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ターミネーター:新起動/ジェニシス

2023/06/25
 




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遅ればせながら、
「ターミネーター:新起動/ジェニシス」を観てきた。

事前に聞いた評判では「これこそまさに、T1・T2の正統なる続編だ!」とか、「名タイトル特有の「沼」にはまり込んでいる」とか賛否両論、両極端な意見を聞いていたんだが、実際に映画を見て、なるほど・・・と思ったね。
そのどちらの側面も持っていると、僕も感じたからだ。

ファンが「T1・T2の正統なる続編だ」と声高に言いたくなるには理由がある。
知っている人には今さらだが、ターミネーターはT2の後にもT3、T4と続編が制作されているものの、いずれも評判があまりよろしくない。(T4は良かったという人もいるが、僕はそう思わなかった)
T1・T2を製作・監督したジェームズ・キャメロンをして、「あの物語はT2で完結しているのだから不要の作品」と言わしめた。(完成品のスープに小便をかけられた、と言ったとか・・・)

しかも、T3ではサラ役のリンダ・ハミルトンが、T4のときは続編製作を望んでいたはずのシュワルツェネッガーが、それぞれ「この作品にはドラマがない」と出演を拒否したといういわくつきだ。(カリフォルニア州知事として多忙だったということもあるが。

そのため、T3は公式にほぼ無かったことに、T4はジョン・コナーが未来で指導者として成長するまでの話なので辛うじてT1・T2における結末との齟齬が少ないからか、正史とは認めにくいものの、参考知識として認識しているファンが多いと思う。
T4公開と前後して、TVシリーズ「サラ・コナー・クロニクルズ」が放映され、こちらはT3をまったく無視した、異なる時間軸で紡がれるT2の後日譚。
当時も「これこそT1・T2の正統なる続編だ!」と評価が高かったが… いかんせん、シュワルツェネッガーが出ないターミネーターなど「クリープを入れないコーヒー」みたいなものだ。

そこへきて、満を持しての「新起動/ジェニシス」だ。
T1・T2と、それを生み出したジェームズ・キャメロンに多大なるリスペクトを払い、練りに練った脚本と、最新のVFX技術による高精細でド派手な映像、シュワルツェネッガー主演で繰り広げられる新しいターミネーター。

しかし、その「練った脚本」と「ド派手な映像」が少し曲者で、時間軸や人間関係がやや難解で、「ん?どゆこと?」と思っているうちにあれよとド派手なバトルに巻き込まれ、シリーズ本来の持ち味である「人に紛れた殺戮兵器がもつ静かなスリル」を感じる機会は殆ど無い。

見終わった後も、「あれはどういうことだったんだろう?」「誰があんなことをしたんだろう?」という謎が残ったままで、しかし本作は三部作の序章とのことなので、三部作が完結するまですべての評価を下すのは難しい。
T4も三部作の一作目の予定だったが制作会社の倒産などの理由で続編は作られなかった。本作はくれぐれも完結まで制作してもらいたいと、切に願う。

さて、ここからは激しくネタバレを含むので注意して読んでほしい。

また、T1・T2の内容をよく知っていることを前提に書いているので、知らない人にはごめんなさい。

物語は、T1の前日譚(といっても時間軸は未来)からはじまり、すぐに観たことある映像が目に映る。

1984年のとある夜、フォークリフトのおっさんの目の前に、雷鳴とともに突如現れた全裸のマッチョマン。それをからかうバイカーの不良パンク3人。
ビルの谷間の空中に現れドサリと落ちたカイルはホームレスからズボンを奪い、しかし警官に追われ閉店後のスーパーに逃げこむ・・・

丁寧にT1をなぞった映像にニヤニヤするのも束の間、すぐに観たことない新展開に突入する。
我々が見知った歴史を、同じく熟知した何者かによって、すでに先手が打たれていたのだ。

カイルを追う警官の中には、T2でお馴染みの液体金属ターミネーター“T-1000”が紛れ込んでおり、カイルが今日ここに来ることを知っていた。

そして・・・
T1では、ただ怯えるだけで現状を理解するにも時間がかかったサラが強くたくましい戦士として現れ、カイルを救った。しかも味方にT-800を引き連れて・・・である。

物語の舞台は移動し、スカイネットが起動するはずだった1997年ではなく2017年へ。
その世界では、あらゆるデバイスに夢のOSとしてインストールされたサイバーダイン社の「ジェニシス」が、世界中のコンピューターを繋いで、まさに起動する直前だった。(開発者は、あのダイソン親子

そこでカイルとサラの前に立ちはだかった男こそ、なんとジョン・コナー。
カイルを送り出す刹那に、人に擬態したターミネーターに襲われたジョンは細胞から組成を作り替えられて、新型ターミネーターT-3000と化していた。
敵は、自我を持ち、今や誕生せんとする人工知能「ジェニシス」と、その開発に寄与しそれを守護するT-3000。
T-3000は、人だった記憶を有しているがもはや人に戻ることが叶わないジョンだ。

自分たちを殺すことは出来ないだろう?と詰め寄るカイルとサラに対し
自分はすでに存在している。両親を殺したとて、自分が存在しなかったことになるとは限らない。と言う。
これはタイムトラベル物の根幹をなす大きな矛盾「親殺しのパラドックス」だ。

科学や物理法則で明確に定義づけることは出来ないので、想像上の仮想理論に過ぎないのだが、時間実のある分岐点で異なる未来が生み出されて存在したものであろうとも、すでに在るものを特定の因果を理由にその存在を否定することはできない。
とかなんとか・・・
う〜ん・・・これを言っちゃうと、そもそも1984年のサラを殺す必要が無くなっちゃうんだよな。
2029年の未来でT-3000がジョンを乗取った時点でその世界ではスカイネットの勝ちなのだから、別の並行世界に飛んだサラやカイルが何をしようとも相手にする必要はないのだ。

しかしこれは三部作の序章。
事実、ラストには完全に破壊した「ジェニシス」の基幹データとサーバーとは別に、本体(もしくはバックアップ)らしきものが残されていたし、2029年の時点では、スカイネットがT-3000を開発できたとも考えにくいので、さらに未来からの介入も考えられる。

そもそも9歳のサラをT-800に襲わせたのは何者か。それを阻止するべく別のT-800(おじさん)を送り込んだのは何者か。ふたりのカイルが為す役割は何か。(これは今回限りかも…)など、残り2作に期待する要素も盛りだくさんだ。

ストーリーは練り過ぎでやや難解、画面作りにも間違ったこだわりを僕は少し感じたが、本作は間違いなく「T1・T2の正統なる続編」と言っていい。
「I’ll be back」「Come with me! if you want to live!!」も、もちろんある。
ターミネーターファンならば、必見の作品だ。

あと、余談になるが:
僕的に少し残念だったのは、T-1000役のイ・ビョンホンがまったく魅力的でなく、キャラの魅力や存在感がT2のロバート・パトリックの足下にも及ばなかったことだが、これは本作におけるT-1000の役どころが最強の敵でもラスボスでもないため、あえて扱いが軽いと思うよりない。 残念だが、これは仕方ない。

そして、最後に特筆すべきことは、
サラ・コナーが可愛い! これに尽きる!!

サラ役のエミリア・クラークがめっちゃ魅力的なのだ。こう言っちゃなんだが、リンダ・ハミルトンはブサかった・・・よね・・・
T2では「強い母親」だったので、鶏ガラのような容姿も容認できたが、T1時代のリンダを彷彿とさせるキャスティングだったならば、本作の僕の評価もまた変わっていたち違いない。

T1ではサラの設定年齢は19歳。現在28歳ととても思えない、ピュアなエミリア・クラークに魅了されるべし。
9歳のときにT-800(おじさん)に保護され、それ以来10年間、T2のジョンさながらの「生き抜く術」を叩きこまれた戦士として見ると、筋肉も足りないし頼りなさ気なんだが・・・その柔らかそうなBODYがまた魅力的だ (;゚∀゚)=3ムッハー。

大事なのでもう一度言う。
サラ・コナーが可愛い! これに尽きる!!

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