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宇宙戦艦ヤマト 2199 #20 七色の陽のもとに 

旧作における22話に相当。
実は旧作22話にはOPがない。
旧作全26話中、最大のヤマ場と言ってもいい戦いだけに
わずか1分の尺を惜しんだか
それとも
これからはじまる緊迫した戦いの導入に、主題歌は不要だったのか
宇宙空間を進むヤマトをバックにタイトルだけが現れ
yamato2199_20a.jpg いきなり本編がはじまる。
(ただし、カットされた主題歌がED部分で流れるという
 ED曲よりは主題歌が重要という大人の事情が働いたような痕跡もある

とにかく異例のスタイルである。

有視界での空中戦
七色星団の在り方が大きくアレンジされているため
場面場面でキー色が変わる幻想的なステージになっているのは
前回も言った通りだが
本作では、真っ暗な宇宙空間の戦いではなく
艦と飛行機による戦闘であることをより強調した絵面にすることで
絵空事ではない、実際の戦争の延長として
視聴者が捉えやすくするための演出なのであろう。
迫る魚雷、沈む空母など、洋上の空戦を模した表現が胸熱である。
ひょっとすると、なにかモデルになった実際の空戦もしくは海戦があり
それをより再現性高く表現するためのアレンジなのかもしれないが
そこは詳しくないので、僕にはわからない。
ドメルの作戦の大まかな流れは旧作と同じだ。
まず、戦闘機隊がヤマトの艦載機隊をおびき出す。

そして、第二次攻撃の爆撃機隊を、手薄になったヤマトの直上に転送し強襲
砲座・カタパルト・レーダーを集中的に爆撃

続いて重爆撃機による削岩弾(ドリルミサイル)で波動砲を封じる。

特務隊のミッションクリアの報を経て、更に雷撃機で追い打ち。

ヤマトは側面から魚雷を撃たれ放題だったが
戻ってきたファルコン隊と、雪を攫われ正気じゃない古代に迫られ
第三次攻撃の雷撃機隊はジリ貧
ドメルは最後の直接対決を決意する。
旧作との大きな違いは以下の通り

ファルコン隊が不在の第二波のときに、待機していた山本が発進。
わずか一機とはいえ、相手は機体の大きな爆撃機であるからして
機動力が違ったか
ヤマトをもちこたえさせる充分な戦力となった。

旧作では、血の気の多い古代自らが率いるブラックタイガー隊は
第一波に、第二波に、といちいち振り回される無能ぶりだったが
ここでは敵第一波の戦闘機隊も踏ん張り、
加藤たちを容易にヤマトの元へは帰してくれない。
ひとつひとつの攻防に緊迫感がある。

そしてこの時点で第三艦橋が被弾して、コンバーターを損傷。
波動防壁を展開できなくなる。
そもそも、ヤマトの防衛の要である波動防壁の発生装置が
こんな無防備な艦底の露出しまくりな部所に設置してあること自体
ありえないんだが、その危機感がドラマ演出には必要なのだろう。
レーダーを奪われ、第二波が引き上げてひと息ついたこのタイミング

護衛:山本の死角から、くだんの第442特務小隊の出番。
ヤマトに潜入してユリーシャを拉致・・・のはずが・・・
ユリーシャは隔離されたポッドの中で眠っているし
雪は本来なら艦橋にいるはずなので

あっさり目標を発見できた彼らは運がいい。(間違ってるけど
ってか、雪がこの非常時に廊下をうろうろしていた理由が
全く語られていないのが大いに不満だ。

敵の襲来に手が足りず、拘束中の新見に協力させる
これは誰がどう見てもエヴァンゲリオンへのオマージュだが
ここまで雰囲気を踏襲させる意味があったのだろうか。
手の遅い庵野秀明にOP絵コンテを切らせる上で
何か密約でもあったのかと勘ぐってしまうな。
あと、急場凌ぎの兵器だから容易に中に入れたってのは相当苦しい。
ここまで周到に計画しておきながら
新見とアナライザーが入っている場所をコーキングするだけでいいのに
それをしないのは
ヤマト側に解除させるための、制作陣の都合でしかない。
もう少し説得力がほしかった。

旧作にはなかった、削岩弾の後部の推進剤噴射。
これはおそらく、削岩弾を飛ばすための推進剤でも
ドリルを回すための推進剤でもない。
ドリルの反作用で削岩弾本体が回ってしまわないためのものだ。
細かいけど、こういう描写は好き。
逆回転させた削岩弾を、”大砲屋”南部が撃ち抜いて
戦闘空母を沈めたことを皮切りに、次々に沈む空母
と、ドメル艦隊は総崩れ。
旧作は逆回転したドリルミサイルが勝手に戦闘空母にぶつかって

その余波で艦隊が全滅しちゃって、ゲールもびっくりな展開だったので
それと比べれば、だいぶまともな表現になっていますが、
やっぱりちょっと形勢逆転しすぎw
イオン乱流に捕まるルートへ誘い込まれたことに敗北を悟り
ヤマトに取りつき自爆。
旧作では傍らにゲールが居たので
ドメル隊決して一枚岩ではなかったのだが

ドメルが特攻を決意しても揺るがぬ結束・信頼感
ガミラス軍人の男の生き様が、ドメルひとりのものではない表現に。
その自爆を受けて、波動防壁など持っていない旧作のヤマトは

これもう修復不可能なんじゃねェの?
ってくらい、こっぴどく破損するんだが
本作では、波動防壁がギリギリ作動したため、わりと無事。
そして
潜入したガミラス兵に撃たれた星名を見たショックで

深層意識下に追いやられていた百合亜の精神が覚醒し、
身体を追い出されたユリーシャの精神は自らの身体に戻り、完全覚醒。

大きな艦隊戦を経て、多数の死者を出し
ここから先の案内をユリーシャはどう判断するのだろうか。
そして、雪の運命や如何に。
余談だが:
青い肌に誇りを持ち、自分たちこそ最も優れた種族であると
信じて疑わないからこそ、
全宇宙に冠たる大ガミラスと謳い侵略の覇業を広げる彼らが
下等種族と蔑むザルツ人と似た色の肌を持つイスカンダル人を
神格化していることに違和感を覚える。
制作側の仕掛けとしては
雪と間違えさせるため、ふたりはそっくりでなくてはならないのだが
例えばイスカンダル人は、白く透き通るような肌であるとか
ガミラス人が脊髄反射で畏怖と尊敬を抱くような外見には
できなかったものだろうか。
旧作のスターシャはもっとミステリアスだったものだが・・・

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