Cogito, Ergo Sum

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山口さんちのツトム君

 




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「山口さんちのツトム君」という歌を知っているだろうか。

1976年にNHK「みんなのうた」で人気に火がつき、後追いでいろんなレコード会社からドーナツ盤が出るほどにレコードが爆売れした曲だ。「おかあさんといっしょ」でも歌われていたそうだし、カバーも多く何度となく再放送もされて超有名なので、知っている人も多いはずだ。

先日、ヨメとの会話の中、ふとしたことでこの曲のことが話題に上がった。その歌詞はこうだ。


山口さんちのツトム君
このごろ少し変よ どうしたのかナ
広場で遊ぼうって言っても
絵本を見せるって言っても
いつも応えは同じ「あ・と・で」
つまんないなァ

ここまではソラで唄える。
ツトム君というおともだちが、近頃なにを話しても上の空でつまらない、という歌なんだが、子供の頃に聴いた曲なんて1番くらいしか覚えていない。
さて、ツトム君はどんな理由で「このごろ少し変」だったんだっけ?という話になった。

ちなみにこの楽曲、オリジナルはNHK児童合唱団の川橋啓史くんという少年が唄っているが、当時NHKの朝ドラで子役として大人気だった斉藤こず恵のバージョンもあり、そっちの方が有名だったりする。
僕の記憶に残っていた「音」はオリジナルのバージョンだったが、レコードのジャケットは斉藤版だった。
ツトム君がつれないわぁ という不満と心配の心情を綴った歌なのだから、少女が歌うのが正解のような気がするし、まぁ有名人が唄えばそれだけで価値があるから・・・ある意味仕方ない。

昭和の大スター:山口百恵や、「北の国から」に出演するずっと前の吉岡秀隆などもカバーしているが、それはまた別の話。

〜閑話休題〜

調べて知った2番以下の歌詞はこうだ。


山口さんちのツトム君
このごろ少し変よ どうしたのかナ
大事にしていた三輪車
お庭で雨に濡れていた
けさは元気になったかナ
「お・は・よ」・・・返事がない

山口さんちのツトム君
田舎へ行ってたママが帰ってきたら
たちまち元気になっちゃって
田舎のおみやげ持ってきた
摘んだばかりのイチゴ
チョッピリすっぱいネ

そうそう、こんなんだった。なるほど、

どうやら大好きなママが田舎に帰っていたからツトム君は寂しかったんだって。
ママが帰ってきて、おともだち(ユミちゃんというらしい)とも以前と同じように楽しく遊べるようになったんだって、よかったよかった。・・・と当時の僕なら思ったかもしれない。

だが今考えるといろいろ腑に落ちない。
ツトム君が「変」だったのは一日二日の話じゃない。私見だが「このごろ」というからには最低でも一週間、長ければ半月から一ヶ月程度はその状態だった可能性がある。

「ママはなんで何日も田舎に帰ってたんだろうね?」とのヨメの何気ない質問に、僕はこう答えた。

「さぁ… 弟か妹でも生まれたんじゃない?」
「本当に寂しいのは、これからかもね。チョッピリすっぱいネ」

その瞬間、ヨメの白い目が突き刺さった。
「あんた、性格悪いな・・・」

作詞作曲のみなみらんぼう氏は、少年時代に母を亡くして意気消沈した自分の経験の投影だったとのちに語ったそうだが、作詞した当時はそういう自覚はなかったそうだ。
児童唱歌に、やんわりと皮肉を込めたりエスプリを効かせることだってあるだろうよ。

これって、僕が悪いのか・・・!?

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