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ONEPIECE 889「未知のママ」

“あの”シャーロット家最強の男カタクリと同時に生まれた三つ子の兄弟、三男ダイフクと四男オーブン。


高熱で攻撃するオーブンは、ベッジはおろか非戦闘員であるパウンドにも不覚をとり、ランプの精の様な「魔人」を召喚して戦わせるダイフクの攻撃は、素早いキャロットを捉えきれないばかりか、


「腕力自慢の脳筋相手はラクで助かる」とばかりに、あしらわれる始末。同じ遺伝子から生まれながら、いったい何が彼らを隔てたのだろう。


そもそもママが様々な種族の男との間に子供をもうけ続けた理由は、大好きなマザー・カルメルの理想の国を建てるため。
今でこそ「四皇」の権威の下にビッグ・マムを慕う民が世界中から集ってくるが、リンリンがカルメルの理想の国の建国を志した頃、彼女はまだ駆け出しで何の信用もない海賊であり、恐ろしいまでの実力を持ちながら、しかし理屈のまったく通らない子供ガキだった。

ごく初期のリンリンが世界中あまねく種族から信頼を得て国家をイチから作るよりは、「血の絆」で家族として身近に縛り付ける方が現実的だったことだろう。傘下に入った海賊団に「血の盟約」を求めることも、ヤクザのような「ファミリーとしての結束」というよりはむしろ、多種多様な種族・個性を手元においておくことが重要だったのではないかと考えられる。

リンリンは、そうやってマザー・カルメルの理想国家(だと信じるもの)をここまで築き上げてきたのだ。
であればこそ、男三人の三つ子が生まれた場合、三人を等しく同じように育てようとするはずがない。様々な個性を育ませるべく、教育はもちろん、よりバラエティに富んだ「悪魔の実」を与えただろう。

ローラとシフォンは互いの個性までよく似て育ったように感じられるが、アマンドやスムージーの様にビッグ・マム海賊団において戦力としての価値が高い者以外の「娘」は、傘下の海賊団(すなわち様々な個性・様々な種族)をビッグ・マム海賊団に帰依させるツールとしての価値を重要視されたことが考えられ、個性的でママの役に立つ種族を婿入りさせるために、ローラやシフォン本人が個性的であることが軽視された可能性がある。

余談だが:生まれつきあまりにも醜かったブリュレは政略結婚の駒として数えられず、かといって戦力としても中途半端で、ルフィたちを足留めするだけの任務にクラッカーが派遣されたことからも分かるように、ママにはいずれの信頼も得ていない。
偉大な母の庇護をぬくぬくと受けながら、一族最強の兄にも可愛がられ、だからこそ自分の置かれた地位・環境に疑問を抱いたり、客観視・反省することもなく、命の危機が訪れれば我が身可愛さにママの暗殺計画に加担したりもする。
今のところシャーロット家において、保身のために虚偽の報告をした5男オペラと双璧をなす「クズ」と言って差し支えない。

〜閑話休題〜

ま、とりわけはじめの方の兄弟たちほど、バラバラの個性を求められたであろうことは想像に難くなく、カタクリは身体能力と性格と悪魔の実の強さがマッチして、その結果、偶然「最強」になった可能性が高いんじゃないか、と妄想してみた。


さて前回、満月の夜にだけ発動するミンク族の隠された能力「月の獅子スーロン」に变化したキャロットは、ビッグ・マム海賊団の雑兵の群れや脳筋バカのダイフクの攻撃をものともせず、敵艦隊の機動力を削ぐために、次々と舵輪を破壊していた。

しかしその能力は、正しく制御することができなければ、自我を失い死ぬまで暴れ続けるリスキー極まりない秘技であり、前回予想した通り、能力の使用限界や自分で止められない危険が潜む両刃の剣だった。


ダイフクの艦隊を戦闘不能に追いやり「月の獅子」はひとまずお役御免。サニー号に退路が開けたかに見えたその時、

ママ襲来!

ナポレオンを刃に宿し、おのが怒髪をプロメテウスの炎と燃やし、さらに理性を失った「食いわずらい」モードのままの憤怒の姿は、あたかも降魔覆滅する不動明王のごとし。こうなったらもう甘くない。(戦闘力一万以上は確実か…


船の乗り捨てを覚悟しろ、とは一体何をする気なのかジンベエ。

船を捨てたところでこの大海原の真中で、ジンベエ以外は行くところがない。一同に「下がれ」と言うからには、ジンベエが前へ出て対峙するつもりか。いや、これはママが少々暴れたり、バランスを崩してどこかを掴んだりする破損を覚悟で、ジンベエ一流のアクロバチック操船でママを振り落とすつもりなのではないか。

しかし今度はゼウスもまぬけにナミの言うことを聞いたりはしないだろう。そうは問屋が卸すものだろうか。

ジンベエの力技もいいが、このピンチを打破できるとしたら、ここはやはりママお待ちかねのウェディングケーキの到着ではないだろうか。
16時の段階でカカオ島まで9時間の距離にいたサニー号。風もあれば波も海流もあるので、向かい合う二隻の船が同じ速度なわけはないのだが、18時にカカオ島を出たベッジの船とサニー号が互いに近い速度で走っていたなら、21時現在もう出会っていておかしくない頃だ。


猜疑心の塊であるベッジをひと口でえびす顔にさせるサンジ作「シムシムホイップ」の破壊力。きっとママも何らかの反応を示すはず。
ひとつ気になるとしたら・・・


ベッジが言いかけた「ビッグ・マムが昔何者だったか」云々。

・・・そりゃあ、まだ明らかになっていないママの過去は山ほどあるだろうけど、一体何を言おうとしたのやら。・・・どうやらピンチは続く。

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