第二バレラスから放たれた光弾は、
ヤマトをかすめ、第五惑星エピドラを崩壊させた。
この威力は波動砲。
ちょっとした思いつきで波動エネルギーを武器に応用した
とデスラーは言うがこれには嘘がある。
タラン兄が兵器開発局で試作中と言っていたものに違いないし
その開発がデスラーの指示によって進められていたのも間違いないだろう。
しかし、デスラーは波動エネルギーを武器に転用することの
あらゆる意味を理解しているはずである。
その圧倒的破壊力、それゆえに行使するものに必要な覚悟や資質、
それを用いて版図を拡大する意味。目的と手段の矛盾。
デスラーはすべて分かった上でこれを行っている。
決して思いつきなどではない。
抗議抗議・・・君がここを訪れるときはいつも抗議ばかりだ・・・
スターシャのホットラインによる抗議と、
それに対し自らの正当性を訴えるデスラーの構図は旧作23話と同じだが
その意味は全く違う。
旧作では、滅び行く星と運命を共にするイスカンダルに対し
生き抜く確固たる意思の現れが、覇業であるという。
なんというエゴイズムか。
共栄圏を築き平定することが、恒久的平和につながるという
本作での題目とは真逆の思考だ。
君のためにやっているのだ という言葉の真意は次回明らかになる。
本艦はこのまま内惑星系に突入する。
敵の懐深く入らぬ限り、活路は見出せない。
敵精鋭の旗艦艦隊が数ヶ月の彼方にいるとはいえ
本土での決戦である
イスカンダルへの道を邪魔できなくなるまで残存全兵力と戦うとなれば
一般人への被害も避けられない。
沖田艦長お得意の「死中に活」戦法だが
積極的にガミラスに突入して何をしようというのか。
その答えは
デスラー総統府への強襲揚陸(?)のうえ、白兵戦・・・
多勢に無勢なヤマトの戦いは、いつもこんなもんだが
徹底抗戦して、ガミラス本土を焦土にするつもりもないし
出来る限り犠牲は少なくするとなれば、
軍部を掌握するか、デスラーを拘束するしかない。
とはいえ強引すぎるし、白兵戦で勝ち目があるのか甚だ疑問だ。
こんなところに静止しちゃったら狙い撃たれてお終いだよ。
それにしても、波動防壁を艦首に集中すれば
敵艦に体当たりしても、建造物に突っ込んでも擦り傷だけとは
「波動防壁」万能すぎる!
マクロスのダイダロスアタックを思い出しました・・・
総統府から離脱するデスラー艦デウスーラ。
ちなみに、フラーケンと同じ引用元である「超新星フラッシュマン」
敵組織の首領ラー・デウスが改造された形態が”ザ・デウスーラ”
単にデスラーの変形だと思うが
ブッちゃんの何らかの意識は働いていると思う。
デウスーラは強制的に第二バレラスのコントロールを掌握。
633工区を切り離し、王都へと落下させる。
どうみてもコロニー落としだねぇ・・・
構図も逆シャアに似てるような・・・
これは総統が国家を裏切った軍事テロだ。
各首脳がうろたえ途方に暮れる中
いち早く自らの役割を思い出し
リーダーシップを発揮したのはヒス副総統。
緊急事態宣言と各所に退避命令を出した後に
ようやくデスラーの無法に怒りを露わにする。
「お飾りの副総統」と言われ、
これまでは、ただのイエスマンの太鼓持ちにしか見えなかったヒスだが
デスラーに間抜けな提案をするような描写は本作にはない。
本作において、彼は軍人ではなく文官。
描写こそされなかったが、
これまでにも腹に据えかねるデスラーの傍若無人ぶりを
政治面でサポート・フォローしてきたに違いない。
今までは周囲が事後にでも処理できたが
常識と理解の範疇を越えたあり得ない行いに
とうとう堪忍袋の緒が切れた。
ヒスなりに指導者とはかくあるべきという理想を描いていた証だ。
旧作と違い、本作でヒスは生き残るが
彼がデスラーの下に就くことはもう二度とないだろう。
これは通過儀礼。
ヤマトともにバレラスは消滅する。
ガミラスはその尊い犠牲をもって古き衣を脱ぎ捨てる。
これまでのクレバーな面持ちと異なり
ある意味、旧作のデスラーのような影を落とした表情に。
なにやら自分だけ納得の理想絵図を思い描いているようだ。
第二バレラスのデスラー砲を暴走させる雪
本作の雪は本当に行動的だ。
旧作では
いくつもの部署を兼任する有能ぶりとはいえ
70年代日本女性の受け身の美徳を持っていた雪は
最後に古代を助けるために責を越えた命がけの行動をする。
そこに直向きな愛を感じられたものだが
ここまで行動的だと、ラストがどうなるのか少し不安だ。
波動エネルギーを兵器に転用した波動砲が、今ガミラス王都を救う
ヤマトが・・・やってくれた・・・
で、われらがヒルデたんを救ったのはヒス副総統。
今回、ヒス確率変動中ですね。
第二バレラスの波動コアは、
名前も知らぬ地球人への愛と尊敬に殉じたオシェットの手によって暴走。
デスラー艦デウスーラもその爆発に巻き込まれた・・・(?
かくして、デスラーは死に、
ヤマトの手によって救われたガミラスとの恩讐は霧散した。
次回、ヤマトはいよいよ約束の地へ降り立つ
スターシャの答えは如何に。
さて、
突如血迷ったとしか思えない行動に出たデスラー。
本作ではこの人の腹の内がまったく読めないので困る。
旧作のように星の寿命が近いわけでもなく
そもそも大統合せねばならない意図がよく分からない。
イスカンダルは全国民の崇拝の対象なので
国民は喜ぶだろう。
崇拝の対象とひとつになることで
ガミラス自体の自らの存在価値も向上するだろう。
しかし、
大統合は帝星の価値や国民を思って企画されたものではなさそうだ。
「この星にしがみついて何になる」
19話で近海からガミラス本星を眺めるデスラーの言葉だ。
これ以降も共栄圏を拡張するうえで、
現在のガミラス本星という小さな枠に捕らわれていてはだめと
受け取ることも出来るが、
つまりは、
想い人スターシャとの未来のために歩んできた誤った道のりと、
その過程でできた新たな守るべき(余計な)しがらみ
その狭間での葛藤だったのか。
しかし、
前回捻り殺したカナリアはスターシャから貰ったものだ。
すべてなげうって、スターシャを迎えに行くための儀式ではなく
紳士的に、合理的にスターシャとひとつになることをあきらめ
修羅の道を進むことを決意(もしくは衝動的にそっちへ気が触れたか。
とにかく
力ずくで大統合をなし得る、やぶれかぶれの行動としか思えない。
たかがヤマトひとつのことが、
それを看過することは、
スターシャの原理に倣うと自分のこれまでの行動を否定することになるからだ。
旧作の例(TV版)でいくと、まだ死んでいないはずのデスラー。
最終回までにもう少し分かりやすい形で、彼の真意を見ることはできるのか。
ところで、今回のサブタイトル「たった一人の戦争」は
「我が闘争」にでも引っ掛けているつもりなんだろうか。