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ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #11「皇帝と吊られた男 その2」 

コミックス 16巻01章~04章終盤までに該当。
自らの激情に駆られた行動が要因となりアブドゥルが撃たれた。
無抵抗の妹を陵辱し殺した犯人がそこにいる。
同じそいつに、アブドゥルは影から背中を刺された。
そのドサクサにアブドゥルを撃ったやつは挑発を続けている。
もはや許せない。引き下がれない。
しかし、今は一旦引かなければ勝ち目はないし
アブドゥルもそれを警告していたのだと花京院は言う。
この撤退・・・
ポルナレフの、ハラワタを自らねじ切るごとき、後悔と屈辱。
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ひとつひとつは単純だが、安易な言葉では言い表せない様々な思考が交錯する
複雑な感情でのタイトルバック。
比較的尺に余裕がある中で、主題歌を排除したこのOP演出は
いつもと違うテンションの昂揚を視聴者に求めている。
冒頭のこのシーンのやりとりは、かなりセリフが整理されているので
原作と細かな違いはたくさんあるが

原作で「アブドゥルは背中を卑劣にも刺された…」となっているところが
「無残にも」に変更されている。
たくさんの台詞をまとめたり、
耳障りの良い言葉に置き換えられたのとは明らかに違う改変。
この場合、J・ガイルの行為が
はたして本当に「卑劣」だったかどうかが問われたのだろうか。
別の敵と対峙している人にこっそり近づき後ろから背中を刺す。
確かにポルナレフの騎士道とやらに反する気もしないではない。
しかし、騎士道を例えに出すなら
アブドゥルは、ポルvsホルの一対一の戦いに、
あわや敗れそうな味方を横から庇いに飛び出たのである。
その行為自体、騎士道に反するだろうし、
J・ガイルはそのアンフェアな男を実力で排除したともいえる。
加えて、皇帝の弾が命中したのは、ホル・ホースも言うように偶然だ。
つまり、見えないところから背中を指すのは卑劣だが
そうなった経緯を考えると、
ことこの事に関しては、非があるのはむしろアブドゥルだし
死という「無残な」結果に繋がったのは偶然の産物。

死んだ者に対してのこいつらの物言いは確かに人でなしだが、
J・ガイルの行為は、一概に「卑劣」と言い下せるものではないため
「無残にも」と言い換えられたのだと推察する。
 卑劣[名・形動]
 品性や言動がいやしいこと。人格的に低級であること。また、そのさま。

確かに「卑劣」とはちょっと違う気もする・・・
妹に対する行為が「卑劣」極まりないのは事実なので、
その印象と混同したり感情的になってしまうことも
今のポルナレフには不自然なことはないが
客観的に正しくない表現なので改められたのだろう。

花京院は断言する。
鏡に「中の世界」なんてない。
 第5部には、特定の相手を鏡の中の世界に引きずり込む
 「マン・イン・ザ・ミラー」なるスタンドが登場するが
 時代・世代を超えることでスタンド能力が新たな境地へ進化することや
 かつては存在しなかった亜種が発生することもあるんじゃまいか?と考え
 そのことは、ここでは置いておく。

現実世界の常識や科学、物理法則を前提にスタンド能力を語ることは
極めてナンセンスだ。
その点ではポルナレフが正しい。
つい先日「呪い」という実につかみ所のないパワーで相手を攻撃するスタンドに
出会ったばかりだからな。
花京院はただ融通の効かないことを言っているのではなく、
今はまず、自分たちの常識の範囲内から
敵のスタンドの性質や弱点を、模索しようというのだろう。
吊られた男の謎を解くには、思考停止してパニックにならず
落ち着いて考えろ・・・と。 そのための撤退でもあった。
ではまず、吊られた男は本当に鏡の中の世界に居るのか?
吊られた男は、鏡に映った景色の中に存在し、
鏡の中で吊られた男に攻撃を受けると、現実でも物が壊れたり傷を負ったりする。
鏡に映っている現実の景色その場所には居ない。
そして肝心なことだが、どれか1枚の鏡にしか映らない(存在しない)。
「鏡の中の世界」なるものがあるのなら、その中を移動すればいい。
しかし、吊られた男は反射を繰り返すことでしか移動ができない。
すなわち、吊られた男の能力に関して言えば、鏡の中の世界は存在しない。
「鏡に映った閉ざされたひとつの映像」の中に居るのだ。
そして映像の中で起こしたことが現実の世界に反映される。なるほど
とか色々考えていたら・・・

吊られた男は、映っているものの世界にしか存在できない。
その世界が消滅するときは、別の反射物に移動しなければならないのだッ!

原作にはない、非常にわかりやすいナレーションが解説してくれた。
グレートですよこいつァ。
鏡を破壊してもダメージを与えることは出来ない。これでは倒せない。
そこでポルナレフは閃いた。

吊られた男を、ある映像に移動せざるを得ない状況をつくり
移動中を攻撃する。
まぁ、存在そのものが「映像」なのだから
移動の最中にスタンドで斬れる(実体化している)というのも、
いまいちしっくり来ないんだが。
ここで本体の悲鳴が聞こえたため、勇んで駆け寄ってしまった二人だが
ちなみに、その前に、ポルナレフが空を向いたまま目を閉じれば
吊られた男はどうなっていたのだろうか。
再び目を開くまで、ポルナレフの瞳に閉じ込めておくことが可能なのだろうか。
視界に反射するものがあったら、強制的に移動してしまうようだけども
なにもない場合どうなるんだろう。・・・消滅してしまうとか?

姿を現した両右手の男、J・ガイル。
原作よりも容姿が幾分か人間らしいwww

ポルナレフの瞳の中では、
吊られた男は左肩から袈裟がけに斬られていたが
本体は右肩から。
これは吊られた男が鏡に写った世界に存在するためなのだが、
それならば、そもそも鏡に映った吊られた男は
両左手になっていなければおかしくないか?
映った世界に存在するスタンドなのだから、
映っている状態で両右手が標準・・・なのだとしたら、
鏡の中でついた傷は本体も同じ位置(向き)に付くはずだと思うのだが・・・
手と頭に注目
更に言うなら、移動中は鏡の中と左右逆にならないのか?

そいつはたまたまこの村に居た流れ者だよ
やはり「こじき」はNGらしい。DVDではどうなっているかな

原作では、瞳から瞳へただ移動を繰り返していた吊られた男

飛び回る間にも次々と斬りつけ、ポルナレフをより追い詰めますが

花京院のスマートな機転で大逆転。
針串刺しの刑だっ!
あ、これはボカさないんだ・・・

ホル・ホースの清々しいまでの逃げっぷりがステキ。
OVA版ではJ・ガイルが倒されるところを影から見てたので
この踵を返すシーンが無いんですよね・・・

原作よりも若干プリティな謎のデキモノがジョセフの腕に。
次回:女帝 チュミミ〜ン
余談だが:
放送倫理的な配慮で、未成年の飲酒や喫煙をタブーとしているTV放映版
(おそらくDVDでは解禁されているハズ・・・
そんな中、
悪人とはいえ、敵を殺してしまうという表現がOKなのはなぜでしょうか。
ディオや柱の男は人間じゃなかったからとくに考えもしませんでしたが
呪いのデーボやJ・ガイルは人間です。
呪いのデーボに至っては、警察が「死体」とはっきり言ってます。
少年漫画のヒーローたる、主人公とその仲間が殺人を犯すというのは
マズくないのでしょうか。
いや、「だから懲らしめるに留めおけ」と言ってるんじゃありませんよ。
逆です。殺人を描写できるのなら、
飲酒や喫煙くらいいくらでも解釈のしようがあるだろうと言いたいんですよ。
「こじき」も「田吾作」もかまわないじゃないかと。
各所への配慮と原作を大事にする気持ちとを両立するのが
甚だ容易でないことは想像できますが
放送倫理への対処はおそらく自主規制なので「言い訳次第」だと思うんですよ。
そのさじ加減がどうにもちぐはぐな印象を受けます。
注)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
コミック版との比較をしてみようというスタンスで書いています。
決して原作やOVA版崇拝者ではありませんし、アニメスタッフに喧嘩を売るつもりもありませんが
思ったことは言うというブログ自体の姿勢を崩すつもりはないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思います。
それについては、何というかもう・・・ご了承ください。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

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