赤鞘の侍たちをぶら下げたまま、髑髏ドームの天井を突き破り、広い戦場を求めて屋上に躍り出たカイドウ。
赤鞘九人男 vs.龍形態のカイドウ
因縁の睨み合いの周囲では、総スーロン化したミンク族の戦士たちと、ジャック率いるSMILE能力者の戦いがまさに始まろうとしていたんだが・・・その続報は今回はなし。
ルフィもそこに行こうとするものの、ビッグ・マムは追ってくる、クイーンは邪魔するし、
上空もキングをはじめとする飛行能力者に塞がれ、思うように進めない。
だが、他所で暴れてたゾロが合流し、ウソ・チョパのブラキオタンクとの合体でフランキー将軍推参、ロビンとジンベエも積極的に参戦し、
戦況はまったく優勢に転じる様子がないのに、討ち入り隊の士気は上がりまくる。
今回はほぼこれだけの内容なんだが、注目すべき新情報は「ナンバーズ」についてだ。
情報といっても、全身が新たに確認された三名の姿と、彼らに対するビッグ・マムの僅かな知識の披露だけなんだが・・・
「パンクハザード」から「買いとった」「古代巨人族」の「失敗作」
引っ掛かるワードてんこ盛りすぎて笑うわ…。
まず、「古代巨人族」とはなんぞや?って部分。
普通、100年や200年そこらでは「古代〜」などとは呼ばない。滅び去って数百年から数千年の歴史の彼方に確かに存在した、しかし資料となるものも乏しく、その生態や文明はもはや明瞭でない伝説級のいにしえの種族。
現代に生存する種族とは、似ていてもルーツが異なるか、一度絶滅するなどして歴史が途絶えた、現代の巨人族とは明らかに異なる種族を指すに違いない。
500年前の伝説が残り、通常の巨人族の倍ほどデカい「オーズ」などは、子孫が現存しているとはいえ、その数は極めて少なく幻の種族と呼べるものかもしれない。であれば、オーズとその一族は「古代巨人族」と呼んでも差し支えないだろう。
ではナンバーズたちも、その生き残りだったのか?
否、さにあらず。
「ナンバーズ」という呼称からして実験体のようだとは思っていたが、「失敗作」というからには、この姿は「古代巨人族」そのものでないばかりか、製作者が意図したものでもないのだ。何らかの人為的な術が施されたが、想定した結果に辿り着かなかったということだ。
そしてその「失敗」は「パンクハザード」で為された術または実験の結果。
パンクハザードは元々ベガパンク率いる政府(海軍)の実験施設で、そこでは兵器と薬物の様々な実験が行われ、囚人を秘密裏に連れてきて人体実験を繰り返していたという。
かつてシーザー・クラウンは非道な兵器開発と危険な思想でパンクハザードを追放されたが、囚人をモルモットにしていたのは、実はシーザーだけではなかった。すなわち、政府・海軍にとって罪人を人体実験に使うことは非道な行いではないのだ。
また、当時ベガパンクは「人体の巨人化」の実験を度々失敗していたらしい。
ベガパンクはその昔、まだ若い頃のサンジの父:ジャッジと同じチームで研究に没頭し、生命の設計図ともいうべき「血統因子」を発見している。にも関わらず、「血統因子」による遺伝子操作や人体改造では、人体の巨人化は成功しなかったことになる。
「急にデカくなるわけねェ」とは、普通のサイズの人間に後天的に何かを作用させて巨人化させる方法を模索していたことが伺え、ジャッジがジェルマ66で行っているようなクローニングや培養技術を、ベガパンクは使わなかったことを示唆している。
少なくともベガパンクにとっては「人間を一から造ること」は、してはいけない行為だった可能性が高い。
この辺りから導き出される答えは、あくまで妄想の域を出ないが…
パンクハザードでは、オーズのような「古代巨人族」の遺伝情報を用いて、囚人を外因的に巨大化させる実験が行われていた、と考えられる。
その実験は、当然、海軍の兵力として運用するためのものなので、命令に従う従順さや使命感、民間人を巻き込まない倫理観や力加減を保持していないと、危なっかしくて使えない。
まぁ、元が囚人なのだから海軍に忠誠を誓えというのも無理な話だが、ナンバーズを見る限り、正常な物事の判断すらままならない壊れた精神状態のものしかできなかった、ということだろうか。
とりあえず現状ではそう断定してしまおう。
では、その失敗作をカイドウがパンクハザードから買い取ったのは、いつ、そして誰からなのか?
ジャッジが現在56歳、ベガパンクも同じくらいの年齢だと仮定して、血統因子を発見し、その研究が危険視されて政府に抱き込まれたのが25歳くらいの頃だったならば、およそ30年間政府の研究者として勤めていることになる。
シーザーがベガパンクの実験失敗を揶揄していたのは4年前のことなので、その間ずっと巨人化実験を失敗をし続けていたのであれば、10体以上の失敗作が生まれるのは至って不自然なことではないんだが、
カイドウ軍のナンバーズは、20年前の回想シーンには彼らと覚しきシルエットが登場している。20年前にはすでに売られた後だったのだ。
誰が?となると、見知った面子から選ぶのであれば、これは条件的にシーザーが横流ししたとしか考えられない。
20年ほど前、すでにベガパンクの研究室にいたが、まだNo.2ではなく自分の研究をさせてもらえる身分ではなかったシーザーの仕業ではないだろうか。
失敗作が出る度にとか、数体ずつ五月雨式に売却となれば、海軍が気づかぬわけがないので、10体近くが一度に売却されたと考えるのが自然。長期にわたる実験で生まれた失敗作をまとめて、20年ほど前にシーザーがブラックマーケットに横流ししたと考えるべきだろう。
カイドウに卸したのはドフラミンゴじゃねェかな。
二代目コラソンことロシナンテがいれば、その情報は海軍に伝わっていただろうが、20年前であれば、まだロシナンテがファミリーに戻っていないので、シーザーの悪事も露見することがなかったのだろう。
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ところで、未だに謎のままであるカイドウの正体について、
僕は「龍」の悪魔の実を食べた「鬼」か、「鬼」の悪魔の実を食べた「龍」のどちらかだと考えていたんだが、
ヤマトにカイドウと同じような角が生えていることから、前者である疑いを濃くしていたところだった。母親の素性如何では、ヤマトの角が母親からの遺伝である可能性もあるのでまだ断定は尚早なのだが、カイドウが「龍」の悪魔の実を食べた「鬼」なのだとしたら、その「鬼」の要素は、古代巨人族がルーツなのではないか。
それは、古代巨人族の「失敗作」であるナンバーズたちが皆一様に角をはやしトラジマの腰巻きをしていることや、「鬼」の名前を付けられている者が多いこととも無関係ではないとすると、カイドウこそが、唯一の実験の「成功例」もしくは「成功例のプロトタイプ」である可能性がある。
いや、40年前頃にカイドウは、角のある姿でロックスで暴れていたのだから、カイドウがベガパンクに造られたという線は難しくなってくる。
しかもそうなると、カイドウという成功例があって、なぜ4年前までさらなる失敗を続けることになるのか説明できない。
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そこで、別の可能性ではなく、まだ見苦しくも後付けで辻褄合わせを試みるとしたら、カイドウという成功例を成したのはベガパンクではない場合と、ベガパンクが想像以上に高齢で政府の研究者を長く務めている場合だ。
なんとも、妄想に妄想を重ねているので、どんどんフワフワした仮説になっているが、さらにもう一段階踏み込んで、かなり強引に「人造悪魔の実」を絡めてみようか。
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パンクハザードでモモの助が食べたのは、ベガパンクが作った(らしい)人造悪魔の実。
モモの助は龍に変化しても、その姿はSMILE能力者のような歪で醜い姿ではなく、紛うことなき「龍」の姿。そしてその姿は、龍に変化したカイドウの姿と極めて酷似している。
この人造悪魔の実をもって失敗作とはシーザーの弁なので、これが本来目指すべきSMILEの完成形だったことは間違いないと思っていい。「見本」として大切にケースに入れて保管していたのだろう。
シーザーは、自分よりも完成度の高いベガパンクの人造悪魔の実に嫉妬した。そして研究材料としてそれを欲したことは認めず、悔しまぎれにサンプルの実を盗み隠したのだ。
さて困ったのはベガパンクである。
なぜなら、くだんの人造悪魔の実は、とても希少な材料が使われていた、もしくは偶然できたもので、二度と同じ物が作れなかったからだ。
そして、古代巨人族の遺伝情報を囚人に定着させる媒介として、唯一成功したカイドウに使われたものだったから。
この人造悪魔の実がなければ巨人化計画は振り出しに戻る。しかしてベガパンクはふたたび失敗と試行錯誤を繰り返すことになったのだ。
すでにロックスでかなりの強さだったカイドウに「龍」の実をフュージョンする実験。この被験者にカイドウが抜擢された辺りにリンリンが関わっていたのだとしたら、
カイドウがママに負わされた「でかい借り」というのも、ここら辺にあるのかもしれない。
・・・とな。
本編のストーリー紹介5%、妄想95%でお送りした。・・・いや、すまんな。
寝る時間削ってでも、こういうこと妄想するのが楽しいもんで。
でも、実際カイドウと、モモの助の食った実は無関係じゃないと思うんだよなぁ・・・