モモの助の所在が敵に知れてしまった。
カイドウ側勢力がこちらの真意をどれほど理解しているかはわからないが、討ち入り勢にとって精神的な主柱であるということは当然ながら、モモの助は血脈の正統性でもワノ国再醒の要であり、この絶望的な閉ざされた世界における唯一の未来への希望。
ヤマトは、さらにそれ以上の「何か」をモモの助の未来に思い描いて、彼を守護しているのだ。確かに、せめてもう少し目立たない逃走ルートを選んでほしい。
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ブラック・マリアの虜から逃れたサンジは、モモの助を助けに行くべきか、赤鞘たちのもとへ向かうべきか、しばし逡巡の後どちらに向かったのかは不明。
サンジが磔のモモの助を解放したあと、ルフィは直ぐ側にいたヤマトにそのフォローを指示しているんだが、サンジはキングと戦闘に入っていたのでその経緯は見ていなかったんだろうか。一瞥でもしてたらヤマトの姿がサンジの印象に残っていないハズないんだがな。
いや、ルフィがモモの助を託した謎のセクシー美女(?)のことは、キングとの戦闘中でもきっちり認識していたが「ぼっちゃん」という呼称と結びつかなかったということなのかもしれない。
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ドクロドームのライブフロアでは、今もなお「抗体」を巡る争奪乱戦の真っ最中。
クイーンがばら撒いた「氷鬼」ウイルスの抗体をチョッパーが必死で増産しており、その作業を死守する勢力と、させまいとする勢力、ついでに抗体を奪って自分だけ助かろうとする者たち、すでに正気を失い狂暴化した者が入り乱れて、まさに地獄絵図と化している。
わずかアンプル一本分の「抗体」では、当然の事ながら、敵味方すべての罹患者には行き渡らない。それを増産するとなれば、培養するか合成するイメージだが、現代社会においては「抗体薬(抗体医薬品)」とは、遺伝子組み換えなどのバイオ技術で、ヒトの抗体に近い構造の抗体をつくりだすもの。
手作業でできることではないし、雑菌も振動もおよそ医療化学にそぐわないのはもちろん、普通なら数時間から数日を要する行程に、タイムリミットは一時間足らず。精製時間を強制的にしかも劇的に短縮する術がチョッパーにはあると現段階では考えるしかない。
現在ライブフロアで乱戦を続けているのは、光月家恩顧の侍とヤクザたちに加えてドレーク、相対するは百獣海賊団のそれほどランクが高くない兵たちと御庭番衆・見廻組をはじめとする元オロチの配下たち(福ロクジュを除く)とアプー、幸いナンバーズは今ここにひとりも居ないみたいだが、どうやらフロア上空のマルコを見かけたペロスペローが参戦しそうな気配あり。
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味方勢の筆頭は、己が信じる正義と任務の完遂そして自己保身のために討ち入り方に寝返ったドレークと、往時の精彩を取り戻したかのような鬼神の如き強さを見せる「花のヒョウ五郎」大親分。
ヒョウ五郎(=ヒョウ爺)はすでに「氷鬼」に感染してしまい、その作用で限定的に肉体が活性化しているらしい。
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「灯滅せんとして光を増す」
一度は諦めかけた人生に、最後の最後でたった一筋のしかし眩い光明と、信念を貫き通す強い希望を手に入れた。ワノ国には輝く未来が残されている。
皮肉にも敵の兵器のおかげで全盛期の腕力と技のキレを取り戻したからには、持てる生命を精神力を最後の一滴まで絞り出して本懐の一助とすることに、もはや何の躊躇いもない。
残念ながら今ここには敵の主力がほとんど居ないため、大きな戦力を削ることはできなかったが、ひとしきり暴れることで圧倒的だった人数差を減じ、チョッパーの作業を死守することで後に続く者を護り、戦場の混沌をもいくらか鎮める役には立てた。
あとは、自我を失い鬼となり討ち入りの味方の邪魔をせぬよう静かに果てるのみ。
当人的には思い残すことはなさそうだが、果たして… このまま終わってしまうのか。
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う〜ん… 漫画の常道の演出としては、このヒキだとまだ死なないと僕は思う。
チョッパーの抗体薬が間に合うのか、それとも他の手段で症状を緩和もしくは治癒するのか、またはまだやり残したことを思い出し、ヒョウ爺自身が再奮起するのか…。
まぁ、いずれにせよ次回は別のフロアの話に転換するように思うね。
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その他には、ペドロの仇討ちにはやったキャロットとワンダがペロスペローに敗れたことがひとつ。
満月の夜に真価を発揮するミンク族の奥の手「月の獅子スーロン」だったが、月が雲に遮られてしまったために、変身が解けてしまった。
いや、敗れたか力を使い尽くした後で月が隠れてしまい、それが確変終了を象徴していると言われたのかもしれない。
ドーム屋上で戦っていたミンク族の仲間たちは、光月家との古き血の盟約に則ってまさに命を賭してスーロン化してカイドウ軍と戦ったが、自らの使命から離れて本来そこで命を賭けるべきではない私怨を晴らすために、キャロットとワンダがどれほどの覚悟でペロスに臨んだかは、わずかに疑問が残る。
彼女らは我が身を滅してでもペロスに報復したかっただろう。そこは疑わない。
だが、数百年の昔から連綿と受け継がれてきた光月家の盟約への従属はもはやDNAレベルで一族の魂の奥深くに刻まれているはずだ。
そして此度の討ち入りこそがその盟約を真に果たすべきとき。私怨を晴らすことを優先できるはずがない。
ペロスを見つけて頭に血が上り冷静ではなかった、その上で彼女らが深層意識に大きな葛藤を抱えていたならば、ギリギリの勝負を勝ち切ることができなくても無理はないだろう。
当初政治や謀略に特化していると思われたペロスが意外に実戦で強かったことは驚きだが。
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その他のもうひとつは、ライブフロアの上空でキングとクイーンを食い止めているマルコに疲労の色が見える点。
さすがに10億超えふたり相手はキツい と言ってるがそりゃ当たり前。
積極的に倒そうとはしておらず、主にクイーンがこれ以上フロアにちょっかいを出さないように文字通り「引き止めて」いる感じだ。ま、それが精一杯ということなんだろう。
切断された翼の炎を遠隔操作して攻撃できるとは、不死鳥らしい生命力に溢れているマルコの能力。
だが、翼が切断されても本体の腕は失わないものの、切断された「不死鳥」の翼が再生していないのが少し気になる。果して疲労によるものなのか、それともそういう特殊な攻撃を受けたのか。
ひょっとするとマルコの限界は近いのかもしれない。