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ONEPIECE 861「演技派」


ベッジの”完璧”な計画の要「マザー・カルメルの肖像」
ベッジはこの写真を毀損し、そのショックでママが平常心を保てなくなったときを狙ってママを暗殺するつもりだ。
「マザー・カルメル」について何ら説明はない。
「この人だれ?」という誰もが思う疑問を率直に投げかけた初参加のゲストは

覇気で凄まれ卒倒した。
もてなす側がそりゃねェだろ、と思わないでもないが、茶会のゲストにも「格」があれば、ママにとっての重要度も変わる。親しげに招かれているとはいえ、立場は対等ではないということだ。
茶会とは本来「憩いの場」
ホストは美味い茶や料理を用意し、趣向やサービスを凝らして招待客を楽しませるものだ。景気のいい話や楽しい思い出を互いに語らい、歓びや感動を共有する場でもある。その場でママが「彼女こそこの世の光」と称えるマザー・カルメルについて尋ねることは、本来なら決して悪いことではないハズだ。
「おれの大切な人なんだ」と言えば済むものを、これは単に「詮索されることを許さない」というよりも「自分との関係性を明らかにできない理由がある」のではないかと疑ってしまう。
「思い出に踏み込んでくるな」と激昂するくらいだから、大切な良い思い出があるっぽいが、

「おれ達のマザー」「マザーこそこの世の光」という物言いからは、ママですら逆らえない世界規模の権力者である可能性も浮上する。
「マザー」という呼び名や装束から察するに修道女であるようだが、髪を隠さず手持ちタバコで笑顔の写真を残す当たり、真っ当な人物ではないように思う。
マザー・カルメルについては、まだまだ謎が多い、というか深そうだ。聞いても答えてくれないのだから、そりゃあ家族だって知らないワケだ。

そんなママも一気に機嫌を治す大好物、それが「宝箱」。

ママへの手土産を持参した招待客は、それぞれ贈り物に趣向を凝らせながらも、皆一様にパッケージは「宝箱」。ママが宝箱を大好きなことを知っているからこその演出だ。
ママにとっては、中身の贈り物が何であるかよりも、むしろ「宝箱に入っていること」の方が重要らしい。「玉手箱の御開帳」を今回のメインイベントのひとつに当てていることからも、中身に思いを馳せながら箱を開ける瞬間の昂揚感こそ、最高の好物であることが分かる。意外とロマンチストなのだな。
さて、その玉手箱。これから起こる騒動の大きな一幕となるか、それともすべて終わった後のオチとなるのか・・・。
ゲストは皆揃い茶会は始まった。会場の封鎖もほぼ完了し、ベッジの計画は進みつつある。

ところが、読者に親切なのはありがたいが、ベッジとシーザーが不用意に計画のことを話しているのを、ホーミーズの扉が聞いていた。

「情報の漏洩は予測不能の危機を呼ぶ」じゃねェ!慎重さが足りんわ。
くだんのホーミーズの顔部分をゴッディが削ぎ落とすことで事なきを得たようだが、元々はただの扉である。血も出ないし、これで死んだわけではあるまい。「顔」を失ったことで話すことはできなくなったが、意識はあるはずだ。ホーミーズは手足がなくても飛んだり跳ねたりして動くことができるし、身体をひねることだってできる。意思表示する方法がないとは思えないし、そもそも、島中どこへ言っても「壁に耳あり障子に目あり」のこのホールケーキアイランドで、扉以外のホーミーズは本当に今この場に居ないのか?
さて宴もたけなわ、いよいよ新郎新婦が登場する。

幸せそうに満面の笑みで現れたサンジ。・・・大丈夫か?・・・いろいろ。
僕が思うに、このサンジが示す可能性は三つ。
1.ひととき計画のことをすっかり忘れて幸せに浸っている。
2.真意を心の奥底へ秘めて、幸せ過ぎる新郎を演じている。

もうひとつは後で述べる。
ひととき忘れているだけならば問題はない。プリンに殺される瞬間に我に返っても間に合うからだ。

天性の女好き(と睡眠不足?)のせいで、プリンを警戒しきれなかったサンジ。控室ではすっかりプリンのペースで気持ちを弄ばれていた。果たして本当に吹っ切れて、演技をしているのか。

控室で「誓いの口づけ」の話題に興奮したサンジは出血したらしい。「壁に激突した」「出血がすごい」
まぁサンジのことだからすごい鼻血が出たのだろう。
では、壁に激突とは何だ?
サンジは、冷静になれないばかりか、この期に及んでプリンの色香に惑わされそうになっている自分を戒め、目を覚ますために自ら壁に頭を打ち付けたのか。それならば、今は冷静さを取り戻し、あくまで演技で幸せそうなふりをしているのだ。計画通り、問題ない。
しかし僕が心配しているのは、プリンのあまりの可愛さに我を失い意図せず壁にぶつかり血を流していた場合のこと。
3.プリンによって記憶を改竄されている。という可能性だ。

プリンは裏の顔でこの上なくイライラしていたので、極度に舞い上がるサンジを落ち着かせるために、仕方なくサンジの記憶を操作しようとしたかもしれない。頭をぶつけてもし意識を失ったとしたら、サンジにはそれに抗う術はない。ベッジの計画はすべてプリンに筒抜けになり、サンジは自身の結婚を「幸せ」と信じて疑っていない可能性があるのだ。

ベッジも驚愕するサンジの演技力。
それは果たして、本当に演技なのか、こみ上げる幸せに抗えなかったのか、それとも、改竄された記憶の中でかりそめの幸せにマジで舞い上がっているのか・・・。
余談だが:
ママと卓を囲んで茶を飲んでいるジャッジはともかくとして、

会場の動向を伺うレイジュ、食べることに没頭するヨンジ、ナンパに夢中のニジ、そして、ビジネスの話をしているっぽいイチジ。四者四様に思い思いのことをしている。
・・・何かを企んでいる可能性はもうなくなったと考えていいのではないだろうか。
今回のシリーズでヴィンスモーク家は、もう巻き込まれて助けられる対象でしかないのかな〜と思った一幕。

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