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ONEPIECE 936「大相撲インフェルノ」


兎丼の採掘場に囚われていた男は、かつて錦えもんたちと共におでん様に仕えた河松だった。


シルエットから察するに、編笠をかぶった小柄な方が”河松”で、巷で噂の「鎌ぞう」に似た髪型の男が”傳ジロー”だったようだ。

とすると、20年前にトキ様の能力で錦えもんたちが未来に飛ばされる様を目の当たりにし、死にゆくトキ様から日和様を託された可能性が極めて高い。
河松は、13年前からずっと幽閉されていたらしいので、それまでの7年間、オロチの追っ手から日和様を守り、逃れ続けていたのだとすると、そのとき日和様は13才。後見人を失った日和様は、もっとも多感な時期に激動の運命に翻弄されて「なぜ自分だけが…」と、いなくなった兄たちを怨みに思うことなどなかっただろうか。
生きていると仮定して、今の日和が、モモの助たちと志を同じくして共に戦えるのか、アシュラ童子が言うように、もっとも辛い20年間を留守にしたモモの助や錦えもんたちを皆が皆喜んで迎えるとは限らないのだ。

とはいえ、これまで屈辱と毒の苦しみにひたすら耐えるしかなかった河松に希望が芽生えた。
というより、伝説通りに20年後に戻ってきたモモの助たちと共にカイドウ・オロチを打倒することに微塵も疑いを持っていない。


そんな河松が言う。「ヒョウ五郎親分は死なせるなよ」
ヒョウ爺がなにか鍵を握っているらしい。…日和様の消息に関わることか、それとも討ち入りに必要な人脈のことなのか。


クイーンが提案するゲーム(処刑)とは、大相撲地獄インフェルノ

日本での相撲は「国技」であり、もともと神に捧げる儀式だったのでほかの格闘技とは少し趣が異なっており、自分で「する」よりは「観る」格闘技の印象が強い。たしかに空手や柔道、剣道などと比較すると、教わって習得する場も限られている気がする。
ワノ国では反乱の芽を摘むために、あらゆる武道が禁じられているため、観る格闘技「相撲」それも、自分たちで研鑽する場がないのでアマチュアがなく「大相撲」だけが人気の娯楽となっているのだろう。


「大相撲インフェルノ」とは、ルフィとヒョウ爺を相手に人数も武器も無制限のエンドレスデスマッチ。しかもルフィたちには土俵から外に出ると首が飛ぶ首輪がはめられた。
ただ、海楼石の手錠は外されたので、土俵の中でだけルフィは全力が出せる。
さっそく覇王色の覇気でザコを一掃して、ルフィはやる気マンマンだが、腹一杯とはいえ、きびだんごしか食っていないルフィのスタミナは果たしていつまでもつものやら。

そもそも、極端に刃物に弱かった以前のルフィならいざ知らず、手錠が外れた今なら武装色で硬化すれば首輪の仕掛けにも負けない様な気がするんだが…
ってか、覇気と悪魔の実は関係ないんだから、海楼石の手錠をはめてても覇気が使えない理由にはならないんじゃないのか…
例えば眉間とか、臍下丹田とか、身体のどこかに尋常ならざる力を込めないと覇気は使えないんだろうか。

ともあれ、ルフィと対等に戦えそうなのはクイーンしか見当たらない。ルフィもそれを見越して、さっさとクイーンを引っ張り出そうとしているんだと思う。しかしこの相撲においては、ルフィは「ヒョウ爺」というアキレス腱を抱えているので、どうなるかは分からない。
ま、チョッパーたちが着くまで時間が稼げたら次の展開に進むだろうさ。

その頃、ナミたちが休息がてら汗を流しに行った湯屋には、


足首に逆さ三日月の刺青を持つ人物を探すホーキンスと、おそばマスクを探すドレークが来ていた。
そしてやはり


この男も来ていた。

ドレークが女の裸に弱いという弱点が明らかになったが、そんなことより、


北の海出身者ふたり(いや、先日のローも含めて三人)の「おまえらどんだけジェルマ66に憧れあるねん!」度合いに恐れ入った。

で、ホーキンスがナミの存在に気づいたわけだが、ホーキンスはなぜナミの顔を知っていたんだろう。たしか…、会ったことないと思うんだが、カイドウの配下として、ワノ国に向かっていることが明白な麦わらの一味とハートの海賊団について予習をしていたということだろうか。
だったらステルスブラックの正体についてもなにか気づくことがあっても良さそうなものだが、しかしホーキンスは、この期に及んでナミのことをドレークをはじめほかの誰にも伝えていない。
一緒に湯屋まで来ておきながら、逆さ三日月の刺青を探す、すなわちオロチへの反逆者予備軍を検挙するという重大なミッションが、ドレークにとっては「雑用」なのだそうだ。
これは上からの命令で逆さ三ヶ月を探しているのではなく、ホーキンスの独断である可能性がある。逆さ三日月の意味をドレークには伝えていないのかもしれない。やはりホーキンスにはなにか考えがあってルフィたちの情報を報告しないでいるという疑いは深まるばかりだ。

さらに同じ頃、


刀を盗んだ男にようやく追いついたゾロ。どうやら盗まれた刀は「秋水」らしい。

この男が、国宝ともいうべき「秋水」を狙ったのは、愛国心ゆえか、はたまた私欲による行為か。
この「武蔵坊弁慶」っぽい男を倒す、もしくは味方につけることができれば、おそらく1000本の刀が、そしてヒョウ爺を救い出すことができれば5000人の同心を集めることも不可能ではない。
民主政治じゃあるまいし、単純に人数で決まるものでもあるまいが、少ないよりはいい。花の都などで優雅に暮らす選民以外の大多数の貧民たちの心を動かすこともできるだろう。
かなり細かい部分が動き始めたね。

さて、名刀「秋水」がワノ国から失われたのは、23年前の「海賊騒ぎのドサクサ」だという。

ロジャーが「偉大なる航路」を制覇したのが25年前。ロジャーが自首し、処刑されたのが24年前である。
そして23年前に「海賊騒ぎ」があって、20年前に光月おでんが処刑された。

いったい「海賊騒ぎ」とは何か。
国外に出ることすら大罪であるワノ国において、一地方を治める大名たるおでんが、海賊船に乗っていた事実が告発されれば、それは大変な「海賊スキャンダル」に違いないが、あくまでワノ国の内輪の問題でしかない。
国を挙げての大騒動のさなかだったからこそ、伝説の剣豪の墓をあばかれても気づかなかったのだろうから、ここはやはり、外から海賊がやって来て「騒動」を起こしたと考えるのが妥当だと思うのだが…、いったい誰だろう。

鎖国国家のワノ国では、おそらく「海賊」イコール「悪であり犯罪者」という定義がなされているものと思われ、現在のカイドウは、公にワノ国では「海賊」と分類されていないはずだ。だからカイドウがワノ国にやって来た時のことではない。

かつてカイドウと互角に近い勝負をして(?)敗れたモリアのことだろうか。
モリアがワノ国にやって来て、それをカイドウが撃退したことをきっかけに、カイドウを神格化して手を組むことをオロチが思いついた(誰かに提案された)のだとしたら、その敗走のドサクサに、モリアが伝説の剣豪の死体と名刀を盗んでいったとしたら一見辻褄が合う。しかし、モリアがDr.ホグバックと出会ったのは12年前とされているので、23年前に強靭な死体を求めていたとは考えにくい。


根拠はないが、こういうのはどうだろうか・・・

光月おでんは、ワノ国は開国するべきと考えていた。
自給自足できる国力と、高い武力、活力ある民衆、そして、他国にはない「海楼石」とそれを加工する技術。これらをもって、外国と対等に並び立ってこそ、ワノ国の正しい未来は拓けると考えた。
そこで、ロジャーとの航海で得た情報や人脈を通じて、海外と独自に、しかし秘密裏に交流をはじめた。
だが、その相手の中には可からぬことを企む輩が紛れ込んでおり、文化の違いもありワノ国本土でなにか大問題をおこした。それが「海賊騒ぎ」で、はからずもその結果、おでん様は罪に問われ、不用意にワノ国入国の道筋を作ってしまったため、後にカイドウを導き入れることにもつながってしまった・・・とかな。

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