「死ぬものか、死なせるものか」の一念で、無我夢中で首輪を破壊したルフィ。
その技の子細も、シチュエーションも、シャボンディのヒューマンオークションでレイリーがケイミーを助けたときと極めて酷似しており、ルフィも、あのときレイリーがやったヤツだ、と確信こそするものの、今自分が何をどうしたのかは、まるで覚えていない。
それもそのはず、当時のルフィは覇気を知らなかったし、レイリーの手元を見ていない。
そして何より、2年間の修行の間に、当のレイリーからその手解きを受けなかったのだから無理もない。
基本的にルフィの自主性に任せたのか、修行中、レイリーはたまにやって来てルフィの成長具合を確認し、わずかな手合わせと助言を与えてまたしばらく放置して、を繰り返していたのではないかと、僕は考えている。
その間にルフィが、象銃エレファントガンや猿王銃コングガンなどの、自身のゴムの特性を活かした(ある意味邪道な)覇気の使い方を編み出していたが、早くも障壁にぶち当たった際、レイリーは覇気の別の角度からの応用方を考えるよう、ちゃんとヒントを出していた。
たが、ルフィはそれに気付かなかったのか、それとも意地になったのか、そのままの方向性で押し進み、ひとつの方法論として大猿王銃キングコングガンを編み出した。
猿王銃などの技はとてもルフィらしさが出ているのだが、残念ながらカイドウには通用しなかった。その一方で、他の「武装色使い」が使う「触れずにブッ飛ばすパンチ」を身に付けることができれば、カイドウに一矢報いることができそうだとルフィは考えている。
仲間や弱者を守り、四皇をも越える実力をつけるための修業だったはずなのに、レイリーはなぜその正統な「覇王色の覇気」の応用進化形をルフィに教えなかったのか。
単に時間が足りなかったとは考えたくない。そこには明らかな意図があったと、僕は思いたい。
レイリーは「ルフィらしさ」を尊重したのだと思う。
ルフィに若き日のロジャーを重ね合わせていると思しきレイリーにとって、道標を示すくらいのことはあっても、ルフィの進む方向を限定し強制することは愚の骨頂に等しき行為なのだ。
そしてまた、正統な覇気の強化・進化ならば、いずれ身に付ける機会もあるだろうから、その時にそれを理解し修得するための地盤を、あくまでもルフィ色に固めておきたかった。さらに言うなら、ルフィならではの強引で破天荒で自由な発想が産み出す技の誕生を、レイリー自身が楽しんでいたのかもしれない。
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で、
そんなルフィの一瞬の煌めきにオールインする肚を決めたヒョウ爺が言うことにゃ、
見えない鎧を纏う「覇気」はすでにヒョウ爺がレクチャーできるレベルを越えており、その先の「内部から破壊する覇気」も、さっきできたのだから、もうできるはず。
さっきのような、危機一髪の状態をつくり、チャンスは一回!さぁやってみろ!とばかりに意気込むも…
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リンリンがソルソルの能力や覇気を込めて攻撃してこなかったことが幸いしたか、ふたりは共になんとか無事だったが、
怒りの収まらないリンリンは、兎丼の壁を破壊しながら、逃げるルフィを執拗に追い回す。
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クイーンの「無頼男爆弾」のショックで、リンリンは記憶を取り戻したが、頭痛が原因か、それとも空腹からか、しかし安らかに眠ってしまったリンリン。
記憶を取り戻し、おリンから四皇「ビッグ・マム」に戻ったリンリンは、クイーンが瞬時に死を悟るほどの怪物。
海楼石と麻酔で厳重に固め、超厳戒態勢で大至急鬼ヶ島へ運ぶことになった。要するにクイーンでは手に負えないから、キングかカイドウに丸投げしてしまうつもりなんだろう。
兎丼に最低限の人員を残して、大慌てで鬼ヶ島へリンリンを移送するクイーン。
いつ目を覚ますか分からないので、一刻も早くカイドウに引き渡したい気持ちは分かるんだが、移送途中でママが目を覚ませばどのみちクイーンらは全滅だ。おそらく海楼石なんて気休めにしかならない。本来の任務を放り出して、ほぼ全軍で兎丼から撤退する意味がよく分からない。
しかし・・・
隠れて様子をうかがっていたモモの助とたまが、なにか早まった行動をするみたいだが・・・クイーンの船に密航するつもりなのか・・・?
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ところで、リンリンは兎丼をぐるっと一周して戻って来たそうだが、
それって、ヒョウ爺なじみの親分たちがいるという5つの作業場がすべて繋がったってことだよな。
ほんでもって、
今、兎丼で最も強い男が、文句なくルフィに違いないわけだ。
兎丼はもう解放されたも同然だ。しかし生命の危機のような状況なくして、果たしてルフィは覇気を進化させることができるのだろうか。
余談だが:
今回、「無頼男爆弾」の一コマを除いて、すべてのコマで恐竜体のクイーンにヒゲが無い。
単行本修正案件だろうなぁ・・・どうでもいいけど・・・
あと、もっかい書いとくね。