赤い「ロード歴史の本文」が、ワノ国にも在った。ロジャー曰く、これで四枚すべてが揃う見込みができたそうだ。
少し整理してみようか。
ルフィたちの現在の時間軸では、ゾウにひとつ、ビッグ・マムとカイドウがひとつずつ、そして最後のひとつの行方は不明となっている。
ワノ国にあるというひとつ。これが現在カイドウが持つ「ロード歴史の本文」だろう。
ひとつはリンリンから奪った「1枚」と言っているので、おそらくは写しを採ったもので、今も変わらずビッグ・マムが所有しているものだ。
次のひとつは、現在もミンク族が密かにゾウに保管しているものなんだが、現在も所在がしれない最後のひとつについては「心当たりがある」とロジャーは言う。
てっきり僕は、前回おでんと白ひげに説明しているときに持っていたものが「赤い石」の写しかと思っていたんだが、たしかに「この文字」が刻まれた赤い石と言っているだけで、それが赤い石だとは言っていなかった。
リンリンから奪った「写し」は、それ以前に入手した可能性もあるんだが、そうだとしたら、奪った時点では、それが最後の島へ必須の手掛かりだとは、ロジャーもリンリンも知らなかった可能性が高いな。
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では、問題の最後のひとつは…というと、
魚人島の「海の森」だ。
ここに残された、ジョイボーイから人魚姫への謝罪文が刻まれた「歴史の本文」は、現在ではひとつだけぽつんと立っているんだが、かつてロジャーとおでんが立ち寄ったときには、色の違う「歴史の本文」がもうひとつ並んで立っていた。
後に巡り合うゾウに在る最後の「ロード歴史の本文」と同じトーンが貼られているので、同じ色、すなわち「ロード歴史の本文」と見て間違いなさそうだ。
いったい最後の「ロード歴史の本文」は、いつ誰がどこに持ち去ったのか。
まぁ…ロジャーの死後なら、「ひとつなぎの大秘宝」を求めて水先星島まで辿り着く者がいてもおかしくない。前例があるんだからな。そして「ロード歴史の本文」のことに気づけば、海の森の赤い石はなんといっても野ざらしに置かれているのだから、ほかの海賊の目に触れさせたくなければ、破壊できない以上持ち去るしかないわけだ。
さぁ、最後の「ロード歴史の本文」を所有しているのは誰だろうな。
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かくして、ロジャーは「偉大なる航路」の覇者「海賊王」となった。
おでんの自著によると、真の最後の島に本当にあった「莫大な財宝」を目の前に、ロジャーは
笑った。
ロジャー海賊団の仲間たちも同様に、涙して大笑いした。
ロジャーはその「莫大な財宝」を、「とんでもねェ宝」「とんだ笑い話」と評し、最後の島を「笑い話ラフテル」と名付けた。
「空白の100年」「Dの一族」「古代兵器」、世界のすべてを知り、誰かが手にしたら世界がひっくり返るという「ひとつなぎの大秘宝」を目の前にして、それをしなかったロジャー。
ロジャーたちがなぜ笑ったのか、いろいろ妄想は捗るが、それは作中で明かされるまで分からない。
ただ、どうやら「ひとつなぎの大秘宝」とは、800年前頃にジョイボーイが遺したものであるらしい。
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ジョイボーイとは「空白の100年」に実在した地上の人物で、古代兵器ポセイドンとして特別な存在だった当時の人魚姫と交わした約束を破った(守れなかった?)とされており、そして、いずれ必ずその約束を果たす者が現れ、巨船ノアを使うと伝えられている。
世界の歴史の全てを知ったロジャーが、世界をひっくり返すことはなかった。
単に、ロジャーがそれを望まなかったという可能性も無くはないが、「この世のすべてをそこに置いてきた」と世界を煽って新しい時代を切り拓いたことには、ロジャーが、そしてジョイボーイが果たせなかった事を、未来の「誰か」に託す意味合いがあったのは疑う余地がない。
ノアを護る海王類を操るポセイドンたる人魚姫の生まれ変わりが、しらほしとして覚醒した現在、ジョイボーイの果たせなかった約束を果たす人物が現れるとしたら、海王類の声が聞こえるルフィ以外には考えにくい。
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ところで、
最後の島へ赴く直前に、高熱を出したバギーとそれに付き添ったシャンクスは、最後の島に上陸することはなかった。
958話でおでんがロジャーたちに謝意を表した宴会は、おでんの語りを聞く限りでは、世界のすべてを知った上で今後の指針を決めたように聞こえる。すなわち最後の島へ到達したあとの話だ。
しかしそこには、シャンクスとバギーが、さも共に同じものを見てきたように、しれっとそこに居た。
バギーの熱が下がってから合流したんだろうか。
世界のすべてを知ってなお、あんな無計画で運頼りの海賊稼業に満足していたとは普通考えられないので、少なくともバギーは最後の島についての「話」すら、ロジャー海賊団の仲間たちから聞かされていないと思われる。
・・・シャンクスはどうなんだろうな・・・。
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ロジャーの船は「ロード歴史の本文」を見るためにワノ国に立ち寄った。
その際、体調を崩したトキと、子どもたちとイヌネコはワノ国で船を降りたが、おでんは旅を続けた。
その時、錦えもんたちの服はボロボロで、ワノ国の遠景も一変しており、すでにオロチとカイドウの企みに蝕まれていたことが分かる。おでんもそれに気付いていた。
それならば、ロジャーの冒険がすべて終わったら、一刻も早くワノ国へ帰ろうとしないもんかね。ズ太い神経の大人物なのはわかるが、自分に責任がある家臣の、家族の、そして故国の一大事に余裕をかませるおでんではないはずだ。
958話の宴会のタイミングが最後の島へ旅立つ前だったなら、まだ理解しやすい。シャンクスとバギーがそこに居たことにもな。
だが、「20年以上先の未来を待つ」との発言は、やはり最後の島への上陸後としか思えないのだ。
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今回の回想でロジャーの冒険は終わった。
あとはおでんがワノ国へ戻ってから処刑されるまでの5年間だ。
ワノ国と「世界」との繋がりとは、いったい何か。ワノ国は今どうなってしまっているのか。
今回の回想も8回に収まるのだろうか・・・。ま、一旦現代に戻る可能性もあるのかな・・・
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ところで
最後の島の莫大な財宝を「ひとつなぎの大秘宝」と名付けたのもロジャーなのだろうか・・・