重症であることは間違いないが、思いのほか早く意識を取り戻した戦桃丸は、エッグヘッドに現存する50体のパシフィスタ:PX-Ⅲをすべて起動させ、CP0に同行してきた役人を捕獲した上で、何やら怪しい動きを見せる海軍の動向を全力で警戒した。
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海軍の研究所で造られた兵器を使い、自身も海兵の身分でありながら、ひとたび反抗を決めたからには、相手が一般社会通念的に絶対正義の世界政府であっても、一切の躊躇なく全力でベガパンク守護に動くのはまことに見事な決断力。
ベガパンクへの高い忠誠心(というか義理?)と、自らの信念の強さ、それに加えて政府への不信のなせるわざだ。
まもなくここにやって来る「オジキ」黄猿との関係の深さによっては戦桃丸の立ち位置が再度変わる可能性がある気もするが、ベガパンクとの関係性がまずあってこその「オジキ」だと思うので、このまま味方でいてくれることを切に望む。
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CP0のルッチとカクを無力化した時点で当面の敵は居なくなったも同じ。そうなると、次なる敵である政府なり海軍の援軍が到着するまでに一刻も早く脱出することが急がれるのだが、ベガパンク脱出のために立場も命も擲つ覚悟の戦桃丸をよそに、脱出の準備は捗々しくなかった。
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当のベガパンク本体ステラが消息不明になっていたからだ。それに加えてフロンティアドームが制御不能となっており、ドームを出ようとすれば本来防御用であるレーザー網に逆に攻撃されるため、実質研究層に閉じ込められた状況だ。
火急の課題はこの2点の解決。ドームのシステムの修理をしつつ、並行してベガパンク本体ステラを探さなくてはならない。
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さて、ここで僕が気になるのは、正シャカがボニーをほとんど気にかけていないことだ。
ベガパンク本体とサテライトたちは、一日一回知識と経験を共有させているので、この7人は同じ経験をし、互いが感じたことをすべて知識として知っていると考えられる。そこに各個人の個性が反映されて思考の拡張や仕事の最適化が図れるのだ。
性格が異なるのだから、同じ経験をしてもその後の思考や行動に各々で差が出るのは当然だが、唯一正シャカだけが全ベガパンクを統括したような物言いをする。
正シャカは本体が昔経験したことを「私」という主語で我が事のように語り、ドラゴンと個人的に連絡を取り合う関係。これは本来サテライトが本体を差し置いてするべきことではなく、ともすれば正シャカこそが本体をも含むベガパンク全体の中枢であるかのような振舞いだ。
それなのにボニーに関しては本体とは大きく異なり、くまの記憶に触れようともまるで気に留めていないのはどうしたことか。
僕はこの辺りに、本体ステラが本当の意味でオリジナルのベガパンクなのかどうかに疑いを抱いている。
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あぁそうそう、ベガパンク本体とともに(ルフィには)行方がわからなかったボニーは、ルームNIKYUに隠された「くまの記憶」に触れていた。痛みや疲労のときとは異なり、その全てが一気に流れ込んでくるわけではなく、その内容のあまりの凄惨さにボニーは途中で観るのを止めてしまった。
生半可な覚悟じゃ受け止めきれない… ってあんた甘いよ。幼少期のさわりだけでそんなこと云ってたら、くまの生き死にが懸かった決断の真相や「知ったらボニーが傷つく」内容なんて、とても正気で観ることなんかできませんぜ。肚ァ括れやボニー。
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研究層の各所を手分けして本体を探す麦わらの一味とサテライト。
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そのとき知ピタゴラスに忍び寄る怪しい影と、謎の爆発。これが件の「フロンティアドームを勝手に解除した“誰か”」と考えるのが妥当だが、可能性としてはブルーノとかカリブーやシリュウという考え方のほかに、サテライトの中に裏切り者がいるとか、8人目のベガパンクが居るとか、ステューシーがやはり味方ではないとかも考えられるかな。
もしベガパンク本体の失踪がその人物の仕業でないとするなら、ボニーの能力で「幼く」を通り越して嬰児や胎児、または卵や胚にまで遡ってしまったので小さすぎて見つからない… なんて可能性はないだろうか。 生命力が弱い上に自我が芽生える前まで戻ったら見聞色でも分からないだろうからな。この場合、時間が経てば元に戻るそうなので今はそのままの方が安全という見方もできる…かな。
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一方その頃、
政府とベガパンクの対立とその場にルフィが居ることを知ったモルガンズが、勝手な筋書きのトバシ記事を発信しようと画策したことに怒りを露わにする人物ひとり。
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なんと失踪したと伝えられていた我らがビビ王女だ。
驚いたことにワポルと一緒にモルガンズに匿われているそうだが・・・え!? いつから?
コブラの暗殺とその下手人がサボであると報じた同じ紙面でビビの失踪とアラバスタの困惑ぶりを世に知らしめたのは他ならぬモルガンズのはず。まぁ事実の隠蔽や捏造はお手の物だということか。
モルガンズの部下がビビに服を提供したそうなので、きのう今日の話なのかもしれないが。
しかしなんでまた、よりにもよってワポルとなぁ・・・。
イム様がビビの写真を持っていたことから、アラバスタが何らかの陰謀に巻き込まれたことはほぼ間違いない。そのせいでコブラは死に、ビビも姿を隠さざるを得なくなったのだ。
しかしなぜワポルが同じように隠れなければならないのか。それは偶然その場に居合わせて、何か政府にとって非常に都合の悪いことを知ってしまったんだろう。
悪ブラックドラム王国は「世界貴族認定」のお墨付きがある王国。しかし歴史も実績もなにもない。かつてのドラム王国の「王国株(なんてものがあるのか知らないが)」はサクラ王国に継承されたはずで、ワポルはただの財閥会長がある日突然何らかのきっかけで天竜人の後ろ盾を得て国王に再ジョブチェンジしたのだ。
僕はかつて、バギーが七武海に招聘されたことを例に上げて、世界政府が世界の海に適度に混沌を作り上げるために「御しやすいバカ」にあえて地位を与えているのではないかと推察したことがある。そうでなければ、こんな食べて・独占して・浪費するしか能のない男に価値はないからだ。(ワポメタルはそこそこ価値があるようだが)
そんなワポルが、世界政府にとってもはや放置しておけない男になったのは、単なる政府の方針転換もあるかもしれないが、やはり知ってはいけないことを知った可能性が極めて高い。
単身のビビを際立たせる対比のキャラとして、なるほど確かに因縁浅からぬワポルは適任かもしれない。
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あぁ ちなみに…
着替えたステューシーの煽情的な格好だが・・・なんだろう、この横乳も鼠径部もトータルファッションも、僕の好みじゃないな。
いや、別に彼女が人間じゃないからじゃないぞ。悪リリスちゃんはどストライクだからな(笑