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ONEPIECE 899「最後の砦」

ケーキを乗せたファイアタンク海賊団のノストラ・カステロ号は、当初の予定を大きく上回る距離をなんとか逃げ切り、シフォンが管理するふんわり島に到達したところで力尽きた。


船は破壊され、ケーキは放り出され、今まさにママがケーキに迫ろうとしている。

ママがこのケーキを口にすることはもう止められない。裏切り者のベッジとシフォンがこのケーキ作りに一枚噛んでいるからには、あくまで「ケーキに毒が盛られている」前提で考えるペロス兄。

とにかく毒を盛っていないはずがない。ママの身体は衰弱してきているし、毒が効かなかったら、まず奇跡だ。そして、総料理長のシュトロイゼンが何日もかけて作った特別なケーキを、たかだか数時間で再現したものを果たしてママが美味いと感じるか。美味ければ、それはさらなる奇跡なのだ。

最終的にケーキに毒が盛られているかどうかはベッジ次第だが「食べたい奴には食べたいものを食べさせてやる。それも超一流のものを。」というサンジの心意気がもたらす結果を「奇跡」などという曖昧な言葉で表現されるのはいささか気分が悪い。

想像を超えた極上のケーキの味。そしてそれ以上に、この状況でママを止めるためにケーキを作ったサンジの男気に感じ入ることがないならば、もう所詮ママはその程度の器の海賊だったと考えるしかない。


ただ、ママは自分が「食いわずらい」という極めて傍迷惑な持病持ちであることを知らない。

どうやら国民には「たまに起こる癇癪」と説明され、家族はそろって口をつぐんでママに知らせないようにしている様だ。おそらく「食いわずらい」の真相を明らかにすることは、マザー・カルメル失踪の謎につながる、リンリンにとって忌まわしい記憶を掘り起こすことになりかねないからだろう。そんなことを考えるのはシュトロイゼンしかいないだろうが。(限られたごく数名の子どもたちは知っているかもしれないな…)


だが、国民にも「癇癪」という説明では、もうそろそろ納得できる限界がきているようだし、新聞屋モルガンズと天竜人の犬ステューシーから、今回のいろんな失態が外界へ漏れ出ることも時間の問題だ。

とにかく、ケーキを食ったママは正気に戻るだろう。そこでママにどんな変化が現れるのか。このシリーズの騒動の収束はそこに懸かっていると僕は考えている。

サニー号は逃げる。
追手の船団への砲撃を指示するジャッジは、サンジを一瞥したあとルフィに問いかけるんだが…

その意図がいまいちわかりにくい。
「もうお前に近づかない」と一応は約束したし、子に捨てられた立場としては、今さら直接サンジに声をかけることはプライドも許さなかったと思うが、じゃあ、とばかりにルフィに向かって自分がサンジの気に入らない箇所を列挙するも、


それらはルフィにとってひとつもサンジの悪いところではなかった。

ルフィは今、他人の感情を感じ取ることができるはず。かつてのルフィであればペコムズの変装を見破ることもできなかっただろうし、ツンデレの言葉の裏を読むようなこともできなかったが、今のルフィはひと味違う。であれば、ジャッジの罵倒には、それを本当は受け入れたい感情が隠されていたと考えられる。(チョッパーは単に言葉をそのまま受け取ったんだろう。

サンジはジャッジの妻ソラが命を懸けて生み落とした唯一人間らしい人間。自分の望む息子とは真逆の存在だったが、生まれてしまったからにはソラの意志も尊重したい、というジャッジのソラへの想いがあったのであれば、牢に繋いだ幼いサンジに贅沢な食事を与え続けたことも、サンジが逃げ出す際にサンジに危険が及ばぬようにジェルマとの関係を絶たせるかのような物言いをしたことにも合点がいく。

新しい妻を娶ったり、妾に子を産ませるなどして、ゴジ、ロクジ…とより改良を重ねなかったことからも、ソラはジャッジにとって唯一無二の特別な存在だったことが分かる。

ソラへの想いが、ソラの願いを体現するサンジの存在を肯定させている可能性は十分に考えられる。

世界政府とのなにやら特殊な関係性を終わらせる覚悟をしてまで、自らの積年の野望に邁進してきたジャッジ。それが叶わぬ今、野望を推し進める新たな方策を考えるか、それともあきらめて隠居し、ソラとの思い出に暮らすのか。まぁ、もうそんな深いところまで描写する機会はないだろうけど…。


さて、パドル船をかき集めて先回りし、サニー号の行く手を阻むビッグ・マム海賊団。後ろからはダイフクの魔人が追いついてきて、すっかり囲まれてしまい、万事休す。

そこに現れたのは…


タイヨウの海賊団!


ちなみにワダツミはホーディ一味ではなく、バンダー・デッケンの部下なんだが、ナミたちはその辺の細かい勢力分布は知らないんだな、きっと。

次回は900話記念巻頭カラー!だそうだが、特別な期待はしていない。
むしろ、扉絵特集のゲルズちゃんはオアズケかぁ… って方が僕的には重要なのだ。

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