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ONEPIECE 1014「人生の大根役者」

ルフィを撃退したものの、御首を晒すことを失念していたのをわずかばかり後悔したカイドウは、鬼ヶ島から落下したルフィが海に落ちたことまでを確認した。

能力者が意識を失ったまま海に落ちれば、それは死と同義だ。
仮にここがワノ国本土からそう離れておらず、ルフィが落ちるのを見ていた誰かが助けない限り、もはや生存は絶望的。光月家と麦わらの一味に味方するほぼすべての勢力が討ち入りに参加しているため、そんな助勢も考慮するまでもない。カイドウはルフィの死亡を確信したことだろう。



お前も…「ジョイボーイ」には… なれなかったか!
というカイドウの言葉は、過去にジョイボーイになろうとして叶わなかった者の存在を示唆しており、まぁ…いろいろと捗るわ。


「ジョイボーイ」とは空白の100年に実在した人物で(人間とは明言されていない)、魚人島との約束を果たすことなく、それを謝罪する文章だけを残して歴史から姿を消した。
しかし、いずれ必ずジョイボーイに代わって約束を果たす者が現れると、ネプチューン王家には代々伝えられてきた。


そして、かつて偉大なる航路の最後の島に辿り着いたロジャーが、そこに残された、現在「ひとつなぎの大秘宝」と呼ばれている「莫大な財宝」に関わる人物としてジョイボーイの名を挙げている。
どうやら空白の100年に活躍し、現代にも受け継がれる歴史や社会の仕組みの構築、もしくは逆にそれを覆す壮大な仕掛けに大きく関与している人物らしい。

今のところ作中では、ジョイボーイの名前は、魚人島に残された「歴史の本文」とネプチューン王家の伝承にしか出てこないが、それではカイドウはなぜジョイボーイの名を知っていたのか。
ジョイボーイになろうとして叶わなかった者の存在を知っているということは、過去にジョイボーイがやろうとしたことや、ジョイボーイの再来が現れたときに世界に何が起きるのかまで知っている可能性が極めて高い。

僕は、カイドウはジョイボーイになりたい人ではないかと何度か書いたことがあって、場合によってはカイドウ自身がジョイボーイその人ではないのかと問うたこともあるのだが、この場合は、やはりカイドウもジョイボーイになりたくてなれなかった、まだなれていないのかな…と思う。
いや、ジョイボーイになりたくてなれなかったのはロックスかもしれないな。その場合黒ひげも今後関わってくるのかも・・・

だが、肝心なことはカイドウがその可能性をルフィにも見たということだ。
なんだかビッグ・マムが知らないことも、カイドウはいっぱい知っていそうだよな。

さて、
ルフィとカイドウの戦いの結果は、バオファンのメアリーズネットワークで鬼ヶ島全土に周知された。


信じられない者、驚く者、怒る者、平静を装う者に悲しむ者、討ち入り勢の反応は様々だが、言葉だけでルフィの首を晒せていないことと、実際はまだ奮闘している赤鞘の侍があたかも全滅したかのような物言いをしたことが、まだ希望を捨てずにいられる要素となる。赤鞘の生存をひとりでも確認できた時点でルフィの敗北もまた虚言と考えることができるからだ。


とはいえ、このまま繰り返しルフィ敗北が告知され続け、「投降すれば部下に迎える」と甘言を聞かせられれば、心の弱い者から折れるは必至、今すぐカイドウやママや大幹部を倒せればそれが最善だがそれはまず叶わないので、この戦況に深くメスを入れることができるとしたら、お玉の号令しかない。泣いてる場合じゃねェぞ!


そんな中、錦えもんと菊がモモの助としのぶに合流した。

だがその矢先、モモの助はゾウの象主ズニーシャの声を聞いたときと同じように、突然頭の中に直接「ただならぬ存在」からのメッセージが響き、それは非常に重要な内容らしい。
現状を打破する妙手なのか、このままでは全滅する警告なのか、内容はまだわからない。しかしそれを発しているのは一体何者なのか。

この鬼ヶ島でそういう古からの「ただならぬ存在」といえば・・・

「明王」かな。
現在の火祭りは、オロチの将軍行列が、国を守る「明王」たるカイドウを参拝するために鬼ヶ島を詣でるという名目の祝祭と化してしまっているが、ワノ国の火祭りとは、カイドウが来るよりずっと以前から続いている、死者を弔う神事だったと思われる。


その信仰の対象こそが本来の「明王」だったはずで、伝えられるその姿はギア4thのルフィに酷似しているとか。ルフィがその生まれ変わりと捉えられるか…とかは今はどうでもいいが、ともかくそういう信仰の対象が居たのだ。鬼ヶ島で「古からのただならぬ存在」といえば、もう「明王」以外に考えられない。
象主のように800年以上生き続けている、もしくはその意志を強く継承した「何か」が、今モモの助に大事なことを語りかけているに違いない。

象主のときは、足元の巨大な象そのものが声の主であることに気づいたが、今回は目に見えない存在からの声なので、声の主を特定することができるかどうか甚だ疑問だ。
そしてその内容を、モモの助はどうやって皆に伝えるのか。というのは・・・せっかく合流してくれた錦えもんと菊を、この後すぐ、モモの助は失ってしまうからだ・・・。


菊は、性懲りもなくおでん様の姿で現れたカン十郎に激怒するが、おでん様の姿をしているモノを斬ることができなかった。



その仇は錦えもんによって討ち果たすことができたが「光月に生きて黒墨として死す」カン十郎の目論見通りの舞台の幕引きに最適の役目となってしまったことは皮肉以外の何物でもない。


ところが、その場に突如現れたカイドウが、明確な敵意を顕にして錦えもんを叩き潰した。


錦えもんの生死は分からない。まともに喰らえば無事では済まないが、何かカラクリがあってもしくは誰かが助けに入って死なずに済んでいる可能性もあるだろう。
赤鞘の侍たちは、ひとりひとりと数を減らしていくのだろうな…とは思っていたが、錦えもんがこんなに早く死ぬとはちょっと考えにくい。続報を待つとしよう。


むしろ気になるのは、ここへきてカイドウ何マジになってんの? という疑問だ。

歯向かってくる跳ねっ返りには、身の程を知らしめて部下に入れてきたカイドウ。今回の討ち入りの海賊や侍たちにもそのスタンスは崩さず、百獣海賊団のルールとしてはその方針は変わりないが、本当に信に殉する侍はどれだけ打ちのめしても従わないことを身を持って知っているから、光月家家臣たちは例外なのだろうか。

ヤバい力を身に着けはじめたルフィに対しても余裕を見せていたカイドウが、これだけ前のめりに向こうから攻撃してきたのは初めてだ。
九里のおでん城址を目指す鬼ヶ島は、海を渡り終えワノ国本土上空に到達し、カイドウにはなにか焦りがあるのかもしれない。

絶対不利なこの戦況。くつがえす鍵を握っているのはモモの助か、それともお玉か。
はたまた行動の仔細が描写されていない傳ジローか、いやさ、戦力的に相手にされず自由に行動しているオロチはどうか。


で・・・
実際のところ、誰がルフィを助けるのかねェ・・・?

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