はたと我に返って叫んだ名前が「雪」。これはちょっと興味深い。
これは、普段こそ表向き「森くん」と呼んでいるが、
人知れず「雪」と古代が日常呼んでいることの証。
そうでなきゃ、咄嗟には出ないはずだ。
すでに雪とそう呼び合う仲になっているのかと思ったら
最後の古代と雪の会話からそれは感じられない。
しかし古代の頭の中では「雪」が正式な呼称であることは間違いない。
どうやら密かに雪を懸想している古代は
オフタイムには自室で森くんを「雪」と呼ぶ妄想に
悶々と明け暮れているのかもしれない。ムッハー
波動コアのコンジットベイ内部にリンケを閉じこめ
波動エンジン再起動

あぁ・・・こりゃたまらんわ
このリンケはワープ装置で送られた思念体が実体化したもの
ということだが、ここで四散消失したリンケの思念は
元の肉体に戻ることはなかった。
コスモガンで撃っても平気だったのは、ただダメージの大小の違いなのか。
ワープの応用理論で思念体を飛ばしているのに
「ゲシュタム・フィールド」は潜れない・・・とかこの辺の理屈もよくわからない。
郷愁を誘う精神攻撃という意味では旧作19話に通じると言える。

旧作19話は、地球との通信が回復していることに
いち早く気付いた相原が勝手に両親と交信をし
現在の地球の凄惨さにホームシックにかかる話。
旧19話では、リレー衛星を使って、間接的に郷愁を煽っていたが
本作では直接精神に攻撃を仕掛けるサイコ戦になっている。
さらに、本作戦中にリンケが見聞きした情報は
ゲシュタムの門のセレステラにすべて伝わったため
ヤマト艦内の情報や、ユリーシャの存在などが敵方に知られたことになる。

私も会えたよ、大切な人と・・・
思わせぶりな雪のセリフにドギマギしながら
真意を汲み取りきれない古代は
旧23話の記念写真のシーンをも思い出させます。

女の子ってのは発想がマセてやがるな
子どもたちにパパとママの青春を語るときだとよ・・・
パパとママ・・・? 誰のことだ・・・
古代と雪、急接近の巻・・・でした。

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