傳ジローによる過剰な「持ち上げ」で、赤っ恥レベルの勘違いを英雄視されてしまった錦えもん。
他の赤鞘の侍たちからは「ホントは本気で間違えてたんだろう?」と小突かれるが、では、他の仲間たちはどうだったのか。
前回・前々回の狼狽ぶりを見るに、あの時点では、彼らもまた本当の集合場所を知らなかったのに違いない。
もともとの判じ絵に加えて「ハブの腹に線二本」という言葉で変更を伝えただけで通じるのだから、赤鞘の侍たちが目と耳にすれば本当の意味が理解できたはずだ。
だが彼らは仲間内に裏切り者の存在を疑っていたので、「間違った解読をしてみせた錦えもんにはなにか考えがあるのだろう」と、錦えもんの策にあえて乗った可能性もゼロではない。
しかし、実際に見て聞けば本当の意味を理解できたのは、カン十郎だって同じだったはずだ。ところがカン十郎は、錦えもんが告げた集合地を、疑うことなくそのままオロチに伝えている。
この意味するところは、カン十郎は康イエが遺した新しい判じ絵を見ておらず、「ハブの腹に線二本」という言葉も聞いていないということだ。
彼らのうちカン十郎以外の誰かが、康イエの変更の指示を見聞きして、錦えもんと異なる解読に至れば、その時点では仲間内の誰か分からない裏切り者の筆頭候補が、錦えもんと判断されかねない。自分たちをせっかく集めた同心たちと引き離し、危険に晒しているからだ。
赤鞘の侍たちは、錦えもんから「集合地は“常影港”に変更」という結論だけを聞かされていたと考えるべきだろう。
だからこそ彼らは、リーダーとして無条件に信用した錦えもんの判断が誤りだったことを、とりあえず認めろと言っているのだ。
傳ジローだけは境遇が違うので、本気で錦えもんを尊敬してるのか、それとも誤読と知りながら、わざと(戦略もいたずら心も含めて)錦えもんを持ち上げているのか、いまいち判別がつかない。・・・どっちかなww
経緯を知った赤鞘一同の結束は高まり、真相を知らぬ仲間たちには、錦えもんがさぞかし優れた戦略家に見えただろう。
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そこで、美麗な鶴を描き出し、モモの助を拉致って空を逃げるカン十郎。
「鶴」を描いたことに、錦えもんに対する苛立ちが現れているような気がしないでもない。言うまでもなく「鶴」とは錦えもんのヨメだからな。
かつて日和の保護を遂行しきれなかった河松には「日和を殺す」と煽り、カイドウのせいで高所が苦手となったモモの助の無様な姿を討入勢に晒し、モモの助には己の無力を突きつけるという、相手が一番イヤがることばかりをしてくるカン十郎。
正体を顕にしてからの行動は、いちいち悪役のケレンに満ちており、妙にイキイキしているようにも見える。
感情を失い、ただ死に場所を探していた「誰でもない」男が、おでんの家臣として錦えもんたちと寝食を共にするうちに、いつしか人間らしい感情が芽生えていた自分に気づく…、なんて展開もあるかと思ったが、もはや「内通者」ではなく明らかな「敵」としての覚醒を見る限りでは、もう和解はないな…と思わずにいられない。
「生きている自分」を実感しても、それを感謝するのは、生き場所と死に場所を同時に与えてくれたオロチに対して…だよなぁ。
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かつて光月おでんは、自分がカイドウを倒すことができなければ、向こう20年それを果たせることはないと知りながら、その意志を次代に託して自らの死を笑って受け入れた。
今、光月モモの助は、知力も、強さも、人の上に立つ資質も、民が己の背に期待することも、偉大な父に何ひとつ及ばないことを痛感し、それでも恐怖も無力感も押し殺して、皆を鼓舞する檄を飛ばす。
たとえ自分が亡き者となろうとも、誰かが目的を果たさねばならないことを知っているからだ。
モモの助は成長している。おでんの背中を追えているのだ。
モモの助精一杯の勇気に「男」を見たルフィの「必ず助けに行く!!!」という言葉が何より頼もしい。
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さて、カン十郎によってモモの助は攫われてしまった。だが行く先はどうせ鬼ヶ島なので、このまま進めばよいのだが・・・
一隻だけ逃げたカイドウ配下の軍船が、ワノ国の武器工場でオロチが造らせた長距離砲を撃ってくる。連射がきき命中精度も高い。距離を詰めようにも端から狙い撃ちだ。
一気に形勢が不利になり、三船長も打つ手が無いように見えるが、う〜ん・・・
ルフィは手を伸ばせば届きそうな距離だし、ローは巨大なROOMをつくれば空間支配できるだろうに。キッドだって長距離砲に鉄が使われていれば打開策はあるはず。
お前らやる気あンのか。
ところが、その手も足も出ない敵のターンが、あっという間に終了。
突如現れた強力な助っ人とは
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「麦わらの一味」操舵手 “海侠のジンベエ”
あぁ・・・・いいところで出るなぁ・・・。
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うちの読者ならご存じの方もいると思う。僕はずっと「ジンベエは麦わらの一味に正式加入しないでほしい」と願ってきたんだが、それももはやここまで。
ルフィが仲間にすることを望み、一度は結論を先送りにしたジンベエ。
きっちりケジメを付けて「麦わらの一味」への加入を宣言するも、ビッグマムの子どもたちからサニー号を逃がすために、タイヨウの海賊団とともに居残った。
この時点で、ジンベエが麦わらの一味の正式クルーであることはすでに確定していた。そんなことは僕だってわかっている。
それでも、故あって一味を離れてその後消息不明とあれば、死んではいなくとも、操舵手が務められない身体になっているかもしれない。
それはとても残念だが、そういう妄想をしてでも、ジンベエという格が高すぎるコマを一味の中に並べるのが相応しいとは、僕にはどうしても考えられなかったのだ。
死んでも死ぬなよ!!!
という熱い約束を、見事守って戻ってきたジンベエの加入を僕は歓迎する。
「9人目」のサブタイトルが出るまで諦めない!とか言わないよ。
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ところで、
ジンベエの「ルフィの盃を取る」という口上に、キッドが驚くのは分かるんだが、ローが驚くのはちょっとおかしくないか。
魚人島での出来事は誰からも聞いてないかもしれないし、ビッグマム海賊団との悶着についてもルフィがワノ国に着くなり騒動を起こして捕まったので、聞く機会はなかったかもしれない。
だが、二年前の頂上戦争で、ルフィと一緒に戦い傷ついたジンベエを手術し、女ケ島まで運んで話もしてる。ふたりが共に戦う仲であることは知っているはずだ。
ルフィが、元七武海ジンベエほどの男を従えるほどの存在となったことを、にわかに認めたくないってことなんだろうけど、
それにしたって、ローは自分だって元七武海だ。ルフィの価値をある程度認めて同盟を組んだのだろうし、これまでの旅路でそのポテンシャルは十分すぎるほど見てきたはずなんだが・・・。
ローは個人としてルフィに負けているつもりはまったくない。ハートの海賊団も、チームとして麦わらの一味より弱いとは思っていなかっただろう。
そこにジンベエというデカすぎるコマが加入する違和感。
え!?ちょっとおかしくね? ってね。
まぁ、僕が感じていたのもそういうことなんだよ。・・・と蒸し返してみるテスト・・・