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ONEPIECE 987「忠臣錦」

赤鞘の侍たちによる突然の襲撃。
カイドウはそこにおでんを見た。


空島からダイブしても傷一つつかない強靭な肉体は、かつて光月おでん以外に傷をつけた者はいない。錦えもんたちがいくら剣技を極めようと、どこまで研鑽を重ね覇気を強めようと、ものともしない自信がカイドウにはあった。


「こいつらも、おでんの流桜を!?」

流桜の本質がいまひとつよく分からないので断定できないのだが、「流桜」が「武装色の覇気」と同質のものであるならば、このカイドウの考えはまるでお門違いである。

錦えもんたちの攻撃の勢いと強さがカイドウの想像を超えてきたのか、という意味だろう?
そうではない。いや、累々と積み重なった思いと一点に集中させた渾身の一撃には、ある程度その要素もあったかもしれないが、これこそ「受け継がれる意志」の力。

かつておでんがカイドウ排除の渾身の念をもってつけた傷。主君から受け継いだ一念を込めて迫る九つの魂におでんの姿を重ねてしまった刹那に、古傷が痛む、身体がこわばる、冷や汗が吹き出す、これまで感じたことのない不吉な感情に叫声が漏れる、これは「恐怖」である。

この一撃ですべてが終わるほどカイドウは甘くないし、カイドウの強さそのものは変わらないため、その真の恐ろしさは赤鞘たちも我々読者もこれから知ることになるのだろうが、この一撃でカイドウに傷をつけたことは大きい。


赤鞘の侍たちが反逆を企てていたことは知っていたが、いろんなことがすべて繋がっていたことが今わかった、とカイドウは言う。

負け惜しみではなくこれが本当なら、彼らと麦わらの一味との関係をまったく知らなかったことになるが、仮にオロチの報告を信用せず、実際に見たカン十郎やモモの助を見ながらも時間の跳躍を信じていなかったとしても、錦えもんの存在を認識していたドフラミンゴから何の報告も受けてなかったとでも言うのか。いや、お前雷ぞう探しに部下遣わしてたじゃん!

結局、雷ぞうは見つからなかったし、ジャックはしばらく海の底だったし…で、ウヤムヤになったのかね。


急に饒舌になったカイドウは、ルフィと手を組む愚かさを語りだす。うっは!ダセェ・・・
たしかにカイドウは多くの海賊を見てきたとは思うが、これは赤鞘の侍たちに迷いを持たせるための策だろう。

しかし誰一人その言葉に心を動かされるものはいない。


少なくとも錦えもんほか数名はルフィを信じ、そこまでルフィを知らない赤鞘たちは錦えもんを信じている。
自分たちが敗れたとしても、ワノ国の開国は必ず成し遂げられる。その意志は確かにルフィにも受け継がれているのだ。

ビッグ・マムに行く手を遮られ、カイドウを倒しに来たのかと問われたルフィは、そうじゃない、と否定


お前ら全員ぶっ飛ばす!”全面戦争”だ!!!
と、高らかに宣言。(ちょっとエッドウォー海戦でのロジャーの啖呵を彷彿とさせるね)

潜入していた侍たちも一斉に変装を解き、各所で戦乱の火蓋が切られた。

一度は一撃で決着した若造の、身の程を知らない大言壮語に、カイドウは忌々しいと思ったか小癪と感じたか、どうせ何度やっても自分が勝つのに面倒くさいと思ったか、どのみち降りかかる火の粉は払わねばならないが、今しがた赤鞘たちにした助言とそれへの錦えもんの反論が、今のルフィの一言ですべて光月方に向いてしまった。

やれやれ本気出すか・・・とばかりに


カイドウは龍に変化。巨大な身体をくねらせて天へと昇り、ドクロドームの天井を突き破ったが、そこに待っていたのは・・・


ミンク族の総勢。天には満月


こっちも本気出すぜ・・・!

さて、各地の様子がチラリホラリと描かれている中、ゾロやキッドは侍たちを引き連れて再び動き出し、ローも表立って動き出した。ナミとキャロットはスキを見て逃げ出し、相変わらずサンジの行方は不明だ。


そしてその中で、海で妙な影を見たので見にいく、と言っていたマルコが、なぜかペロスペローと一緒に正面から入ってきているという。



マルコが海で見た妙な影とは、ペロスペローに間違いないと思う。
それを確認しに行くのはいいが、ふたりが共闘する糸口がいまいち見当たらない。

ペロスペローはビッグマム海賊団と百獣海賊団の同盟に反対だったので、カイドウを倒すことのみを了承した可能性はあるが、そもそも彼らビッグ・マム海賊団がここまでやって来たのは、闇社会に轟くママのお茶会をメチャクチャにし、それを新聞に完敗したかのように報道され、歴史の本文の写しを奪われ、最強のカタクリは敗れ、ペロス自身も片腕を失うという、シャーロット家史上最悪の事件を巻き起こした、麦わらのルフィに復讐するために他ならない。
それなくして、ママの四皇としての威厳はもはや保てない。

だから、ルフィを利する行為に協力するとはとても考えられないし、目の前に居るのは、ついさっき兄弟もろとも滝上から船ごと蹴り落とされた男。通常であれば話を聞く耳などない。

となると、一緒に正面から入ってきたように見えて、ふたりは協力しているのではないということだろうか。一方がもう一方を追って来たとか、何かを目指して我先に競争しているとかなら考えやすい。
だが、もしこのふたりが上記のような境遇を越えて協力関係を築いてきたのだとすれば、互いの利点はどこにあるか。

前述したルフィへの復讐の念を抑えるほど、ペロス兄にとって利がある話とはいったい何だ?・・・と考えると、ひょっとすると、ペロスペローがママの暗殺を企てている可能性はないだろうか。



ペロスペローは自身の才覚や人望によってではなく、すでにある人脈や兄弟の絆、そしてママの威光に頼ったまま自分の名前を冠する海賊団を作ることに何の疑いも持たなかった。
彼は自分を客観視したり、物事を俯瞰で捉えることがどうやら苦手のようだ。

長男ゆえの傲慢さだろうか、そんなペロス兄が、失墜したママの権威を再構築するよりも、いっそ代替わりしてリスタートする方が得るものが多いと考えないとは限らない。

極端な推測だが、今の状況でマルコと手を組むとしたら、それが一番納得できる気がした。そのためにひとりで来たとも考えられる。

まぁ、現状では確認されただけで、ふたりが誰に敵対行動をはじめたわけでもないので、まだどうにでも転ぶだろう。ペロスがママ暗殺とか、おもしろいけど今これ以上話をややこしくして欲しくないのも正直なところだ。さて、どうかな・・・?

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