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ONEPIECE 1023「瓜二つ」

一時的に…とはいえ、見た感じ完全復活のゾロ。サンジとともに並び立つ姿は頼もしいことこの上ない。
ゾロ vs.キング、サンジ vs.クイーンのカードがほぼ決まったようで、タッグマッチではなかったことが少し残念な気もする。


その勝負に水を差すような、ヘタな加勢をしてはならないと、ただならぬ雰囲気を感じ取ったヒョウ爺と河松が言うには、ゾロは武勇で名高いかつての鈴後の大名:霜月牛丸の若き頃に生き写しなのだとか。(あれ…「牛マル」だったはずだが?)

ゾロの故郷、ゴア王国シモツキ村は、55年ほど前に東の海に流れ着いたワノ国の人々にルーツがある。
詳しい描写はないが鈴後が滅んだのが約18年前。オニ丸や康イエが存命であることから推察して、牛丸は19〜18年前まで鈴後の地に生きていたと考えると、牛丸がゾロの父親だということはまず無い。しかし、シモツキ村の多くの民の先祖が鈴後・白舞の出身であれば、2代3代…あるいはもっと古い先祖が同じということもあるだろう。
ゾロと霜月牛丸は、同じルーツを持つ一族の可能性は極めて高い。牛丸が「刀神」霜月リューマの子孫ということは、ゾロもまたリューマの子孫である疑いが濃厚となってくるわけだ。


ただ、そうなってくると、少し気になるのは牛鬼丸(オニ丸)のゾロに対する反応である。


狐のオニ丸は、ワノ国の守り神でもあるリューマの刀「秋水」を携えていたゾロが、相棒であり主君でもあった牛丸にそっくりであることに、まったく躊躇を感じさせなかった。
河松の顔を見てはじめて冷静になったかのようで、13年間も自分が何のためにひたすら刀を集めていたのかさえ忘れていたようにも感じた。


いや、そうなのかもしれない。そもそも何のためにやっていたかも失念するくらい、長く苦しく孤独な戦いを続けてきたのだろう。
刀を墓標とするのは鈴後の風習。カイドウ・オロチ軍に敗れ主君を失ったオニ丸は、死んだ侍たちの生き様そのものである「刀」を、墓荒らしからたったひとりで守り続け、しかし後の大戦のためにその「刀」を掘り起こし収集しようとやってきた河松の意気に同調し、墓荒らしを返り討ちにして逆に武器を奪う「牛鬼丸」まで引き継いだ。

牛鬼丸の姿のオニ丸は、流暢に理路整然と人の言葉を話すことができる。昔からできたのなら河松との意思疎通も不便がなかっただろうし、刀を掘り起こすのにも役に立ったはずだ。
オニ丸がいつの間に人に化ける術を習得したのかはわからない。それまでもひとりで5年以上続けてきた「墓荒らしから刀を守ること」に加えて、「刀を掘り起こして隠して蓄える難行」を、河松もいなくなってたったひとりでせねばならない必要性から身につけたのか、それとも生涯に何度も使えない秘めた技だったのか。


牛丸そっくりの男に何かを感じていたような描写はあるにはある。だが、その男は盗まれた「秋水」を持っているのに「黒刀」の由来もよく知らない。その上リューマと戦い勝ち「秋水」を譲られたなどと世迷い言をいう。なんらかのまやかしではなかろうかと警戒を強めたのかもしれないな。


生還した河松に集めた刀を無事託すことができたオニ丸は、役目を終えたかのように満足気に姿を消した。


ともあれ、ゾロと牛丸は同じルーツを持つ「刀神」リューマの子孫と、もう断定していいだろう。
ふたりの見た目が似ているのは同じ血を受け継いだから。剣の所作まで瓜二つというのは、ゾロの師匠コウシロウの父でありゾロも薫陶を受けたらしい霜月コウ三郎が、直接牛丸と繋がりがあったと考えていいだろうな。牛丸がコウ三郎の息子の一人である可能性もあるな。ごく近い同じ流派の剣技ということだろう。


そしてリューマは「隻眼」だった。


なるほど、リューマのゾンビは左目に包帯をしていた。当時はあんまり意識して見ていなかったが、顔の縫い傷は生来のもので、身体の縫い傷はホグバックによる手術のものとして、包帯は隻眼を隠すフェイクだったんだな。

僕は、ゾロの左目は何か奥義を封印しているとか、視覚を制限することで感覚を研ぎ澄ましているとか、そういう理由が何かあって、最終的には左目を開いて戦うときがくると考えていた(そしてそれが「鷹の目」の継承とか…)んだが、奥の手を秘めているのなら先のカイドウ戦で使っていてもおかしくないから、2年の修業で本当に片目を失ってしまったのかもしれない。
だが、ここにきてそのハンデこそが燃える要素となってくるとは・・・さすがオダッチ。単純に「隻眼の剣士ってかっこいいよね」くらいのつもりかと思っていた自分を恥じるわ。

あ、あとね・・・リューマのゾンビが、ブルックの技を使うときは右利きなんだが、剣を右腰に挿してるんだよね。
これはリューマ自身が左利きだったことの証左。ゾロも左利きっていわれてるのが、ちょっと重要なポイントかもね。


強敵ばかりが残るほかの戦いにも意気が揚がる。

イヌアラシとネコマムシは、光月家との古い盟約のために国が滅んだことも、ペドロが犠牲となったことも、すべて今ここに仲間が集結して討ち入りを実現できていることに繋がっており意味があったことを改めて噛みしめ、


自らに与えられた死命を果たすべく、今ふたたび「月の獅子スーロン」に。


ここで、けっこうどうでもいい話なんだが、少し気になったのがジャックのこの姿。


これって人獣型だよな。よ〜く見てくれ。人間の腕のほかに脚が四本あるように見える。


これも。

天然の「動物系悪魔の実」の能力者の人獣型は、人型と獣型の中間というかいいとこ取りというか、頭部は頭部に、腕は前肢に、というように変身するルールがあると思っている。これを根拠として僕は「オニグモ中将はクモの能力者ではない」と言い続けているわけだが、この不文律にまったくそぐわないのがSMILEの能力者たちだ。

改めて言うまでもなく今回のシリーズで一番気になったのは、ブラックマリア姐さんの「ロサミガレ・グラウボゲリィ」で、クモ本体に姐さんの上半身が生えているような形を「ギルギルガン第二形態」と喩えてみたけど、脚の数も頭部の数も天然の動物系悪魔の実にしては不自然極まりないのよな。

古代種だから重用されてるけど、実は天然の悪魔の実の能力者ではなく、希少な古代種のSMILEって可能性も考えてみたが、ジャックにもブラックマリア姐さんにもちゃんと人間態がある。SMILE能力者って歪な姿を隠せないでしょ?・・・って、


いや・・・シープスヘッドは人型になれてたな・・・。他にも普段は動物の部分が見えないやつがいたわ、へんな痣があるけど。

ブラックマリアは、オダッチが「これがホントの女郎蜘蛛」って言いたくてクモの古代種にしただけだと思うので、このままスルーされる気がしないでもないんだけど、ジャックのこの姿が少しマヌケで、どうにも気になってしかたがない。

動物系悪魔の実の定義というかルールというか、長らくレビューしている身としては、今さら設定を大きく覆されたらたまったもんじゃない。いやまぁ、そもそもしっかり定義されてるわけじゃないので、レアケースとか一定の条件で特別な形態に変化するとか、公式に言われたらそれまでなんだが、チョッパーの変形も特殊といえば特殊だしな。

ジャックの場合は、クイーンに改造されているとか・・・なら納得できるかなぁ・・・。


で・・・だ。本編に戻ろう。


地上では、突然現れた巨大な龍にハートの海賊団の面々が恐れおののいていた。
その巨大な龍はモモの助。

しのぶの「ジュクジュク」の術で成長を促され、20年分齢を重ねて成体の龍となった。

中身は8歳児のままのはずだが、もの言いにもなぜか年輪が感じられ、とにかく気力も体力も満ち満ちているようだ。空を飛ぶことやふたたびカイドウの前に立つことに恐怖はないのだろうか。

また、カイドウを倒したところで、国を再建する象徴がまた「龍」では、国民の心がついてこないのでは?と僕は危惧していたんだが、ここまで立派になったのなら、悪い龍 vs.良い龍の構図で理解できる。


その上、28歳に成長した「人」の姿のモモの助は、誰かによく似ているらしい。しのぶの反応を見た限りでは、同じ雰囲気があるとかよく似てるというレベルを超えて「生き写し」「瓜二つ」なのだろう。誰にって?そりゃあ言うまでもないわな。


これは鬼ヶ島で戦う討ち入り勢に与える影響デカいで。
さあ!いざ決戦だ!!!


余談だが:


サンジが体調に異常を訴えている。
具合が悪いわけではないが、体が少し「変」なのだとか。2度めのレイドスーツを着たあたりからというから、科学のスーツによる強引な強化に身体が悲鳴を上げていると考えるのが妥当だが、僕は何か肉体の変化の兆しではないかと考える。

サンジの「悪魔風脚ディアブルジャンプ」は、初期は地面との摩擦で脚に熱を帯びさせていたが、いつのまにやら予備動作なしで炎を纏えるようになっている。ゴムゴムの火拳銃のように、蹴りの一動作の空気との摩擦で発火しているとも考えられなくもないが、


科学者であるクイーンの見聞では、普通の生身の人間にできることではないらしい。


サンジたち兄弟は、父ジャッジの指揮の下、無感情の最強の戦士とするべく血統因子を操作された。だが、それに反対した母ソラが劇薬を飲んだ結果、サンジにだけ肉体の強化が発現せず人の心も失わなかった。しかし「血統因子の操作」は、サンジにも間違いなく行われたのである。超人的肉体強化などの効果が今ごろ顕現することもあるかもしれない。
レイドスーツはジェルマの科学。血統因子を操作されたジャッジの子たちをさらに強化するための強化服なのだから、その真価を発揮するためには身体の内的要素を必要とする可能性もある。それが呼び水となって、サンジの肉体の奥底に潜在的に眠っていた血統因子が今頃になって活性化・覚醒しても不思議ではない。

麦わらの一味にはフランキーがいるし、ぶっちゃけこれ以上サイボーグは不要だ。ジェルマの科学に屈してほしくないとも思う。
しかし、前にも書いたことがあるが、武器を持ち替えることで強さのベースアップができるゾロと違って、サンジの強化には肉体のパワーアップか技のブラッシュアップが不可欠なのだ。そしてそれに、やや頭打ちを感じていることも事実。


意地を張っても負けたら終わり。プライドを捨てて少しでも強くなるなら、ジェルマの科学を「お試し」してもいい。
サンジがこう考えるのであれば、ジェルマの科学によって得た肉体の強化であっても、心を失わずに有効活用する道を模索してほしいと思うのである。

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