ルッチの狙いは戦桃丸。
いや、正確にはルッチの狙いがベガパンク抹殺であることは変わりなく、そのための障害としてルフィなり戦桃丸が排除するべき存在だったのである。
天竜人直轄のCP0としては、ルフィが「四皇」となった今、独断で戦闘行為をしていい相手ではなかったが、ベガパンクが政府側の狙いに気づき逃亡を企てており、麦わらの一味がそれに加担しかねない現場の判断として、またルッチ個人の因縁的執着も無かったとは云えないが、現場執行能力の権化たるCP0として決して誤った判断ではなかっただろう。
戦桃丸については、セラフィムに命令を聞かせる「威権順位」の関係で、優先して排除する必要があった。
より威権順位が高いベガパンク本人がCP0の前に直接姿を晒す可能性は低かったとしても、ベガパンクのボディガードである戦桃丸がここにいることを想定していなかったことは明らかに彼らの落ち度だが、それを瞬時に判断し、自分たち優位な状況に作り変える適応力はさすがといえる。
戦桃丸が意識を失えば、セラフィムたちはCP0の命令を聞くようになる。それはベガパンク謹製の現在最高の戦力(セラフィム)が、ベガパンク本人に牙を剥くことにほかならない。
戦桃丸は薄れる意識の中、彼なりの正義と道理でベガパンクの命運をルフィに託した。
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戦桃丸は2年のインターバルが明けたシャボンディ以降は、海軍の将校コートを羽織っているので、タテマエとして海兵の階級を与えられているようだが、どうやら元々がベガパンク個人に所属しているらしく、その使命感は命を懸けるほど。
アニメ版の声は、獠ちゃんモッコリにメガトンハンマーを振るう女性にしか聞こえないが、相当に漢気溢れる硬派だ。
「金太郎」風の意匠が、犬猿雉モチーフの海軍大将や、桃太郎と鬼を題材としたワノ国編にどう関わってくるか気になっていたが、一切関わりなかったぜ。
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ニカの化身と化したギア5thルフィと覚醒ルッチの戦いは、ほぼルフィが優勢。
「意識が飛びそう」な強烈な打撃は、ルッチにとってはトラウマとまではいかずとも、「敗北」の二文字が脳裏をかすめる効果があったはずだ。
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戦桃丸の離脱でセラフィム4体を従えたCP0と、逃げる準備を着々と進めるベガパンク勢。
ベガパンク勢はサニー号と、そこに残ったゾロ・ブルックをどうするのか。
そしてそこに、黄猿とありったけの海軍艦が迫りくる。
黄猿の予想では、今のエッグヘッドの勢力図ならベガパンクたちが逃亡するのは簡単だが、彼らにはそうさせない策があるらしい。
単純に考えると、逃亡が容易というのが、ルフィたち麦わらの一味の戦力とベガパンクの科学力がセラフィム4体を擁するCP0を軽く凌駕するという意味なら、海軍艦が何艇集まろうとも逃げられるように思うのだが、黄猿にはただ自身の能力ができること以上のなにやら確信めいた自信を感じさせる。
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それはそうと、
セラフィムたちの能力である。
どうやら彼らは人造人間。
まだ明言されていないがルナーリア族の身体的特徴と元王下七武海の海賊たちの個性を持つ。
加えて、くま天使は「ニキュニキュ」、ハンコック天使は「メロメロ」、ジンベエ天使は「スイスイ」の能力が使えた。
前回に引き続き「悪魔の実」を科学的にどう捉えるかという話で、
「自然系」の実は再現が不可能。
「超人系」は、実を食した能力者の血統因子が手に入れば、その能力を他者に人工的に付与することが可能で、セラフィムたちの能力は「それ」なんだと。
ベガパンクをして、「(現代)科学の最高峰」「この海の歴史上最強の“人類”」と云わしめた。
確かに、個々の元七武海たちと同等の能力を持ち、オリジナルよりも身体能力に優れ、命令に絶対服従するなら、司令系統にとってこれほど都合のいい存在はない。七武海制度をあっさり撤廃できたのも納得してあまりある話だ。
こうして命令者が反逆したとしても、そのロジックがはっきりしている分手の打ちようがあるしな。
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そして「動物系」の実は、金と手間をかければすべて人工的に作ることができるらしい。
モモの助が食べた、カイドウから抽出した実験データから作った人造悪魔の実を例に挙げても、幻獣種であっても再現は可能。
モモの助がカイドウの変化態と色が異なっていたように完全なコピーではないのか、サンプルとなる悪魔の実や能力者がいなくても製造できるのかは不明。
そうなると、ルフィが食べた「ヒトヒトの実 幻獣種 〜モデル:ニカ〜」もコピーが作れることになるので、あれだけ脅威ならば政府がベガパンクに作らせていないはずはないとも思うんだが…。
まぁ… ニカの覚醒、ジョイボーイの再来は、ただ悪魔の実食っただけで体現できるものではないんだろうけど。
ベガパンクはルフィの覚醒した姿を「白い戦士」と呼んでいた。これはオハラの歴史資料を紐解いた結果知り得る太古の伝承だと思う。
仮にベガパンクがこれまでにニカの実のコピーを作っていたとしても、覚醒できた例はないのだろう。
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えー…
そして扉絵シリーズにも触れとこうかね。
かつてベガパンクたちが所属していた科学者集団「MADS」。名前からして、科学の進歩の為ならどんな非人道的な犠牲も厭わないマッドサイエンティストたちかと思ったら、「世のため人のために集められた有望な科学者集団」なんだって。ホントかよ…。
そのメンバーには、ベガパンクとシーザーと…
右側がジャッジかな?眉毛がそれっぽいから。
そして左が… 誰!?
サングラスとかロックな容貌がクイーンだよなぁ… と思いながら、納得できない自分がいる。
リンリンの例もあるから、ちびっ子のときデブで、成長してスリムになったが、何かの反動でまたデブになるケースもあるんだろうけど・・・
あぁ! そういえばクイーンのボディはすべて機械じゃないか?という疑惑が一部であったな。
青年時代に痩せたこともあったが、クイーンの理想の体型はデブだったので、豊満な人造ボディを造ったとか…
まぁ…どうでもいいか… たぶんもう本編に出ることないしな…。
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一番右の後ろ姿はステューシーだよね。
この人って素性が全然わからないけど、エッグヘッドに来て「懐かしい」とか、自分でいろいろバラしてる。科学者だったとは驚きだ。
どうやらベガパンクの同士だったらしい。身体能力とコミュ力が高かったから政府にヘッドハンティングされたとか、そんなんじゃね。
たとえば銀座の高級クラブのママには、黒革の手帖でもあれば一夜にしてなることはできても、銀座の影のフィクサー、歓楽街の女王には一朝一夕でなれるものじゃない。その地位でビッグ・マムと信頼関係を築けるまでには、長い年月がかかったんじゃないかな。
何が云いたいかというと、ステューシーは見た目以上に高齢だろうなって話だよ。
MADSの後ろ楯(というかスポンサー?)が闇金王ル・フェルドだったというのも面白いね。
過去を知る相手は少ないに越したことはないもんな。ステューシーがホールケーキアイランドのドサクサで暗殺したのにも理由があったということだな。
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あとね、「この海の歴史上最強の“人類”」というベガパンクの表現なんだが、たとえばカイドウと戦ったとして、一対一ならセラフィムがカイドウに勝てるとはまず思えない。
カイドウが“人類”ではないかもしれないことを差し引いても、じゃあビッグ・マムに勝てるか?というと、それも確定的ではない。
これは、個体レベルの話ではなく増殖するかもしれない未来の可能性の話。セラフィムはその製法が確立された最強の戦闘生物。単に「最強」を競えば、現在のわれわれ人類を軽く凌駕する。
それを生み出したことを、ベガパンクはさて誇っているのか、それとも後悔しているのか。
ま・・・
大前提として、人造人間を“人類”と分類するべきか?もいう問題はあるのだが、その問いはベガパンクにとっては矮小な戯れ言に過ぎないのだろうな。
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そして余談だが:
ルッチを牽制するも、歯牙にもかけられず一撃で倒された「暴アトラス」が、「治療と修理を!」と云われている。
見た感じ100%造り物の「暴アトラス」に修理はともかく治療が必要ということは、生体部品が使われているということ。
はじめはベガパンクの頭脳の一部が移植されているのかと考えたが、そうでもなさそうだし、しかしどこかに生体部品は使われているのだ。
これはサテライトたちの生理的欲求を一手に引き受ける「欲ヨーク」ちゃんは当然そうであるべきだし、であれば「悪リリス」ちゃんもそうなのかもしれない。
「欲ヨーク」は食べる、排泄する、眠るなど、人が人として生きる上で逃れられない衝動的欲求を発散させるのが役目。その味覚や満腹感を感じる部分にこそ生体部品が使われていて然るべきではないか。
・・・えーと…イヤあの… その… なんだ… いわゆる人間の三大欲求のひとつである性欲を発散する部分も生身に違いないよねって… 言わすな!
「悪リリス」ちゃんの生身の部分はどこかなぁ…
もとい!
「暴アトラス」が治療と修理を!と云われてるのに、元は人間だったがベガパンクに改造されたバーソロミューくまは「修理中!」としか云われてなかったのがすごく切ないよね… と締めようと思ってたのに、何でこんなことに…