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ONEPIECE 997「焔」


「よいではないか」「あ〜れ〜」
サンジが聞いたこの破廉恥なやり取りは、決して幻聴などではなく確かに在った。

それは精神攻撃ではなく、心理攻撃だったのだ。


ブラック・マリアは「宴の席に戦を持ち込むなんて野暮」と言わんばかりに余裕で鎮座し、しかし純粋にお座敷芸を楽しむでも、羽目を外すでもなく、破廉恥なやり取りに惹かれてフラフラと誘い込まれた男たちを、鈴生りに吊るしていた。

先に吊るされた男たちと同様にまんまと罠にはまったサンジが似合わない言葉を吐いているのは、女性に手が出せないからだが、実際にスマキにされて手も足も出せない状況でも、一点の曇りもない下心がブレることはなかった。


お前のことなんか・・・ 大好きだ!

「きゃっ♡」と反応しているのはおそらくブラックマリア本人だが、なんだか軽くあしらわれている感じもする。
人の言葉の裏側に絶望していたヴィオラや、醜い自分のウィークポイントを初めて美しいと言われたプリンのようには、簡単に落ちそうもない。
カイドウお付きの遊郭の主だものな。男を悦ばす手練手管は折り紙つき・・・か。

カイドウ直々の命令であるヤマトの捕縛にも興味なさそうだったが、これは二番手・三番手を早めに潰したいクイーンからの指示があったのか、それとも単なるブラック・マリアの趣味なのか・・・。
クイーンはジャッジのことを知っている様子だったので、サンジを生け捕りにするつもりがあるのかもしれないな。

一方ライブフロアでは、相も変わらず敵味方入り乱れての「血清争奪戦」のさなか、


ドレークの猛攻に守勢に回ったアプーの一瞬の隙を、ゾロが必殺の居合で仕留め血清を手にした。


ゾロが奮起したのは、クイーンの非道な茶番に苛立ったのはもちろんだが、本来の目的であるカイドウ打倒を他人任せにし、ビッグ・マムが”ここ”ではなくドームの屋上へ向かったことに一瞬でも安堵した自分にも怒りを覚えたのだ。


ドーム屋上の味方勢に余裕がなくなっていることを知らせたのは、天井の穴から落ちてきた「菊の腕」であった。もはや茶番を鎮めることに時間を弄しているヒマはない。

この場は、敵も味方もみんな救うと豪語したチョッパーが作る「抗体」に任せ、なんとか上に向かいたいゾロだったが・・・。


その刹那、急に鬼ヶ島全体が巨大な揺れに見舞われた。この揺れは・・・


「焔雲」

ヤマトの解説によれば「龍は焔雲を発生させて空を飛ぶ」。
確かに西洋のドラゴンとは違い、東洋風の「龍」には翼がない。では、羽ばたいて揚力を得ずに如何にして飛ぶのか。その答えが「焔雲」なのだ。


パンクハザードでは、空腹のあまり気を失ったモモの助が、恐ろしい悪夢にうなされた瞬間に、まるで蒸気のように「雲」が発生し、モモの助はその雲を掴んで上へ上へと駆け登っていた。
あの時点で、龍は個体の身体能力で飛ぶのではないと示唆されていたわけだな。


カイドウは、モモの助が無我夢中でしたように「焔雲」を掴むのではなく、身に纏うようにして、飛ぶというよりも、いわば宙に浮いていたのだ。
そしてその「焔雲」を使って、


鬼ヶ島全体を宙に浮かせた。

カイドウの「新鬼ヶ島計画」は、ワノ国を「新鬼ヶ島」という新しい海賊国家に作り変え、「ひとつなぎの大秘宝」を獲得し、古代兵器を手に入れ、世界を暴力と恐怖で支配する。
そしてそれは、これから来る「世界の大戦」に備えることだと言った。ついては、「鬼ヶ島」を「花の都」に移し、ヤマトを将軍に据えるつもりだ・・・と。


そう。「鬼ヶ島」を「花の都」に移す、と言っていたのだ。
カイドウの居城としての機能を「花の都」に移転するのでも、首都を「鬼ヶ島」に遷都するのでもなく、まさか「鬼ヶ島」を物理的に移動させるとは思わなかった。


屋上の決戦も、カイドウ絶対的優勢でひと段落ついた様子。
ワノ国の全住民を恐怖のどん底に落とすであろうこのスケール感は、空島編の終盤に通じるものがあるが・・・早い!早いよスレッガーさん。

ルフィは間に合うのか? ゾロは? チョッパーの「抗体」は完成するのか?
ナミとウソップは負けたまま終わるのか?
そしてモモの助とヤマトは何を成し遂げる? いや、まだ一年くらい終わらねェんだろうなぁ・・・

ところで・・・
サニー号どうなったんだろ

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