コミックス 39巻06章~10章・40巻01章までに相当。
「吉良吉影」としての顔と生活を捨てて、今や、誰だか分からない他人になりすまして姿をくらました
吉良吉影の足取りを追うには、ヤツの日常が染み付いた自宅に手がかりを求める以外に方法がなかった。
原作のような、ある種「病的」な、精神がねじ曲がった「闇」を感じない。
33歳の現在ならば、自分の異常な趣味嗜好を自覚し、それを巧みに隠蔽する術を身につけることもあるだろうが、アニメの吉良吉影は、幼少期にすでにそれを意識していたか、もしくは自分の「闇」の部分をまるで意識していないという、たちが悪いことに、悪意がまったくない天然の犯罪者だったかのどちらかだ。
原作のように、目付きが悪いのも気味が悪いが、まったく純朴な少年然としているのも、ゾッとするな。
1983年からはじまったこの記録は、吉良吉影の吉凶を占っている。
1983年は「16年前」であって、杉本鈴美が殺害された年ではないはずだが、それはひとまず置いておいて、
吉良吉影が、自身の体調や運気を「絶好調」と捉える、1年の爪の伸び30センチ。現在計測半ばの1999年を除けば、それ以外は例外なく8センチ前後。実に3.7倍の開きがあるのがまず驚きだが、その中間の年が存在しないのだ。
通常、爪の伸びる速さは、平均して1日あたり0.1ミリと言われている。1年間なら、約36.5ミリのところ、絶好調の年の吉良吉影は実にその8.4倍の伸びを記録する。
絶好調ではない年ですら、平均の倍以上の数値を叩き出す吉良吉影である。俗に、爪や髪の毛が伸びるのが早い男はスケベだ。というがこれが暗に吉良吉影の異常な性欲と性癖を表しているのだとしたら、中間がなく、これほど顕著に違いが現れる絶好調の年に、
吉良吉影が自身の誤った見識に慢心したとて、ムリもない話かもしれない。
自分の異常な殺人衝動を、昔から高い知能で自覚していた吉良吉影は、周囲にそれを悟らせないため、長所も短所も他人に晒さず、何が好きで何が得意なのかも周囲に印象づけない生活を送ってきた。
大学は2流、会社では仕事をそつなくこなすが飛び抜けて優秀ではない。
とにかく特徴がない・・・そう装って生きることが、自分の周囲に波風を立てず「平穏」に暮らせることを知っているからだ。
「能ある鷹は爪を隠す」というが、その能ある吉良吉影が、唯一特徴らしい痕跡を残していたのが「爪」を記録として残していたとは、なんという皮肉か。
自分が写った写真の空間を閉じ込め、支配する能力。
それが吉良親父(幽霊)のスタンド「アトム・ハート・ファーザー」。
写真に写っていない「枠」の外からは干渉できないし、写真そのものへのダメージは、写された人物に返ってくる。
そして、吉良親父は写真の中で行動を起こすので、その様子が見えているのに、仗助たちがいる空間では、物理的に阻止できない。
仗助のこのテンパリ具合がもうね・・・
無敵のスタープラチナでなんとかしてくださいよォーーーッ!!
しかし冷静な承太郎は、吉良親父の能力を逆手に取った。
「自分の写っている写真を支配する」というのなら、
こいつだけカメラで撮って、ひとりだけにすればいい。
う〜ん・・・ふたりに増えたらどうする気だったんだろう・・・
吉良親父が、こうまで必死に守ろうとしたもの、それは当然、息子吉影の平穏な生活なのだが、この家には、それを今後も守り続けるために必要なアイテムが隠されていた。
スタンド能力を引き出す「弓と矢」。
「弓と矢」は、十数年前にエンヤ婆から「手に入れた」と言っており「譲り受けた」とか、「託された」とか、「買った」ではないため、吉良親父が、スタンド使いを増やす使命を負っていたかどうかはわからない。
息子吉影と同じく、あまり他人に興味なさそうなので「盗んだ」とか、「騙して奪った」などの方が理解が易いが、吉良親父が病死したのが、第三部がまさに展開されていた12年前なので、「弓と矢」の件は、追跡されることもなく、そのまま放置されてしまったものと考える。
今後、親父が新たに生み出したスタンド使いが、皆が皆、吉良吉影を追う承太郎たちの邪魔をするとは限らない。
しかし、未知の超能力を手に入れた者は、何らかの問題を起こすだろうからひっそりと特徴のない生活を営む息子のための隠れ蓑にはなるだろう。
ただ、スタンド使い同士は引き合うというし、いずれ息子吉影も、ふたたび面倒な表舞台に立たされるときが来ることは、この親父、おそらくまったく考えていないだろうな。
次回:ジャンケン小僧がやって来る!
ところで、姿を消した吉良吉影は、今、誰になりすまし、どこに居るのか。
退屈な夫と愛想のない息子との生活に辟易する主婦、川尻しのぶのつまらない日常にある日突然訪れたロマンティックな出来事。
それは、夫:川尻浩作の劇的な変化。
手慣れた様子で妻の分まで食事を作り、ワインを給仕。
家賃の督促に来た口うるさい大家に、大家の鞄から盗んだ金で家賃を支払った。
シゲキに飢えていたしのぶは、一気に有頂天になる。
もっとも近くでこれまでの川尻浩作を見ていた、妻:しのぶが一瞬でメロメロに。
(新生)川尻浩作は、最初で最大の難関をまずは突破した。
これも、わずか6ヶ月で20センチの爪の伸びを記録している
今年の(元)吉良吉影の、運気のなせる業といえるのだろうか。
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。