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ジョジョの奇妙な冒険 第三部 #34「ダービー・ザ・ギャンブラー その1」

 




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おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
往々にして揚げ足取りの文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

コミックス 23巻01章~03章終盤までに該当。
いよいよカイロに到着したジョースター一行はDIOの館を探す。
その聞き込みで立ち寄った、カフェでのひとコマが今回のお話。
OVAにも採用された珠玉のエピソードのひとつである。
今回の死客「オシリス神」のスタンド使い、ダニエル・J・ダービー
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OVAでは、故 内海賢二氏が声を充てていたが、今回は銀河万丈氏。
ダービーは渋い声で軽口を叩く余裕ぶったキザ男。
いずれもキャラクターがかなり異なるため
キャラの喩えは適当ではないが
要するにラオウがサウザーになったわけだ。
個人的にはOVA版の内海賢二声の方が好みだな。
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いきなり賭けに負け、魂を抜かれたポルナレフ
抜き取った魂を
jojo-SC_34d.jpg こねてこねて
jojo-SC_34e.jpg パン!!
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ラーメンマンがブロッケンマンを
ラーメンにして食ったのを思い出したことは内緒だが、
効果音もう少し何とかなりませんか・・・
こんなフーセンガムが割れたみたいな音だと
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原作の「バーーーン」というイメージとはかなり違うな。
jojo-SC_34h.jpg ちなみにOVAでは、
もっと重厚な「ズバム!!」ッて感じの破裂音だった。
腕のスジなんかもOVA版のオシリス神の方が物々しくってカッコイイ。
こちらから起死回生の勝負に打って出たジョセフ。
表面張力を利用した得意のゲームに誘うのだが
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このボトル・・・
原作とOVA版ではフォアローゼスのところ、
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本作では違う。別の商品か、架空のブランドだ。
昔は、アニメで実在の商品を描き込むことが
リアリティとして評価されていたんだが、今は事情が異なるので仕方ない。
第一話のビールが、ハイネケンじゃなくなっていたことだって、
問題点は「未成年の飲酒」だけではなかったということだ。
そういえば、エヴァンゲリオンも
TV放映版では「BOA」なる架空のビール飲んでたっけな。
残念ながらジョジョのアニメではDVD化のときに
商品が描き直されることはなかったようだ・・・
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ここでゲームの、ではなく、払い戻しについての確認事項。
本作では言わずもがな原作と同じだが、OVA版は少し違った。
キミが負けたらポルナレフが元に戻るという保証は?
負けたら魂は返ります。それが私のスタンドの能力です。
保証は、私の博打打ちとしての「誇り」だ。

このわしがキサマを信用するマヌケだと思うのか?
人間というのは自分のしたことにリスクを払う
人の魂をいただくからには、私も命がけで魂を奪い取る。
だから支払うものに嘘はない・・・

原作のやりとりだけで納得するのは迂闊すぎるとでも思ったか、
少し長いな…正直蛇足だ。
ここは、少なかろうが重い言葉で、威圧とブラフをかまし
すぐさま勝負に入る方がスマートだ。
疑い深く子細確認を繰り返すのは勝負師らしくない。
第二部を踏まえず制作されているため、OVAのジョセフは
相手をトリックや言葉巧みに翻弄する若いころのキャラが反映されていない。
故 大塚周夫氏演じる激渋オヤジは軽口を叩かないので
そこら辺は「OVAのジョセフ」らしい対応になったということか。
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承太郎はOVAでも、原作と同じく「根っからのギャンブラー」と称しているが
その表現の重みもまた変わってくるな。
その殺気立った少ないやりとりを、
原作のようにさらりと言葉だけで済ますもいいが、
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本作のダービーは「誇り」というキーワードと共に外連味を持たせた決めポーズ。
マジシャンが聴衆の目の前にキーアイテムをつきだした時は
往々にして、そこに注意を逸らして、見えないところでタネを仕込んでいる。
だましの手品が大好きだったくせに、
そこに注視していなかったジョセフが不注意だったな・・・。
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コインの裏に潜ませた脱脂綿で酒をギリギリまで増やしていたジョセフ。
事前に手袋を脱いだのはこのイカサマの為だ。
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この悪〜いドヤ顔は原作のほうがいい。
しかし、もう入らないはずの1枚をダービーが入れてしまった。
ならばジョセフは冷静に、
今度は脱脂綿にコイン1枚分の液体を吸わせればよかった、と思わなくもないが
おそらくダービーは、イカサマを見抜いた上で放置したのだと思う。
完璧な計算を狂わせてジョセフを絶望させるために。
ついでに余計なことを言うと、
アルコールは水よりも表面張力がかなり弱い。
グラスになみなみ注ぐといえば、我々にお馴染みなのは日本酒だが
アルコール度数22度未満の清酒に対し、バーボン原液は40度ほど、
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日本人の感覚で「おっとっと」と思うほどには
コインは入らないはずなのだが・・・
演出としてのマンガ的誇張は由とするべきだろう。
野暮言っちゃいけない。(じゃあ書くなよ
かくしてハンパなく動揺したジョセフにもはや勝機はなく
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心中で敗北を認めてしまった。
次回:ダービー・ザ・ギャンブラー その2
承太郎VS.ダービーのポーカー勝負。
余談だが:
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魚のくんせいを二つ続けて捕るネコの動きは
もっと俊敏に、鋭角に描写してもらいたかった。
OVAでは1カットで左・右と移動し、
効果音も素早そうなものが充てられていたが
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カットを割ってしまっては台無しだ。
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さらに、猫を使った勝負に際し
「犬をおさえていてください」と言うセリフが省かれている。
気ままなイギーのことだし、
事実このシリーズには登場してない(描かれていない)ので、
この場に居ないのであれば、それはそれでかまわないのだが
このセリフを省略したことが、イギーが居ないことを証明することにはなり得ない。
原作やOVAには、描かれておらずとも「あぁ…イギーも居るのだな」と認識できるが
原作準拠という視点で観るならば、この些細なセリフを省くためには、
イギーがふらりといなくなる描写を予めしておく必要があった。
況んや、そこまでするくらいなら、
省く必要がないセリフを省略した、ということになる。
話数と時間に余裕のないOVAでさえ(余裕がないからこそとも言えるが)
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イギーをきちんと居るものとして描いているのだ。
さりげない描写こそ重要だ。 とりわけイギーに関してはな。

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