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ONEPIECE 974「いざ、鬼ヶ島!!」

精鋭とはいえわずかに7人、小舟で嵐の海を渡り、打倒カイドウ。


あまりのムリゲーに「やめてくれ!」と叫ぶモモの助の懇願も虚しく、練りに練った計画がもはや延期できない事情に加え、抑えられないほどに高まった怒りと決意、いっそおでんへの忠心に殉じたいという捨鉢な感情が綯交ぜとなり、赤鞘の侍たちは舟を漕ぎ出す。

しかし、あまりの無謀。自らの置かれた状況を悲観視した菊が言葉を漏らす。


赤鞘の全員がそう疑いながら「そんなはずはない」と信じたくなかった内通者の存在。
決死の覚悟を決めた侍にとっては、今さらそれが明らかになったとてどうしようもない、ある意味「女々しい」言葉が、菊の口から出たことに違和感を覚えないのは、スマンがおそらく容姿のせいだな…。

だが菊に次いで、裏切り者の存在を声高に訴えたのは、誰あろう、内通者本人だった。



おれの名は黒炭カン十郎。理由はこれでいいか。

狂気

大衆演劇の一座に生まれ、黒炭への迫害で舞台上で両親が殺され、幼きカン十郎はこの世での生き方の標を失った。(いつ両親を失ったか、その時幼かったかどうかは僕の想像だが)


演劇の世界で身につけた「何者かを演じる術」で社会と接し、なんとか生き長らえてきたが、それは自分という「個」がない人生。金や職や地位、交流など得たものへの執着も、向上心もなく、おそらくは渇望すらない虚無の「ただ生きているだけ」の人生だっただろう。

カン十郎自身は、光月家やワノ国の理不尽な政治システムに怒りも絶望もなく、自分たちを迫害したワノ国の民へすら恨みの感情もなかったようだが、血縁の人間の役に立てるという「生きる理由」「演じる目的」「死に場所」を見つけた。


カン十郎はオロチに服従し、命令通りに光月家に潜入したが、個人の感情や判断で動くことは一切せず、20年の長きに亘って赤鞘の侍たちと同志でい続ける一方で、情報と金をオロチに流し続けてきた。

釜茹でも、今回の無謀な討ち入りも、”仲間”とともに行動し、よしんばそこで命を落としたとしても、それでこそ完璧に「夕立ちカン十郎」の生涯を演じきることになると考えていた。(ところで「夕立ち」って何だろう・・・


内通者はカン十郎で、カン十郎は黒炭であるという予想は、971話でオロチの生い立ちが語られるやいなや、ネット上で起きていた。

僕は、それよりもけっこう早い段階から「カン十郎が味方と思えない」と何度となく書いてきたのだが、特に根拠があるわけではなかった。「直感」という程でもなく、あくまで「雑感」のひとつでしかなかった。

いやぁ・・・この動機には驚かされた。
ホーディ・ジョーンズが「何ものでもない」と発覚したときと同じくらいか、それ以上の衝撃だったわ。オダッチすげェな・・・


気になるのは、皆が「カン十郎内通者説」の根拠とした「迫害を受けていた様だが自業自得だ」というおでんの評価をどう受け止めるかなのだが、正体が黒炭だから迫害を受けたと受け取っていいものか、それとも、生体・死体関係なく髪を切り集めていた変態だから迫害を受けたと見るべきか…。
前者であるなら、おでんがカン十郎を黒炭と知りながら受け入れた事になるが、完璧に他人を演じるカン十郎がおでんに本名を晒す理由が分からない。

名乗りはしなかったが、その素性はおでんに知られていた? 海王類の声を聴き、象主の意識を感じることができるおでんには、カン十郎が隠している真意を悟られていた、とすれば納得できないこともないが・・・。

でなければ、カン十郎は最初からオロチに従ってはおらず、「二重スパイを演じていた」という可能性も・・・考えてはみたが・・・、オロチを信用させるためとはいえ、それで起きたおでん側の損害があまりにも甚大すぎるから、それはないか。う〜ん・・・


小舟に立ちはだかる百獣海賊団の軍船三隻。


さらに港に残したモモの助がカン十郎の”本体”に捕まり、万事休す。

だが・・・

三方から助っ人登場!


2年前のルーキー三巨頭がふたたび揃い踏みだ! 燃える!!
少し遅れた麦わらの一味、
連絡を絶って単独行動をとっていたローのハートの海賊団、
そして同盟に懲りてもう誰も信じられないと言ったキッド海賊団。


さらに、集まった4200人の侍たちも無事に海を渡る備えをしているらしい。
おそらく都の牢に捕らえられていた侍たち1000人も、狂死郎に解放されてそこにいるのだろう。(キッドが現れた側の「向こうの港」って、そっちの隣の港はオロチが行列から出港した刃武港だが、別の港だろうか。


ローは、ホーキンスから解放されて今までどこで何をしていたのか。そして、ローを逃した人物の「陰謀」とは何か。それがドレークだとしたら、ドレークはワノ国のこの戦にどのように介入しようとしているのか。

スマートタニシが通じずモモの助たちが孤立した理由、おそらくそれは、赤鞘の侍の中に内通者がいることを狂死郎が知っていたからではないかと思う。
狂死郎が手を回して、4200の侍を彼らが乗るための船とともに避難させ、それを内通者に悟られないように、赤鞘の侍たちを孤立させたのだろう。
一見して絶望する展開に追い込んだことから、内通者が誰かまでは知らなかったと思われるな。

そろそろ傳ジローも、正体を明かし合流しそうだが・・・ネコはまだだろうか・・・・。

あぁ、それから先週書き忘れた余談だが:

カイドウに城のてっぺんに吊るされて、モモの助はそれまで苦手ではなかった高所がダメになったと書いたが、


その時のトラウマが701話(コミックス71巻)で描かれていた。

「名は?」と尋ねる手のひらの影はカイドウのものだった。
そのときのカイドウの圧倒的威圧感、落とされる恐怖、父おでんを失った喪失感などのいろんな恐ろしさが一斉に想起されトラウマとなったのだ。


実は、龍の姿のモモの助は実際に飛んではおらず、雲を掴んで駆け上っていたのだが、仮に飛ぶことができたとしても「空などとんでたまるか」なのだそうだ。
これは、この姿で空を飛ぶ=カイドウそのものであることを嫌悪しているからに他ならない。
空を飛ぶ邪悪で巨大な龍というイメージが、見るだけで人をいかに不安にさせるかをモモの助が身を以て知っているからなのだろう。

だが、カイドウとオロチを打倒して、ワノ国を再興するとしたら、将軍になるべきモモの助が、龍に変身する能力者のままであるなら、それはいささか問題があるようなないような・・・。

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