ドフラミンゴをも倒したルフィの怒涛の攻撃は、カイドウにはまるで通じる気配もなく、カイドウの金棒のたったひと振り(何かしらの「技」のようではあったが)で勝敗は決してしまった。
ルフィの戦いは、常に何かを守る戦い。守るべき仲間やお玉をすでに失った(かもしれない)状況で、ただそのことに憤慨するルフィ自身の私怨をもっては真の力は発揮できなかったのかもしれない。そこに「後悔」という後ろ向きの思考が加わっていたのなら尚更である。
意識を失ってなお「覇王色の覇気」として撒き散らされるルフィの怨念に込められた感情は、果たしていかなるものか。
だが、カイドウはルフィの怨念に「覇王色の覇気」とはまた別の意志を感じたようである。
不屈の闘志か虚勢か知らねェが、さっきからずっとおれを睨みつけてきやがる。
白目をむいて意識を失っているルフィの、いまだ鎮火しない激情がカイドウに何かを訴え続けていることが、カイドウにだけ伝わっているのだ。
ルフィの意志の強さや将来性を認めたはずもなかろうに、まさか、ルフィの「生き物の感情を感じ取る能力」は、感情を伝える能力でもあるのか、それとも、カイドウもまた似たような他人の感情を察知する能力を持っているのか。
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ともあれ、ルフィを討ち取ったことで、怒り上戸がおさまったおかげで、錦えもんたちにまでカイドウの疑いが届くことは、ひとまずなくなったと考えて良さそうだ。
その錦えもんたちは、しのぶの「熟れ熟れ」の能力で瞬時に地盤を腐らせ、地に潜ることでカイドウの攻撃を躱すことができていた。(ナミたちだな。錦えもんは別行動でした。)
しのぶの面白い能力については、いずれまた語ることがあると思う。
その頃、いまだ潜入指令続行中の仲間たちは、ルフィの巻き起こした騒動をかわら版で知り、みな一様に
ルフィが海賊であることを伏せてあることをはじめ、カイドウやオロチに都合よくどんな風に脚色されているか分かったものではないので、官報をバカ正直に信じる必要はないのだが、個人的にこの変顔はちょっと受け入れがたい。
エネル・ペローナ・シュガーに代表される、例の驚愕顔に飽きたんだろうけど、ちっとも笑えない。
あと、ルフィはおこぼれ町以外では「ルフィ太郎」と名乗っていないはずなんだが、かわら版では「ルフィ太郎という侍」の扱いになっている謎。オロチに都合のいい提灯記事を書く御用記者が、綿密な聞き取り取材をしたとも考えにくいし、お菊がそう呼んだのを誰かが聞いていたとかなんだろうか。
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翌日、ルフィ太郎は、市中引廻しの上、牢獄へと連行された。
その牢獄には、先だってカイドウに半殺しにされ、洞穴のような牢に幽閉されていたユースタス・キャプテン・キッドもまた投獄されており、毎日与えられる毒の魚を食ってでも生き延びてカイドウに報復する機会を待っていた。
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ところで、
「心をへし折りゃ、いい戦力になる」というカイドウの発想が、モリアと同レベルで萎える。
モリアの場合、性格や戦闘能力をそのままにより強靭な肉体を与えた、自分に従順な「影」のゾンビソルジャーを次々と増やしていたが、カイドウはルフィやキッドの心が折れるまでとは、いったいその戦力はいつ手に入ることやら…。モリアより全然効率悪いし、第一、仮にルフィの心が折れたとして、いい戦力になると本気で思っているなら、なんともおめでたい話だ。
まぁ、他力本願で海賊王になりたいモリアほど、強い部下を(手っ取り早く)欲していないということなんだろう。
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ここで、次号休載とともに、なんと…
短い数日間の間に、世界会議と並行して起きている事件なので、世界会議編の方へ戻るのだろう。
幕が下りてもう一つのシリーズに移行するって、
からくりサーカスを思い出す。なんともタイムリーなネタだわ。
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さて余談だが:
ルフィを連れて逃げようとしたローは、ホーキンスに海楼石でできた「釘」を撃ち込まれ、その動きを封じられ、単独で脱出するより他なかった。
ホーキンスが言うには、海楼石はワノ国で生まれ、釘のように小さく加工できる技術者はワノ国にしかいないらしい。
・・・って、そりゃ光月家の伝統技術やないんかい!
光月家はその昔「歴史の本文」を作った石工の家系。光月家以上に卓越した石工の技術を持つ者がいるとは考えにくいのだが、その弟子とか競合する同業者とかが、「歴史の本文」は加工できずとも海楼石は加工できるというレベルなのだろうか。それとも、光月家の石工の技術を引き継ぐ者が生存しているのだろうか。
劇場版「Z」で、ゼファーが、海楼石でできた銃弾を使っていたのもワノ国の技術者の仕事だったのだろうか。
鎖や手錠に加工するのは(小さくないから)海軍の技術者でもできるというのだろうか。
これ、さりげにすごく重要な情報だよな・・・
さらに余談だが:
捕まったからには、当然武器のたぐいは没収されただろう。
二代鬼徹は今いったいどこに・・・