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ONEPIECE 1007「たぬきさん」

お庭番衆と見廻り組、元オロチ配下の主戦力を、鬼神の如き強さでほぼ平らげた伝説の侠客「花のヒョウ五郎」。
ヒョウ五郎はクイーンが放った疫災弾「氷鬼」の作用を逆手に取り、無理やり活性化された身体能力で全盛期の強さと技のキレを取り戻し、さらに持ち前の精神力で自我を失うことをくい止めて、今このライブフロアにおいて自分にできる最大限の活躍をせしめてきた。

だがそれももう限界が近い。自我を失えば斬りつける対象を選ばない。数で劣る討ち入り勢を自らの刀で傷つけることがあってはならぬと、ヒョウ五郎は今際を覚悟した。

しかしこれは同じフロアにひしめく敵方にとって、吉兆でもなんでもなかった。
クイーンは最初から、部下もろともライブフロアにいる全員を始末するつもりだからだ。


プレジャーズたちはSMILEを食ったがハズレを引いた「失敗作」。ウェイターズはまだ失敗こそしていないが、SMILEが作れなくなった今となっては、当たりを引く機会が未来永劫訪れないただの雑兵たち。
大きな乱戦では、雑兵だろうと大軍の数の力は侮れないが、要するに彼らは「換えがきく」のだ、いくらでも。
なまじ海賊団が巨大化したせいなのか、それとも元々そうなのか、端々まで目が行き届かないから目に見える実績と数値のみで強さを計ってきた弊害とでも言うべきだろうか、船長のカイドウからして夢や冒険を求めているわけではなさそうだし、他人の尺度で強さや栄誉を評価されたいとも考えないだろうから、「ただやりたいようにやる」ためだけに強くある集団。欲望のままに生き他者に迎合しない、いわゆる「反社会的勢力」だな。

〜閑話休題〜


ヒョウ五郎の腹は決まった。氷鬼で肉体が強化されてるから、おそらく腹掻っ捌いたくらいじゃ止まらないので、親分衆に首を刎ねるように頼んだのだが、ヒョウ五郎に半端ない恩義とカリスマを感じてる彼らの方が、腹が決まっても手が動かない。

それでも弥太っぺ親分が震える手で涙を堪えて刀を振り降ろそうかというまさにその瞬間・・・


間に合った。
次いでフロアにガスを散布。


チョパファージ霧砲ネブライザー

ネブライザーは耳鼻科とかにある吸入装置で、チョパファージってのは、「ためしてガッテン」とか「はたらく細胞」でおなじみのマクロファージさん的なヤツだな、きっと。

こんな短時間で何千何万人に薬など投与できるものか、という言葉はもっとも。人体改造や細菌・ウイルスに精通するクイーンだけに説得力がある。ガス散布→もれなく吸入の手法はともかくとして、人数分の薬をどうやって増産したのか、僕もそこが引っかかっていた。


どうやら、わずかアンプル一本分だった抗体をそのまま増やしたのではないらしい。

僕も詳しいわけではないが、マクロファージとは、体内に侵入した異物を捕らえて分析し、汚損された細胞を破壊するキラー免疫を随時発注する働きをするとか。※かなり意訳
だがこのマクロファージは元々体内にあるもので、氷鬼ウイルスに対応したマクロファージを体外から注入できるような性質とは考えにくいし、もしできたとしてもそれ自体が異物・外敵と認識されれば意味がない。
そこでチョッパーは、個々が生来体内に持っているマクロファージに働きかけ、氷鬼への耐性と攻撃性を持たせるプログラムを散布したと考えられる。※あくまで僕の妄想です

全員助けると言ったチョッパーの約束は守られた。


そして、この時点でライブフロアで生存しているほとんどのプレジャーズとウェイターズがクイーンに反旗を翻した。

お玉の作戦とチョッパーの功績により、敵の下部構成員の大部分が味方に寝返った。数の上での不利はほぼ覆ったと考えていいだろう。あとは主力たちの戦いなの・・・だが・・・


天守裏で目覚めた赤鞘九人男は、命ある限り戦線に戻ろうとしていた。ジャックはまだ来ていない。そこに現れたのは・・・


おでん様!!!

ええええ!!??? 何で?
いや待て、落ち着こう。

まず、おでん様はちょっと置いといて、赤鞘たちの手当をしたのは誰だったのか。


河松の証言からは、彼らがよく知るが、しかし今ここにいるはずがない人物だったらしい。

僕は日和だと考えていたんだが、どこに匿おうとも国中敵だらけでろくな用心棒もつけていないなら、日和が無事でいる根拠にはならない。日和だったのなら「そんな筈はない」とまでは言い切れないはず。だが河松が覚えてるというのはたしかに日和くさい。


福ロクジュではないかという意見がネットで見られたのは、1004話のシルエットのチャリ毛だかおくれ毛っぽいものを、ローング耳たぶと認識したからだそうだ。福ロクジュは意味深な行動でライブフロアから姿を消していたものな。
福ロクジュは昔とは頭の長さが変化しているから、あの頭が本物かどうかは少し疑わしい。そもそも「忍」なのだし、晒しているのが「世を忍ぶ仮の姿」である可能性があるのはもちろんのこと、真に魂に決めた主君のために心を殺して自らを偽って生きてきた可能性もゼロではない・・・かもしれない。

次に、生きていたトキ様だった場合だが、今この戦場でトキが成せる事が見当たらない。おでんとともに20年前に生きて死ぬと心に決めておきながら、生き延びたとはとても考えられない。

日和をトキ様に見間違えて、幻かと思った・・・あたりが妥当に思う。
現在の日和は26歳でおでんと出会った時のトキ様と同じ年頃、姿も生き写しだからな。とはいえ河松は現在の日和に会っているから、今さらトキ様と見紛うたってのはちょっと苦しいか。
はてさて・・・。


で、おでん様よ。

おでん様が生きていたとしたら、僕的にはそれはもうとんでもなく興醒めするんだが、可能性としてなくはない。なぜ生きていたかはあまり考えたくもないので、まずは本人ではない前提で話を進めたい。

では他の可能性はというと、マネマネの実の能力者という説と、死んでいなかったカン十郎が描いた「絵」であるという説を真っ先に考えた。だが、まぁマネマネの実は無いわな。

言うまでもなく、今の「マネマネの実」の能力者はボンちゃんで、彼(彼女 は能力者になってからおでんに会っていないので、おでんに化けることはできない。前能力者の履歴すら再現できるというなら可能かもしれないが、それ以前に今はインペルダウンにいるはずだからな。

次にカン十郎が描いた「絵」の場合は、着物も刀も再現できるんだから、二本の刀の意匠を間違えたりしないと思う。
このおでん様の二本差しが「天羽々斬」と「閻魔」ではないのは、完全になりきろうとしていないからだ。光月おでんを完璧に再現しようと思えば、二本の刀の鍔をそれっぽく作る事をしないはずがない。そこを疎かにするのは、そこまで思慮が働かないか、それが「どうでもいいこと」だからのどちらかだろう。

「ずいぶん歳をとったな!」というもの言いは、九人の代表格である錦えもんと他二名には当たらないが、当のおでん様は20年前のそのまま歳をとっているように見えない。
そうなると、考えたくはないのだが、20年前からそのままやってきたおでん様本人である可能性を、現状では否定できない。

刀が別ものなのは「どんな刀を差していようとも自分がおでんであることは変わらない」からなのだろうか。そうなってくると、赤鞘たちを手当してくれたのも、トキ様本人である可能性がグッと高まっちゃうんだよなぁ・・・

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