モモの助の元へと急ぐ錦えもんたちの前に現れたのは、
オロチはカイドウの後ろ盾を失い、オロチが死んだと思ったほとんどの元部下たちが今やカイドウへの従属を誓ったので、声を上げたところでどれほどの部下が再び従ってくれるか、また、戻ってきたとしてもそいつをどこまで信用できるのかは果てしなく怪しい。
さらに、様々な知恵をつけてくれたひぐらしババァも、鉄壁の守護神せみ丸ももう居ない。
現在はっきり「味方」と言えるのは福ロクジュただ一人のこの状況で、カイドウにズタボロにされた後とはいえ、あれほど恐れた赤鞘の侍七人を相手に威勢を張れるのは大したものだ。
しかし、そもそもオロチは陰湿で粘着気質で残虐で血も涙もないだけで、個体の戦闘力においては武芸も悪魔の実の能力も、まるで脅威ではない。「将軍」という絶対頂点の肩書なしには、ただの性格の悪いチンピラだ。
いったいどんな自信があって勝てると思い込んだのかは甚だ謎なのだが、人外に変身した姿に毫ほども驚くこともなく、赤鞘たちはヤマタノオロチの首を一気に斬り落とした。
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「奴らはあなたが一度死んだことを知らない」先の福ロクジュの言葉を彼らが聞いていたなら、オロチがなお死んでいない可能性にも気付いただろうが、彼らにとっては「そんなこと」は今どうでもよかったのである。
立場を失ったオロチ個人など恐るに足らぬ。ここを通るための邪魔者だけ排除すればいい。
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今の立合いでいくつ首を落とされたかははっきりしない。5本は切断されたことが確認できるが、赤鞘7人が一本ずつ斬れば一本残るはず。しかし一度カイドウに殺されているので、すでに7本首だったのかな。
切っても切っても無限に生えてくるのか、斬られたら死ぬ本物の首が一本だけあったのか、一応ね、一本だけ髭が生えた首があって、おそらくそれが本物の首だと思うんだが、それも今回斬られてるんだよなぁ。
「一度死んだ」という表現も気になるところで、なんにしてもオロチまだ死んでないだろ、コレ。・・・面倒くさいなぁ・・・
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さて、残ったのは福ロクジュひとり。雷ぞうのセリフからは、福ロクジュが死んだオロチに義理立てしているようだが、これもおそらくは違う。
本当にオロチを護るためなら、お庭番衆も(全員まとめては無理でもせめて数人)引き連れてライブフロアを離脱しているはず。
それをしなかったのは、主君の命令以外に何か目的があったからに違いない。
福ロクジュは、かつて同門のお庭番衆でライバルと目される雷ぞうが「天才」の誉れ高かったらしいので、個人的な確執を抱えていてもおかしくない。
このまま放置すると、雷ぞうはカイドウに当たって砕けるので、その前に若き日の雪辱ないしは決着をつけたかった。そのためだけにひとりライブフロアをこっそり抜け出たってぇなら、わりと理解できるかな…。
雷ぞうも、さっきまでは名前も考えも捨ててカイドウだけを見ていたが、半殺しから復活したことで多少頭も冷えただろうし、カイドウには今強力な助っ人たちが対峙しており、今自分たちの最優先はモモの助の保護。これは全員で当たることよりも速さのほうが大事。
邪魔をする福ロクジュを食い止めるのは、因縁深い自分しか居るまい。
またひとり、赤鞘が主戦線を離脱。次は誰かな・・・
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その頃、四皇ふたりのケタ外れの攻撃とタフネスに、ゾロたちが攻略の糸口を見出だせずにいると、カイドウと並んで本気の戦いをすることにロックス時代を思い出したか、生意気な小僧どもが想像以上に手強かったことにもゴキゲンで、なんと合体技を繰り出した。
これはどう見てもエルバフの技。
以前にも同じ合体技を使ったことがあるような物言いで、だとするとロックスの時代だろうな。
ママはエルバフで幼少期を過ごし、見て覚えたのかそれとも食って覚えたのか知らないが、エルバフの技を使えるのは既知のことなので、昔カイドウにレクチャーしたんだろう。当時のふたりは相当仲が良かったと見える。
「覇海」とはいったいどんな技なのか。カイドウの武器は金棒なので斬撃ではなさそうだが、ルフィが「でけェの来る!!」と予言してる。とにかくヤバいのキタコレ!
斬撃なのか、衝撃波なのか、それとも風圧なのか、その勢いををゾロが一瞬だけ封じ込めた。全身で受け止めてるのか、技の勢いを殺してるのか、どうやってるのかすらよく分からないが、とにかくその隙にゾロ以外の全員が直撃を回避した。
なんとしても四皇ふたりを引き剥がさないと、こっちの技が通らないだけでなく、シャレにならないマップ兵器撃ってきやがる。だが、ローのシャンブルズでは、強すぎる覇気で覆われた人物は入れ替えることができないとか。
そこで、
カイドウの意識がルフィに向いてるその隙に、残る4人で協力し、まずビッグ・マムの3体のスペシャルホーミーズを隔離して、ママを島の外に押し出した。
シャンブルズで空間入替えはできずとも、物理的に磁力の反発や大質量をぶつければ動かすことは可能だった。そりゃそうか。
島の外に押し出すとは、すなわち突き落とすということ。ホーミーズが助けなければママは海に落ちるはずだ。…ここが本当に海の上ならな。