コミックス 30巻07章~09章、31巻01章の1/3程までに相当。
仗助の機転と、形兆の自らの能力への過信により辛くも勝利したvs.バッドカンパニー戦
満身創痍でさっさとバックレたい仗助に対し小心者であるはずの康一が「弓と矢」の始末に意外な責任感を見せる。
たしかこいつら「父親」がいるっつってたんだよ。
・・・そんなこと言ってたっけ・・・?
え〜と・・・
コレかな?
これ以外にちょっと思い出せないんだが、このことだとしたら、仗助よく覚えていたものだわ。
「弓と矢」がチラリと見えた屋根裏部屋に・・・
なんか居るゥ〜〜!!!
屋根裏の怪人、それが虹村兄弟の父親。
形兆は、どんなに傷つけようと死なない化物になってしまった父親を殺すことができるスタンド能力を探していた。なぜだか分からないが、クレイジー・Dでも「治す」ことはできないらしい。
おやじは「DIO」っつう男の細胞を頭に埋め込まれてこうなった!おやじを普通に死なせてやりたい・・・キリッ
・・・え〜と・・・
ここへきて、形兆の「お涙頂戴」の身の上話・・・なんだろう・・・まったく同情の気持ちが湧かないわ。
虹村兄弟の父親は、DIO配下のスタンド使いだったらしい。
もともとは、バブル景気が弾けるより早くに会社を潰し、莫大な借金を抱え、妻を病気で亡くし、子どもに暴力を振るう、負け犬のダメ人間だったが、その苦しみからの解放と、富や快楽という、欲望と実益を兼ねたDIOからの誘いに(たぶん大喜びで)魂を売った。
しかし、DIOは、承太郎たち星屑十字軍に敗れ、死亡したため
DIOの細胞「肉の芽」を脳に埋め込まれていた父親は、制御が効かなくなった吸血鬼の細胞に侵されどんどん化け物化したという。
おれは10年かかってすべてを調べた。「スタンド」のこと「承太郎」のこと、そしてエンヤという老婆を知って「弓と矢」を手に入れた。
わりとあっさり白状しているが、これはとんでもないことだ。
DIOのバックボーンや、目覚めてから世界に与えた影響などあらゆる可能性を、実際にDIOと戦った承太郎たちの証言やデータに基づき調査し尽くしているはずのSW財団を出し抜いて、11年前に7歳だった少年が、ゼロから調査を始め、「弓と矢」を手にしたということだ。
形兆の口ぶりでは「弓と矢」を実際に手に入れたのはここ1年のこと。SW財団は10年間一体何をやっていたのか。
これは僕の推測でしかないが、幸いだったのは、兄弟の父親は、殺人鬼や犯罪者という根っからの悪人ではなく、ただの小悪党だったことと、肉の芽を埋め込まれた際に、DIOに直接会った可能性が高いということだ。
肉の芽が暴走したときの父親の口ぶりからは、DIOの恐ろしさを十分に知っていて、さらに、その不死身と思われたDIOが死ぬということが、どれほどの異常事態かを理解していることが伺える。
DIO以外の者にいかにDIOの魅力を説かれようとも、諭されようとも、脅されようとも、その程度の縁ではこの理解と絶望は説明できない。直接DIOに会ったに違いないのだ。
と、すれば、不用意な小悪党である父親が、DIOと渡りをつける手段について何か情報を残していたとて不思議ではない。
そして、世界にあまた存在する元DIO配下の人員は、死亡したり、地下に潜ったり、またはこの父親同様に情報を語らぬバケモノとなってしまうなどして、SW財団はある程度より先の追跡調査が進まず、虹村兄弟の父親まで辿り着くことはなかった。形兆は、父親が迂濶にも遺した痕跡を辿って「弓と矢」に辿り着いた。
SW財団もエンヤが持つ「弓と矢」の情報は持っていたので、まさにタッチの差だったのかもしれない。
ところで、
父親は、DIOの不死身の細胞が一体化してしまったせいで、死ねない身体になったと形兆は言うが、果たして本当にそうだろうか。
DIOやストレイツォなどの吸血鬼がそうであるように、この父親も切った肉体が再生したり、粉みじんにしても復活するのが、もし吸血鬼の細胞由来のことであるなら、それは陽の光に当てれば万事解決するはずだ。
「肉の芽」は太陽のエネルギー:波紋で蒸発したし、DIOに血をもらったヴァニラ・アイスも陽光に滅した。弱点は間違いなく太陽だ。
それでも死なないというのなら、それはDIOの細胞由来の不死身ではない可能性が考えられる。すなわち、虹村兄弟の父親は「不死身の能力者」だったのだ。
DIOの肉の芽の影響で、精神にも肉体にも異常を来してしまったが、不死身なのは彼本来の能力なのだと考えれば辻褄が合う。
また、「もはや治したいのではなく、父親を殺せるスタンド使いを探している。」と、形兆は言う。
本人の自制が効かないため、たしかに安らかな「普通の死」は難しいが、ただ死なせればいいなら、檻に入れて海に沈めれば解決するだろう。呼吸ができなければスタンドは弱まるからだ。体内の酸素がなくなった時点で彼は不死身ではなくなり、窒息死する。
「スタンド」についても調べたというが、実際に海に沈めてみたのか? それとも陽に当てたことすらないのか?
そんな簡単なことに気づかないなんて、本当に死にものぐるいで、あらゆる可能性を確かめたとは言えない。もうね、アフォかと、ヴァカかと・・・小一時間問い詰めたいね。
それに、見た目は不幸だが、この父親は食事さえ与えておけば、暴れることも、自傷することも、他人に危害を加えることもないわけで、「普通に死なせてやりたい」なんてのは、形兆のエゴに他ならない。ある種の「人権蹂躙」でもある。
キッカケは少年時代に固く誓った「父親を普通に死なせてやりたい」であっても、今は、その呪縛に捕らわれた、ただ形兆が、父親と付き合う日常から解放されたいだけの「甘え」である。
そのためにアンジェロのような極悪死刑囚を野に放ってもかまわないなど、身勝手極まりなく、一切の同情の余地がない。それを、お涙全開で「ちょっといい話」みたいに纏めるなんて・・・
苦し紛れにも程があるわ、荒木先生。
父親が毎日ずっといじっているガラクタ箱の紙片を復元すると、それは…
家族の写真
兄貴…もうやめようぜ
おれはもう後戻りできねェんだよ!
仗助の協力を受け入れることが「後戻り」ではなく「前進」であることに考えが及ばない。
あぁ・・・もうダメだ。
ラスボスのようだったあのミステリアスな「学生服の男」が、こんなちっぽけになり下がっちまった。
その本末転倒なグダグダのやりとりを見つめる「天窓の男」と
突如コンセントから現れた金ピカのスタンド
うわぁ・・・レッチリ・・・カッコワルぃ・・・
虹村形兆はレッチリにコンセントに引きずり込まれ死亡。
「弓と矢」も奪われた。
ラスト、原作にはない追加シーンで、次回から億泰がいきなりマブダチになっていることをフォローした。
これはいい追加要素。
次回「広瀬康一(エコーズ)」・・・愛をください
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の意味も込め、コミックとの比較をするスタンスで書いています。
基本的に、筆者の好みに応じた揚げ足取り中心の文章となるため
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。