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ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #26「「愚者」のイギーと「ゲブ神」のンドゥール その2」

コミックス 20巻05章~08章中盤までに該当。

車を破壊され、放り出されたジョースター一行。
今回の敵は、音を頼りに攻撃対象の居場所を感知する水のスタンド。
砂中のどこに潜んでいるかわからないため
とりあえずは、自衛の策として「動かない」「音を立てない」

OVA版では静寂とそのさ中の緊張感を伝える手法として
アヴドゥルの汗が滴り落ちる様子が描かれていた。
前回は花京院の血が滴る音を追ってきていたのだから、
一行は、汗の滴りはおろか衣擦れひとつに注意を払うべきなのだ。
また、原作では、小刻みに丸く弾けた特殊な吹き出しによるセリフが多用されており、

なんだか「ひそひそ喋っている」ような雰囲気が伝わってくるが
本作では口パクなしでモノローグのような表現になっている。

これが、語らずとも伝わるアイコンタクトのような意思疎通なのか、
ただ考えているだけなのかはわからない。

スタンド使いは、水中でもスタンド同士で会話ができるというが
それがテレパシーのように「音」を発しない会話かどうかは明言されていないし
ンドゥールのスタンドにも聞こえてしまえば意味が無い。
「ひそひそ喋っている」が正解なのだと僕は思う。
ンドゥールはこの時点ですでに全員の居場所を認識しているようだが
なぜだかすぐに攻撃が始まらない緊張感。

OVA版では、知覚した砂の上の物体をひとつずつ順に破壊し始め、
少しずつポルナレフに迫る緊迫感がある。
この演出のために車のデザインを変更し、荷物が散乱しやすい
貨車を引くタイプのトレーラーにしてあったのだろう。

歩いた「フリ」で水のスタンドを誘い出す知略家アヴドゥル。
さあこれで歩いたように聞こえたろう・・・
姿を見せたところを我が「魔術師の赤」の炎で蒸発させてくれる

・・・
第01話で、便所の水道管の水ごときで炎を消された「魔術師の赤」が、
砂の中でも水勢衰えず自在に移動する水のスタンドを蒸発させられるとは
とても思えないのだが・・・
まぁ、戦略として水を炎で打ち消そうというのは間違ってはいない。
ンドゥールとしても、
相性の悪いアヴドゥルを真っ先に片付けられたのは思わぬ僥倖となった。
で、OVA版では

ここでうっかりアヴドゥルの名を叫んでしまったジョセフは
閉じ込められた車ごと流砂(?)に飲まれる展開に。
ちなみに余談だが:
OVA版のジョセフ役は先日お亡くなりになられた大塚周夫さん。
鈴置洋孝、小林清志、森功至、田中信夫と、ベテランすぎる重鎮たちの中で
当時ほぼペーペーだった主役:小杉十郎太のプレッシャーは
さぞもの凄かったろうと、想像に難くない。

急に駆けだす承太郎。
敵を感知し空中へ逃げたイギー

このとき、砂で「変わり身」を出している芸の細かさww
この原作にない表現は面白い。
逆・狙撃!シュートヒム

これ、原作ではただ投げてるだけなんだが

OVA版でも本作でも、大リーグボールばりに前足振り上げてるんだよな。
で、ここに限った話じゃあないんだが、
動きの流れなんかはOVA版の方が圧倒的に美しくてかっこいい。
これは、もちろん好みの問題もあるだろうが、
アニメーターや演出家のスキルの違いが大きく出ていると僕は思う。
アニメ制作の技術は時代を経て数段上がっているが
安っぽい深夜アニメの氾濫からくる総合的作画量の増加に対応するための
極細分化された分業や海外スタジオに頼らざるを得ない事情や
CGなど小手先の技術に頼った演出が横行したことで
残念ながらアニメ制作者個々のレベルが相対的に低くなっていることは否めない。
分業を平たく均一化するため、突出する個性も抑制されるだろうしね。
話を戻そう

実に爽快なシーンなんだが、
犬を投げるなんて、まったくなんてヤツだ承太郎
黒人差別とか、ナチスとか、未成年の喫煙とか、いろいろ煩いくせに
動物虐待とか言い出す輩はいないのかね。
いや、僕はかまわないんだが・・・
で、承太郎を見失ったンドゥールは・・・
志村ーッ!うしろ〜〜ッ!!
ンドゥール撃破。
そして今、はじめて明かされる新たな敵「エジプト9栄神」のスタンド使い。

ゲブの神のカードのナンバーが、原作・OVA版では「5」だったのが
「3」になってるな。
エジプト9栄神のカードは、縦だったり横だったり
スタイルが様々で統一されておらず、
原作では、途中から数字も振られていない。
そもそも「エジプト9栄神」という括り自体が、
創作が混じっているため、根拠のあるナンバリングなど存在しないのだが
過去に販売されたジョジョのトレーディングカードでは
すべてに1〜9が当てられ、ゲブの神は「3」、「5」はセト神になっている。

原作にも「5」セト神のカードが描かれているが、
トレカとどちらが先かは僕は知らない。

ラスト、車がバックで現れたのは前輪を破壊されたから。
このあとボインゴの予言通りに事故が起きたバスの横を
原作ではジョースター一行も通るのだが
そのときは車は直っている。
自分たちで修理できるような壊れ方ではなかったが
どうやって修理したのかは謎だ。
エンディング後にたっぷり3分半収録された次回への導入部。
ボインゴのマンガで予言されたバスの事故と青年旅行者の死。

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロに対する、
本当にトトの神の予言だったのか!荒木飛呂彦コエー!!
と世界中で物議をかもした、「911」の数字と飛行機が削除されている。
ただの偶然だったのだとは思うが、
さすがの僕でも、この削除は賢明な判断だと思う。
当然、旅行者自身の服からも「911」は削除されているのだが
これは、マンガの中で明確にこの人物を表すための符丁なのだから、
何か別の判りやすい図柄なり文字なりを入れておく必要があったと思う。
それなのに

原作にあったタバコを吸うシーンをカットしたにも関わらず

マンガの中のこの人物はたばこを咥えたまま・・・という
何ともオソマツな表現になっている。
もっとちゃんとしてもらいたい。
次回:「クヌム神」のオインゴと「トト神」のボインゴ
もともと4話分のエピソードを、今回0.5話分こなしたので
1回で済ますようだ。
余談だが:

「犬は汗をかかない」とよく言われているがそれは間違い。
アポクリン腺が全身にあるため、犬種によっては犬もじっとり汗をかくらしい。
しかしこのアポクリン腺は老廃物の代謝に使われるもので
体温調節の役割を担うエクリン腺は肉球など限られた箇所にしか存在しない犬が
冷や汗をかくかどうかは・・・少し疑問。
まぁ、漫画的表現として理解するとしよう。
シンジくんがLCLの中で涙を流すようなものだと・・・
注)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
コミック版との比較をしてみようというスタンスで書いています。
決して原作やOVA版崇拝者ではありませんし、アニメスタッフに喧嘩を売るつもりもありませんが
思ったことは言うというブログ自体の姿勢を崩すつもりはないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思います。
それについては、何というかもう・・・ご了承ください。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

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