サイトアイコン 我思う故に・・・新館

ONEPIECE 860「10:00 開宴」

ジンベエが離脱したタイヨウの海賊団は
茶会のゲスト護衛の影響で、島の警護が手薄になる「今」を狙って、魚人島へと出発した。

今が、無事トットランドを抜け出す最大のチャンスであり、
行き先が魚人島なのは、現在、ジンベエの仲立ちでかりそめの平和を享受しているリュウグウ王国が、ジンベエの謀反の影響を受けることを危惧してのことらしい。
今まで「我」を捨てて魚人たちのために奔走してきたジンベエが
クルーにはじめて明かした自分の「やりたい事」。
そのフォローをし、後顧の憂いなく行かせてやるのが仲間としての手向けだが、

送り出すアラディンの表情は険しい。
ビッグ・マムを敵に回すということが、どれほど無謀なことか、
またジンベエが命を賭して今回の決断をし、今生の別れになる可能性すらあること、
そしてフォローをするアラディンたちもただでは済まないであろうことが、よくわかっているからだ。
アラディンと政略結婚したビッグ・マムの第29女:プラリネは、ママの性格をよく理解しているはずだが、
惚れた夫に添い遂げられれば状況は問わないのか、それともママの眼が届かない新生活に、やはり憧れがあるのか、なんだか楽しそうだ。
いよいよ始まるママの茶会。
ゲストとして続々と集まる「闇の帝王」たち。

闇金、風俗、葬儀屋、マスコミ、裏倉庫、海運・・・
人間の欲望を司るビジネスと、貿易や戦争に関わる業務を担うものたち。
どいつもこいつも、まっとうな商売をしているようには見えない。
特に異彩を放っているのが、
世界経済新聞社社長のモルガンズ氏。
どう見ても「鳥」だ。
ビッグバードとイーグルサムを混ぜたようなその容姿は
ニュース・クーが鳥による輸送小売業態であることと無関係ではないだろう。
世界経済新聞社がニュース・クーを発行しているのかどうかは知らないが。
亜人・・・なのか?
フォーマルシーンにこの姿で現れるところから考えて
「トリトリの実」の能力者の獣人形態ということもないだろう。
「ヒトヒトの実」を食った鳥かもしれないな。
ところで、余談だが「モデル:大仏」ってのは反則だと思う。
なお、かつて連載していた絵物語に登場したとはいえ、世界経済新聞社が「ジェルマ66」と直接縁があるかどうかは、ちょっと微妙な表現が為されているが、モルガンズ氏はスムージーとも顔見知りのようだし、少なくとも今回はジェルマ側ではなく、ママのゲストという立場で招かれている。
世界に名だたる新聞社のトップが、「闇の帝王」たちと肩を並べて四皇の茶会に招かれていることは、全くもって笑えない。
現実社会のどこの新聞社がどう・・・とか言うつもりはないが。
茶会の警護を任されたファイヤタンク海賊団。
会場の入口でゲストのチェックをしていると、そこに現れたのは
ガッツではない。
ビッグ・マムの次男、将星カタクリ
見聞色の覇気を鍛えすぎて、少し先の未来が見えるらしい。

事実、会場前に現れた招かれざる客の行動を先読みして撃退した。
ベッジの計画にもっとも厄介な存在となりそうだ。
いやいや、カタクリの存在も能力も知っている上で「完璧な作戦」だったんじゃないのかwww
ここで、見聞色の覇気について少し触れよう。

レイリーによると
「見聞色の覇気」とは、相手の気配をより強く感じる力。
相手が視界の外にいても、相手の位置や数、次の瞬間に何をしようとしているかを読み取れるという。
なるほど、相手の筋肉の動きや息遣い、発汗や殺気を敏感に感じ取ることができれば、相手の攻撃は難なくかわせるだろうし、より緊迫した状態ならば、限られた次の行動のタイミングを御することもできそうだ。
しかし、それを異常に研ぎ澄ませたとして、
今回カタクリがしてみせたように

少し先の未来に起きることや話す内容を読み取ることまでできるものだろうか。
僕は、これにはカタクリカラクリがあると思う。
おそらく、
カタクリが異常に優れた「見聞色の覇気」を持っているのは事実なのだろう。
しかし「見聞色の覇気」をいくら鍛えようとも、未来のことが分かるようにはならない、と僕は思う。
カタクリの立場であれば、前回ママの茶会の誘いを断ったジグラが、どういう目に遭ったかを知っているのは当然だ。むしろ、カタクリこそジグラに父親の首を送りつけた本人であってもおかしくない。
そして、今回ジグラがママに対して只ならぬ殺意を持っていたことは、誰にでも分かる。
細かいセリフの内容などは、行動を阻止してしまえば結局は「起きるはずだった事象」でしかなく、大筋が合っていれば「ジグラが言いたかったことは本当はこうだ」と証明できるものは、ジグラ本人しかいない。ジグラを始末すれば真相は闇の中だ。
おそらくカタクリは、知り得た情報と緻密なプロファイルを元に、相手のことを「知る」プロなのだ。
そして、いざ相手と対峙したときには、卓越した「見聞色の覇気」で、ここぞという絶妙なタイミングで相手の出鼻をくじく。あとは説得力のある「先読みした相手の行動」を語れば、未来予知者の一丁上がりだ。
ペテン師とまでは言わないが、予期せぬ事態を先読みできるほどの実力を持っているとは、僕には考えにくいのだが・・・
カタクリが本当にルフィたちにとっての脅威となるのか、注目だ。
さて・・・
今回、例え話の体を取ってはいるが、

ジンベエがはじめて「麦わらの一味正式参入」への意思を明言した。
「ジンベエ参入する派」の読者諸兄はさぞ喜んでいることだろう。
しかし、以前から重ねて書いてきたように、僕は「参入しない派」なので
少々ひねくれた読み取り方をしてしまうことをあらかじめ断っておく。
ここでは、ジンベエの決意と覚悟が述べられている。
まず、このただならぬ覚悟を「死亡フラグ」と安易に捉えるつもりはない。

以前ルフィからも熱烈なアプローチをされているし、ジンベエも時が満たされれば必ず合流すると約束した。
しかし、結局のところその合流を先延ばしにした理由を完全には解決できていないことと、「その時ルフィが心変わりしていなければ」という条件付きだったことを考慮すれば、すでに決意の固い「麦わらの一味参入」を、この期に及んであくまで「例え話」として語る気持ちは理解できる。
ただ、僕が気になるのは、ジンベエに「目標」がないことだ。
麦わらの一味のクルーは、全員成長途上で、ルフィが海賊王を目指しているように、皆それぞれ冒険の目標を持っている。
ジンベエは、魚人島の安寧や魚人族の地位向上など、成し遂げたい目標を持っているが、それらはルフィが世界を変える存在となることを信じ、そのために尽力することが結果魚人族のためになるハズ…と、今では旧来の目標を二次的なものと横に置いてでも、ルフィのために命を捨てる覚悟だ、というのだ。

ジンベエの目下の目標は「ルフィの力になること」。個人の夢や野望ではない。
これが僕には麦わらの一味の中において、異質に思えてしかたないのである。
簡単な言葉で説明するなら、これも以前書いたことがあるが
「麦わらの一味は夢をもった未熟者の集団であってほしい。ジンベエは完成されすぎている。」
考察というよりも、これは僕の願いなのだ。
異論はあって当然だろう。

モバイルバージョンを終了