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ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #05「銀の戦車」 

コミックス 14巻02章~ 14巻04章中盤までに該当。
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J・P・ポルナレフ
メインキャストの中でもっとも軽薄で思慮が浅く
今後、ピンチのきっかけを作ることも少なくないポルナレフ。
初登場のここでは、そのキャラクターをおくびも出さない
騎士道を重んじる紳士的な、しかしそれでいて、
好戦的でやや自意識過剰な戦士として描かれている。
(まぁスタンド使いはボインゴを除いてほぼ全員自意識過剰なのだが
これは、ポルナレフのスタンドの強さと、
ともに旅をするに相応しい精神の持ち主であることを視聴者に印象付け、
後のポルナレフとアブドゥルの関係を確立する重要なバトルであるため、
おふざけ要素や不真面目さを一切排除したことで、
仲間になって以降の、
ムードメーカー的キャラとのギャップを演出することにも成功している。
ひとつ気になるのは、
原作のこの回で「おれ」「わたし」が混在している
ポルナレフの一人称が「わたし」に統一されていること。

そもそもの混在の原因は荒木先生の単なる間違いだと思うので
一人称をどちらかに統一するのは賛成なのだが、
その場合、本来なら「おれ」の方が、よりポルナレフらしい。
※事実、肉の芽の呪縛を解かれた後、平時は「おれ」を使用している。
今の彼は「肉の芽」による精神支配を受けているため、
平時のポルナレフとは思考や性格が異なっているということが
表れているのと同時に、
肉の芽によって研ぎ澄まされ強化された闘争心や戦闘への意識が、
彼が理想とする「崇高なる騎士道」を具現化したと考えるべきだろう。
つまり、ポルナレフは迂闊なお調子者でオッチョコチョイな
能力自慢の脳みそ筋肉野郎だが、
フランス人らしく(かどうかは知らない)キザでスマートで、
しかし圧倒的な勝利を理想に思い描いているということだ。
本当に「肉芽ないヤツ」だな。
「肉の芽」がどういった効果をもたらすかは、対象者の個性によって異なる
ということが暗に示されていたようだ。
なるほど、一見スマートな二枚目である花京院が「肉の芽」によって
吐き気をもよおす程のゲス野郎に成り下がっていたのも、

彼のサディスティックな本性が表れていたと考えると合点がゆく。

タイガーバームガーデン
香港島に実在する観光地だったが、現在では閉鎖され公開されていない。
作中の時代や連載当時は、本当に人気のスポットだったし、
閉鎖こそされているが、現在でも実在することは間違いないので

原作通り「実在する庭園」とナレーションすることは誤りではないが
「ジョジョ見て現地に行ったが入れなかった」と
残念な思いをする聖地巡礼ファンが出ないことだけ心配しておく。
しかしこの色彩は・・・ソエジマ演出と相性が悪いな・・・
原作では甲冑を脱ぎ捨てた「銀の戦車」初登場時

実は「シルバーャリオッツ」とルビが振られている。
「ペガサス流星拳」が「ペガサス彗星拳」に
「ネビュラストリーム」が「ネビュラストーム」に変化するように
甲冑を脱ぎ捨てたチャリオッツは
微妙に呼び名が変化するのかと考えた時期もあったが、
やはり、ただの誤植だったようだ。(版が新しいものはチャリオッツと書かれています。
ポルナレフさんちの家庭の事情
妹を殺した両手とも右手の男を探している。
妹と一緒にいて死にかけた友人の証言を基にしているため
イメージはあくまでもポルナレフによる想像だ。

なので、件の男の髪型が、Jガイルとまるで違うのは仕方ないのだが
後に原作で物議をかもした
「透明な膜でもあるかのように、雨がドーム状によけていた」
という表現がそのまま使われている。
何が問題かというと、もちろん
Jガイルのスタンド能力ではそんなことは起こりようがないのだ。
原作執筆の時点では、この男の正体も能力も、
まだ荒木先生が全く考えていなかったに違いないことは別に構わない。
しかし、こういう大きな矛盾は
アニメ化に際して何かしかの補正をして然るべきで、
あきらかに不自然な部分までそのまま再現することは
ある意味「ファンサービス」と言えなくはないが
別の視点を持てば
作品を愚弄することにも繋がりかねない責任の放棄とも言える。
Jガイルが登場する話で、その不整合を正してくれるとも思えないしな。
付け加えると、ポルナレフが
「理由あって10年近く(スタンド能力の)修行をした」というのも
妹の復讐を誓った時期と合致せず、
別の理由があるのならそれは語られていない。
「3年間必死で修行をした」と言わせた方が、感情に深みが出せたのにな。

ちなみにOVA版ではこの男、回想シーンからすでに禿頭でした。
1年前にポルナレフが出会ったDIO

原作ではこのとき肩にオウムらしき鳥を乗せているんだが

これがなんと、ペットショップになっている。
なかなか粋な変更だ。

原作でのペットショプ登場の二週間ほど前に
9栄神のスタンド使いたちがDIOの下に集まったくだりには
さすがに修正が加えられるということだろう。(そうか?
本体のない「アヌビス神」については説明できなくもないが、
本体がハヤブサである「ホルス神」ペットショップが
DIO以外の人間の飼い主や従者に従うとも思えないし、じゃあこの人誰よ…と。
DIOの新しい館の門番を任せられたペットショップや
ダービー弟までが、命令を受けて何処かへ旅立ったのというのも不自然だ。
実は三部以降のジョジョには
こういった誤りや矛盾や不自然な点が、それはもうイッパイ在る。
ファンは、もちろんそれらも「込み」で楽しんでいるのだが
荒木先生が試行錯誤やひらめき、忘却を経て結果として発生した矛盾と、
それを知っていてそのまま放置(再現)する意味はまるで違う。
ファンも納得の「落とし処」をぜひ考えてもらいたいと切に願います。
おまけ:
「ブラボー!」いろいろ


注)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
コミック版との比較をしてみようというスタンスで書いています。
決して原作やOVA版崇拝者ではありませんし、アニメスタッフに喧嘩を売るつもりもありませんが
思ったことは言うというブログ自体の姿勢を崩すつもりはないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思います。
それについては、何というかもう・・・ご了承ください。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

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