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ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #11「レッド・ホット・チリ・ペッパー その1」

コミックス 33巻05章~8章と、9章をほんの少し。

フリーザ様を想起させる、小柄で洗練された肉体。
パキケファロサウルスをモチーフとしているであろうその容姿は、シュールなデザインが多いスタンドの中で一際生物的で電気という「オーラ」を纏い、未知数の強さと知性・狡猾さを感じさせる。


レッド・ホット・チリ・ペッパー
(僕的には「レッチリ」がしっくり来るんだが、本編でそう言われているので、以後、略称を「チリ・ペッパー」に統一する。)

なかなか尻尾を掴ませなかったチリ・ペッパーがとうとう仗助の前に姿を現した。
しかしながら、

アニメではその魅力が半分も表現できているように感じられない。(声はいい

喩えるなら、大人に成長し世知辛い世間の風に晒された「劇画・カリメロ」とでも言うべきか。くちばしが大きいのがブサイクの理由かな…

翌日・・・
正午にチリ・ペッパーを探すことができるスタンド使いが到着する。しかし、そのスタンド使いはあまりに高齢のため、仗助たちに守ってもらいたい。

秘密裏に作戦を伝えるために野原に集合した一同だったが
チリ・ペッパーは、億泰のバイクのバッテリーに潜り込んでいた。

このまま逃げられてはマズイ

不意にチリ・ペッパーの名を聞いたときの静かなる怒りと、湧き上がる激情


いずれの表現も、深みや凄みが原作にはまるで及ばないのがもどかしいが
チリ・ペッパーへの因縁でいえば、億泰が最も深く直接的だ。


バイクで逃げるチリ・ペッパーに、ザ・ハンドの能力で追いついた。

実は、ここの表現

原作では一回「空間を削り取る」ことで、一気に追いついているように見えるところ、手の長さや諸々を考慮したのか、アニメでは追いつくのに数回を要している。
より現実的に考えた結果の表現なのだと思うが、なんだかエスパー魔美のテレポーテーションを見ているようで、テンポの良さとスタンド能力の機転という意味では原作の表現に軍配が上がる。
億泰の感情も、よりストレートに伝わってくる。


また、突然追いつかれたチリ・ペッパーは原作では億泰に頭を踏みつけられているのだが、アニメでは少し足の位置がずれている上、分かりにくいのが残念だ。
バイクのデザインが変更されているのは・・・カウルがあった方が、単に描きやすいからなんじゃね?ネイキッドの方が億泰には似合ってると思うけどなぁ・・・


バイクを削って転倒させた。
この野原ではチリ・ペッパーに逃げ道はない。

兄:形兆の復讐ってわけかい?
違う・・・。

おれの兄貴は死んで当然の男だった…「罪」ってのはどっかから廻り廻って「罰」がやって来る。

てめぇも自分に巡ってきた「罰」を受けやがれ!その引導はおれが渡してやる!
億泰はこう言っているのだ。

ここで億泰が私怨のみにかられず、比較的冷静でいられるのは、仗助のこの話のおかげではないかと、僕は考える。

用意周到で慎重なチリ・ペッパーが着実に力をつけている陰に、多くの捨て石となった者が存在し、これからも増える可能性。「弓と矢」がそうして使われることを、億泰は身をもって知っている。
悪事をはたらく者には「罰」が下る。兄:形兆と同じように、こいつにも「罰」が下って然るべきだ。いわば、億泰は公然とチリ・ペッパーを討伐する道理を得た。
「これは私怨による復讐ではない」という恨みのループを断ち切る免罪符を手にしたのだ。


スピードでは敵わないが、意表をついた瞬間移動により、油断したチリ・ペッパーを追い詰めるザ・ハンド。

次第に電気の輝きを失い、鉄サビのような色になったチリ・ペッパーは億泰を挑発する。億泰にはその真意がわからない。


「こいつは兄貴を殺した」「おれがケリをつけてやる」真実はそれひとつだ!オレの「心の中」のよぉ〜〜!

さっきと言っていることが違うが、仕方ない・・・たしかに「心の中」は、そうなんだろう。一度は冷静になれていたのに、チリ・ペッパーにまんまと乗せられた億泰。

チリ・ペッパーもろともえぐった地面には電気のケーブルが埋められていた。

復活のカリメロ

チリ・ペッパーは電線から逃走。
兄と同じように億泰は電線に引きずり込まれたが、直前に切断された腕をクレイジー・Dが復元することで億泰は死なずに済んだ。

質量的には腕のほうが「治りに」飛んで行きそうな気もするが、電気化した肉体も元通り物体化したと考えれば納得だ。


「兄貴を超える」か…学ばせてもらったよ、チリ・ペッパー

頭脳でもスタンドの戦闘力でも、チリ・ペッパーには敵わなかった。
確かにチリ・ペッパーは、形兆を精神的に上回っていなければ敵討ちなんて所詮無理だと言ったが、億泰、大事なのはそこじゃあないだろ。
そこに固執するのではなく、もっと広い視野でチリ・ペッパーを「悪」と捉え、懲らしめることが、兄の復讐も兼ねた、社会への贖罪であり、貢献ではないのか。


さっき自分でも分かってたし、まさに今、康一に言われたじゃんよ。
とりあえず、人の話を聞こうな。

次回、いよいよジョセフ爺が上陸する。
「レッド・ホット・チリ・ペッパー その2」

おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。

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