あとは仕上げを残してケーキの準備を万端整えたプリンたちの前に立ちはだかる4男オーブン兄。
ケーキを海上へ運ぶことは納得したものの
そりゃそうだ。
ママの「食いわずらい」を止めるために必要な人材だとプリンは言うが、土台のシフォンケーキが完成している以上、この後のコーティングやデコレーションは、必ずしもシフォンでなければできない作業とはいえない。
国中が混乱している今だからこそ、反逆者の始末などはできるときにする方がいい。
僕に言わせれば、脅されたとはいえ、敵の「ママ暗殺計画」に何度も加担・協力したブリュレも充分「反逆者」といって差し支えないと思うのだが、ブリュレはそれでもカタクリに愛されていた。
直接「計画」に携わった首謀者側か、脅されて協力させられたかの違いはもちろん小さくはないが、国の精神的・権威的・制度的にも唯一無二の存在であるママの命よりも、自分の命を選んだブリュレの行為は、極刑に値すると僕は思う。
ルフィを取り逃がし、保身のために虚偽の報告をした5男オペラに対する、19男モンドールの感情と対比すれば、ブリュレに対するカタクリの措置がいかに甘いか分かるだろう。
これは、男兄弟というだけの理由かもしれない。また、カタクリが他の兄弟以上にブリュレを溺愛している可能性もあるし、逆に、ルフィの手前庇ってみせたが、心の中ではすでにブリュレの処分を決めている可能性もある。
兄弟それぞれさじ加減が異なるようなので、ビッグ・マム海賊団も、家族だからといって無条件で愛するような、狂信的な一枚岩ではない事がわかる。
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その頃、ビッグ・マム海賊団の艦隊に追われるようにして、プリンたちが今いるカカオ島に到着したのが
オーブンはシフォンを人質にとり、ベッジをおびき寄せて一網打尽にするつもりだが、
快楽至上主義で、犯罪を犯しても「その結果得るもの」に興味がなかったベッジが、「人情なんかクソの役にも立たねェ」と言ったあのベッジが、愛する者を救うため、今、自ら戦火に飛び込んできた。
諸手を挙げて喝采する部下たちを見る限り、真っ向から勝負を挑む新しいファーザー像に感激、打ち震えている様子が見て取れる。彼らも心のどこかでこういう「カッコイイ」海賊への憧れがあったのかもしれない。
それにしてもベッジよ… オーブンの4m92cmの巨体を吹き飛ばしたのは、それはひょっとして…拳銃…なのか?
…ひょっとして「シロシロの実」は「ブキブキの実」の上位互換?
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一方、ルフィは鏡世界を使って、様々な場所に出ては入りを繰り返し、覇気が回復する時間を稼いでいた。
「覇気は消耗する。長期戦になれば、カタクリの見聞色の覇気も必ず弱くなる。」
これは戦いの中で気付いたのではなく、ルフィが実体験で知っていること。そして、カタクリの異常な見聞色の覇気も、例外ではないことが先の戦いでわかった。
しかし、カタクリの消耗を待つ間に、当然ルフィも消耗するわけで、これは現実的な戦法とはいえない。
そして、麦わらの一味のこれからの冒険のためにも、何よりルフィの本能がカタクリに対して文句のつけようがない最終的かつ不可逆な勝利を求めている。
そして、それを先読みしてかそれとも知らずか、カタクリもルフィが現れるのを待っているフシがある。カタクリにしても、今ここでルフィを取り逃がし、より強くなってふたたび対峙することの脅威を直感しているのだろう。
「少し先の未来が見える」というチート能力は、おそらくルフィには身につくまいが、今こそルフィがもう一段階強くなるチャンスなのだ。
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ところで同じ頃、海上のサニー号では、キャロットが気になるセリフを吐いていた。
ミンク族は、月夜に何か変化が現れるようなことを、以前ワンダが言っており、満月にもなればより凶暴性を増すとか、真の戦闘力を発揮できるとか、真相はまだ分からないが、なにやら秘密があるらしい。
そういえば、モコモ公国のミンク族は、”昼の王”イヌアラシ公爵と”夜の王”ネコマムシの旦那の派閥に別れ、夜と朝の6時を境に活動時間を分けており6時を過ぎると、抗いがたい眠気が押し寄せるのだったな。
キャロットは、仲が悪いとされていたふたりの王の間を取り持つ「王の鳥」という職務のため、その制約を受けないそうだが、では、普通に昼夜問わず活動していたペドロはいったいどうなっているのか?
また、プリンとカカオ島で出会った日の夜の月は、我々の月齢に照らし合わせると、満月の4〜5日前くらいか。(次のページでは満月を過ぎ欠けてゆく月に見える描き方がされているが、それは見なかったことにしよう)
その翌朝にホールケーキアイランドに上陸、結婚式はその2日後で、今はまだ挙式当日のはず。つまり今夜はまだ満月の1〜2日前に当たると考えられるんだが、その辺どうよ?