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ONEPIECE 897「ペコムズのカカオ島脱出作戦」

ペドロの兄貴が命を懸けたルフィの未来を、ここで閉ざさせる訳にはいかない。

ペコムズは自分の海賊としての立場よりも、ペドロが信じ、故郷の同胞すべての恩人であるルフィを、ペドロの遺志に倣い、自らの命を省みず、救う道を選んだ。

若くして国を出たとはいえ、たとえ殺され国を滅ぼされようとも仲間を売るような真似を決してしない、モコモ公国のミンク族としての誇りを失してはいなかったのだ。


鏡から出るや否や、スーロンに変身するペコムズ。ビッグ・マム海賊団を完全に裏切り、命が尽きるまで止められない作戦を選んだ以上、もはや保身の気持ちはない。あるのは、種族の誇りと恩人への義理のみ。覆面をしていたのは、少しでもスーロンに変化することを悟られにくくし、時間を稼ぐつもりだったのだろう。


しかし、目論見も正体もすべて一瞥即バレ。ペコムズは押さえ込まれ、ルフィは放り出された。

それではここで、満を持してサンジの出番だ。


一味のみんなを安心させる意味合いもあったと思われるが、「カカオ島を通過する策は一つだけ考えてある」と豪語したサンジ。まさかルフィを掴んで「スカイウォーク」で走って逃げるだけなんてことないよな…と思っていたんだが…

いや、まさかな。
それを「策」とは言うまいよ。

相手は名にし負う四皇の海賊団。宙を蹴る者くらい居るのが当然で、サンジたちはたちまち叩き落された。
サンジが飛び出したのは、ルフィが斬られそうだったからたまらず、だったのであり、サンジの「策」とは、まだこの後ここから脱出する方法に考えがあるのだと思いたい。
サンジの案は「カカオ島を通過する策」すなわち、サニー号がここから離れる手段について算段があり、とにかくルフィを連れて戻らねばはじまらないのだ、きっと。
そうでなければ、この期に及んでもう一度、わが身を犠牲にして一味のみんなを逃がそうと考える可能性も、サンジなら無くはないが、考えはともかく実際にそういう解決は、もうありえない。


あわや蜂の巣にされるかという場面。サンジとルフィを助けたのは、


「ジェルマ66」
奇遇だな…サンジ。おれ達もコイツらに一泡吹かせたいと思ってた!!


いつの間にやら近海にはジェルマの船団が現れ、砲撃を開始。戦況は大きく変化した。

「二度と関わらない」とジャッジと約束を取りつけ、そもそももっともケリを付けたかった問題が解決した今さら、ジェルマの兄弟をあてにするほどサンジは落ちぶれちゃいない。サンジの「策」はこれじゃない。

(舌打ちしてるしww)※後注:舌打ちの書き文字「チィッ」ではなくレイジュの左脚だそうです…
兄弟たちも、真意はともかく、あくまでサンジたちを助けに来たわけではないのだ。

ともあれ、アリの抜け出る隙間もないと思われた鉄壁の布陣に、大きな風穴が空いた。脱出成功の可能性は飛躍的に上がったが・・・これでトンズラして終わりなのか。えーと… あとやり残したことは何だっけ?

さて、件の「ジェルマ66」。


レイジュによると、イチ・ニ・ヨンジには感情がないらしい。実際、殺されそうな窮地においても怒りも嘆きもしなかったが、出来損ないの兄弟にいらつくのも、食事に好き嫌いをいうのも、立場の低い者を虐めて楽しむのもすべて「感情」である。彼らには、他人の行いを分析→評価したり、人を愛するなどの、人間を人間たらしめる重要な感受性がいくつか欠落しているが、物事に対して反射的に喜怒哀楽を見せることもままある。

彼らには「感情」がないのではない。言うなれば「感傷」がない。「人間らしさ」がないのだ。
果たして、今彼らを突き動かしている「感情」は、いかなるものだろうか。


茶会では…世話になったな


いやいや、あんたらコケにされてるさなか平然としとったやん。

自分たちを殺そうとしたことが腹立たしい? 父ジャッジの積年の夢を愚弄したのが許せない? それともまんまと一家総出でだまし討ちを喰らった自分たちが恥ずかしい?
いずれにしても、そんな感情があったのなら、あのときに怒るなり苛立つなりしたはず。あの時の彼らと、今のジェルマは違うということだ。

いったい何が違うのか。
この短時間で、感情表現のアルゴリズムを組み直したとでもいうのか。感情を抑えつけていた遺伝子操作をリセットしたとか?
う〜ん…後天的にそんな都合のいいことができないから、母胎に遺伝子操作を施し、胎児嬰児の段階から英才教育をしてきたわけで、今そんなことができるとは考えにくい。できるのならレイジュも感情消されてただろうし。

それに国を挙げての抗戦開始は、やはりジャッジの意志が反映していると考えるのが妥当だ。
上述した様に、兄弟たちにも「感情」はあるので、多少の怒りや苛立ちはあるだろうが、今彼らのその感情を確固たるものにしているのは父ジャッジの指令ではないだろうか。(うーわ…自分で書いてて超冷めるわ…

余計な感情をオミットされた改造人間にも感情が芽生えた、と考えるのがいかにも健全なのだと思うのだが、不健全な妄想野郎の僕としては、彼らに指令を与える父ジャッジのサンジに対する考え方さえ変われば、彼らは冷たい改造人間「人でなし」のままでかまわない。むしろそのままの方がキャラ的にいいとさえ思うのだ。

変わるべきはジャッジ。


あの「私が父親だと口外するな。恥ずかしいから」と、幼いサンジに残酷に言い放ったジャッジが、サンジを認め、過去を悔い改め、サンジの手配書を人に見せびらかしては「これ、わしの息子ですねん!」と、ニタリ自慢するような未来は来ないものか…(来ねェよ!

ってか、このシリーズが終わったら、サンジの手配書はどうなるんだろう。DEAD OR ALIVEに戻るのかなぁ…

ところで余談だが:

今回スーロンになりそこねた(っぽい)ペコムズ。
ひとたびスーロン化してしまったら死ぬまで暴れ続けるのだから、死なせないために失敗させたのだと思う。ただ、死をも覚悟してのスーロン化だったはずなのに、「目を潰す」と言われると「やめてくれー!」とは、これ如何に?

お前の覚悟はその程度なのか?ペコムズよ…。

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