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ONEPIECE 975「錦えもんの一計」

おでんに拾われる前から…というか、拾われること自体がオロチによる謀略のシナリオだった、カン十郎の裏切り(むしろオモテ返り)によって、完全に孤立したと思われた錦えもんたち赤鞘の侍。
周到な計画はすべて敵に筒抜けで、集まるはずの同士たちは現れず音信不通。半ばやけっぱちで漕ぎ出した小舟に、カイドウの手による軍船三隻が立ち塞がり絶望しかけたまさにその時、


現れたのはわれらが麦わらの一味と、ローのハートの海賊団、そしてキッド海賊団だった。

錦えもんたちがあずかり知らぬところで、いったい何が起きていたのか。今回は、壮大なる「答えあわせ」回だ。


敵の船が巨大だろうと、乗っているのはザコ海賊。そんなものに怯むルフィたちではないが、2年前のシャボンディのときと同じように、3人とも他のふたりよりも自分の強さを誇示したがり、また、カイドウの勢力に捕らえられたことを突かれ、3人とも“少し”キレた。


こうなると手下ではもう手に負えない。さらに、そこに現れたのが

狂死郎一家


正体を明かし、赤鞘の寄せ手に参戦した。

裏事情に詳しい狂死郎=傳ジローが、数々の疑問を解説してくれる。おかげでセリフがすんごく説明調で長い。


まず、錦えもんを褒めそやす傳ジロー。


さすがは錦さん!頭が切れる男!

康イエが変更した集合場所を示す判じ絵は、「刃武港」を指すハブの腹に線2本。これは二本の線の間を抜くことを意味し、「はぶみなと」から「ぶみな」を抜いて「はと」と読むのが正しいそうな。


康イエが意図した新たな集合場所は、刃武港はそのままに、その港の「波止はと」を示していた。

しかし、仲間内に内通者が居ることを逆手にとった、”頭が切れるリーダー”錦えもんは、一緒に行動していたメンバーにだけ、集合場所を「常影とかげ港」と伝えた。

内通者はそれをそのままオロチに報告し、オロチはその情報を元に対策を練ってしまったという訳だ。

刃武港は、鬼ヶ島に向かうオロチの船がまさに出港する場所。そのすぐ近くの波止に4000人を乗せる船が潜んでいたのだ。そりゃあスマシに応答なんて出来っこない。(見つかっちゃうからね)
そして頼りの助っ人ルフィたちはというと、単に遅刻しただけだった。

 

さすがは俺たちのリーダー!そこにシビれる!あこがれるゥ!


ほんとは違うけどカン十郎が悔しがるならこう言ってやるぜ!
当たり前だぜッ!この錦えもんは何から何まで計算づくだぜーッ!


オロチはこの状況を知らない。


討ち入りの勢力は当初の目標だった5千人を越え、船も武器もそしてやる気も十分。
なんの問題もない。討ち入りの作戦は何一つ狂っていない。

・・・

まぁ・・・士気はこれ以上ないほどに上がっていいことなんだが・・・問題はあるよな。

まず、大前提である「奇襲」ではすでになくなっていること。
オロチの先手は確かに空振ったが、計画の内容は敵にほぼ知られている。
オロチが錦えもんたちの作戦を、これで完全に潰したと思っているなら、たいそうおめでたい話だが、あれだけビビっていたんだから、慎重に慎重を重ねて手を打つに決まっている。

だが考えてみれば、20年前は千人を擁してわずか10人を殺すことができなかったのに、精鋭六人を完全に始末するのに軍船わずか三隻(しかも真打ち以上の戦力が居るかどうかもあやしい)とは、舐めるのにもほどがある。
オロチはもう勝ったつもりで、安心しきっているという可能性も無くはないのかな。それなら改めて「奇襲」が成り立つかもしれない。


ところで、
オロチは日和の存在を知っているし、すでに拉致っている可能性も高い。
また、この時点で錦えもんたちを始末して、モモの助だけを連れ帰る指示をカン十郎にしているということは、


カイドウが光月から知りたがっている情報は、モモの助と日和(あるいはどちらか一人)さえいれば事足りるということになる。
おでんの人となりやロジャーとの航海で得た情報であれば、当時8才と6才だったモモや日和が覚えているはずもなく、錦えもんたちの方がなにか知っている可能性は高いと考えるはず。
ということは、カイドウが知りたがっている情報とは、光月の「血」に関係するもので、本人の知識や意志、記憶に関わりなく身についている情報なのかもしれない。


また、少し気になるんだが、
キッドが兎丼でルフィたちと別れたのは、ベポたちが康イエの伝言を持ち帰るより前だったので、麦わらの一味か赤鞘九人男に連絡を取らない限り、今、常影港にやって来ることはないはず。

以前の計画では集合場所は「刃武港」であり、そこらで討ち入りに加勢する侍を捕まえて聞けば、今の集合場所は「刃武港の波止」である。キッドはどういう経緯で常影港へやって来たのか。

考えられる答えはひとつ。ローだ。

ハートの海賊団も、ローを助けるために、康イエの伝言の意味を確認する前に討入組から離れているので、彼らも(もちろんローも)変更になった集合場所を知らなかったはずだが、彼らは麦わらの一味や錦えもんとスマシで連絡を取れないことはないし、直前まで身を置いていたのが網笠村だと知っているので、後からそこで確認することも不可能ではない。

単独行動のローが何をしていたか。
僕は、キッド海賊団を味方に引き入れるために行動していたのではないかと予想する。

とはいえ、バカ正直に仲間を集める協力をすると言ったところでキッドが受け入れないだろうし、そこまで献身的になる義理もない。しかし単純に戦力としてアテにはできる。そう考えて、ローはキッドを“煽り”に行ったのではないかと思うのだが、どうかな。


あとなぁ・・・
康イエによる判じ絵の暗号なんだが、これ、正解も誤読の方も、けっこう無理あるよね。


正解の方は、ヒョウ爺や連絡を受けた親分たちは「ハブの腹に線二本」と言葉で聞いただけで判じ絵の意味するところを理解した。
だが、それではハブの絵のどこに線を二本加えるのかが分からないので、都合よく「ぶみな」を抜く、とすぐに理解できるというのが少し疑問だ。
まぁ、一瞥してすぐ分かるようなものでなく「ちょっと考えれば分かる」くらいが丁度いいということかな。


錦えもんの誤読は「線二本」を「足」と捉えて別の動物(港名)に置き換えたもの。
足を描き加えたハブをトカゲと捉えるには「ちと長いが…」と自分でも考えているくらい、ちょっと強引な解釈であると感じているにも関わらず、ワノ国の人間なら通じると信じて疑わなかったのが疑問だ。
だが、これはそもそもの判じ絵が「刃武港」を示すためにハブの絵を用いたそこからの発想なので、それを考えたのが錦えもんであったなら、まぁ仕方ないのかな・・・といったところか。


まぁ、面白いからいいや。

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