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ムーミン

ムーミンの原作者、トーベ・ヤンソンが生誕100周年だとかで、
巷では、ムーミン原画展が各地を行脚し、
ファッション・雑貨をメインにムーミングッズが賑わっている。

僕は世代的に69年度版のカルピス劇場を(再放送で)見て育った。
しかし後から知ったが、69年度版は
あまりにも原作と世界観が違いすぎると原作者の逆鱗に触れ、
その後、激烈な紆余曲折を経て、
原作者も直接製作に加わった、90年制作の「楽しいムーミン一家」を
ビジュアルの世界的標準とする、と
ヤンソン一族が運営するキャラクター権利管理団体から公式のお墨付きを得、

今ではCMをはじめ、メディアで見るムーミンキャラたちは
「楽しいムーミン一家」に則した絵と声になっている。
しかしながら、
一般的には「楽しいムーミン一家」は作品としての知名度がさほど高くなく
ムーミンといえば「ねぇムーミン、こっち向いて」
69年度版のOPをイメージする人は少なくない。
一般の人は「るんたった〜」など知らないのですよ。藤島康介先生
ビジュアルとしては、
タバコを咥えてギターを掻き鳴らす無表情なスナフキンは知らないのに、
テーマソングは、古いもののほうが断然有名というのも不思議な話だが
当時は映像ソフトが市販されていない時代だったので
一般家庭にはレコードだけが残り、
映像の印象は次第に新しい作品に上書きされたのだろう
さらに、「楽しいムーミン一家」が制作された時代になると
世界標準のキャラクター管理がメディアミックス展開し
キャラクターのイメージが定着していったものと思われる。
とにかく、
日本で作られた作品が世界標準と聞かされればとても誇らしいし、
ムーミンに関してはそれが当たり前と疑わなくなっていた。
そのムーミンが、
ヤンソンの母国フィンランドではじめて長編アニメ映画化される。
ところが・・・なんか・・・おかしい・・・

『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』
< あらすじ >
今回は地中海に位置するリゾート地が舞台。あることから一家に訪れる危機を描く。
地中海沿岸の魅惑的な地リビエラにバカンスのためやって来たムーミン一家。
ムーミン一家は楽しいひとときを過ごすが
そこでフローレンは現地のプレーボーイの虜になり、ムーミンは焼きもちを焼く。
ムーミンママは、
貴族と友達になり自らを「ムーミン伯爵」と呼ぶようになった
ムーミンパパに腹を立て、親戚が暮らす古いボートで過ごすことを決めてしまう。

世界観もビジュアルも、
僕が知っているムーミンとなんだか違う・・・
それでも、この映画の監督は
どのシーンを切り取っても原作の雰囲気を壊さないように色味や音楽にこだわった。
と、ヤンソンへの多大なリスペクトを表明している。

確かに原作は書かれた年代だけでなく
小説、絵本、コミックとそれぞれの媒体で絵柄が異なるし
名倉靖博が描くカラフルな牧歌的ファンタジーとは似ても似つかない。
何十年も経てはじめて母国で作られるのだから、
「楽しいムーミン一家」が今後、世界標準ですから〜言うてたんと違うのん?
と声高に訴えるのもみっともない話だ。
記号としての「標準」もこの際リセットされるのは仕方ない。
僕がショックだったのは
今まで僕が認識していたムーミンが実は正しいムーミンではなかったんじゃないか
という疑念が生まれてしまったことだ。
69年度版の問題もあったので、
「楽しいムーミン一家」は、ヤンソンとそれは密に会議を重ねて
念入りに、キャラクターや世界観の造形をすすめ、
「あぁ、これこそ私のムーミンだ」とヤンソンにとても喜ばれた作品と聞いている。
僕自身「楽しいムーミン一家」は大好きで何度も観た。
(冒険日記は・・・なかったことに・・・
納得して大満足で観ていたのに
それが、正しいムーミン像ではなかったかもしれないというのがショックでならない。
でも、映画が日本に来たら観ますよ、たぶん。
ま、原作読んで、正しかったかどうか、てめぇで検証しろよって話ですね。
ごもっとも。

君は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかい?ムーミン
(CV:子安武人

わたしはこの波紋使いをえらく気に入ったよ、ママ
(CV:大塚明夫
注)この画像は本編と関係ありません

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