サボが生還した革命軍では、トップ三人だけによる報告会が行われた。
今回、世界会議の場でサボたちに課せられていたミッションは大きく3つ。
・天竜人のシンボルを破壊することによる宣戦布告。
・可能な限りの奴隷の解放とくまの奪還。
・“神々の地”の食料庫の破壊。
それははぼ成功裏に終わった。
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それらと関連して世界各地では、革命軍の手引きにより12の国で革命が蜂起され8つの国で成功。その内、消滅したルルシアを除く7つの国は以後世界政府と関係を断ち、政府への上納金や資源の流通をストップ。
さらに世界各所で政府へ物資を運ぶ船を襲い、マリージョアを干上がらせる狙いのようだ。
現実問題として、170からなる世界政府加盟国の7カ国ばかりが年貢や資源を止めたとしても、それだけで世界貴族が即座に飢饉に瀕するまでにはなるまい。
そのためにまずは食料の貯蔵庫を破壊したのだが、資源運搬船を襲うのも、海軍の兵力とネットワーク以上の規模の兵量を革命軍が持たない限り、本来なら現実的な長期的効果がない。
今回は世界会議で「王下七武海制度」の問題点が提議され、制度撤廃の決定と同時に七武海の海賊討伐が海軍の総力をもって行われたために、政府船襲撃への対応が疎かとなったことが革命軍にとっては功を奏した形となったが、これは予め保証されたことではなかったハズ。
もし制度の撤廃を予見していたのだとしたらすごいことだ。
その革命実行力とシュプレヒコールを世界に発信することが主たる目的だったと思われるが、実際には想定以上の成果を上げたといえるだろう。世界会議における革命軍の狙いはほぼ成功したといえる。
ちなみにマリージョアの「森」は人工のものだというので、「赤い土の大陸」には作物が育たない可能性がある。ま、育ったところで神々の住む地で農業などさせることはないだろうから、どのみち食料は海外から輸入する必要があるのだろうけど。
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ここまでは、サボの帰還を待つまでもなく革命軍全軍ですでに認識できていること。だが、ここからの話にサボは軍隊長たちを参加させなかった。
その理由は、これから為されるサボの話が「聞くことで命を危険に晒される」かもしれないからだそうだが、これをどう捉えるべきだろうか。
まず考えられることは、政府と世界貴族が決して知られてはいけない都合の悪い“真実”を知ってしまったケース。それを知った者を、政府はどんな手段を使ってでも消そうとするであろうから、もうただの「犯罪者」では済まないということだ。
これは、まぁ間違いないだろう。そういう“真実”をサボは知ってしまったのだ。
しかし、その命の危険を軍隊長たちは厭うだろうか。彼らは彼らなりに、ドラゴンやサボと同じ覚悟で革命に臨んでいるはずだ。この扱いの別は彼らにとっても不本意で不満だろう。
となると、それに加えて、またはそれ以上の理由があると考えられる。
たとえば…
これまでの常識がまるで通用しない、聞くだけで頭がおかしくなるような現実を受け入れなければならない異常事態に面したとか、
または逆に、天竜人の目指す世界が実はとんでもなく“真っ当な”もので、捉え方によっては振り上げた革命の拳の降ろしどころを失うかもしれないケース。
他には、コブラ殺害についてサボに幾ばくかの非があったとか・・・
これまでの革命軍の一糸乱れぬ(?)結束が乱れ、内部分裂・組織瓦解の要因となりかねない複雑な情報だった場合など・・・
あぁダメだ。考え出したらキリがない。
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とにかく、軍隊長たちの覚悟をサボが軽く見ているということは決してなく、この情報を「どのように」「誰に」話すかを、一存では決められないくらい重要でレアなケースだということだ。
コブラ王の死に関して、なぜ被害者たるビビまでが姿を消さざるをえなかったのか。そこにサボが(実際には)どう関わっているのか。
モルガンズが、政府に阿りサボを下手人に仕立て上げておきながら、裏でビビ(とワポル)を匿っていることにはどのような意図が働いているのか。
そして何より「虚の玉座」に関する真実とは何か。
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回想シーンでは、天竜人の居住区「神々の地」を革命軍が襲撃しているのと時を同じくして、これからコブラ王が五老星に謁見する。その同じ頃、チャルロス聖親子がくまを従えてしらほしを我がものとするべく暗躍し、ビビはそれを警戒するも手を打てずにいる。コブラの随伴を認められなかったチャカとペルは、コブラの命によりビビと合流するようだが果たして・・・。
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以前の情報では「革命軍は、天竜人の居住区で世界貴族のシンボル「天翔ける竜の蹄」を破壊し「宣戦布告」をなし、藤虎・緑牛率いる海軍と戦闘となったが、天竜人の奴隷と化していたバーソロミュー・くまを解放して、全員逃げた」ということだったので、すべて同日に起きた出来事と考えるのがいいだろう。
チャルロス聖の行動は、社交の広場でしらほしを捕獲( )できなかったリベンジなので、わりとすぐの行動だと思ったんだが、どうもそうではなさそうだ。
後に7日間の会議を終えて帰途についたネプチューン王家の人々は、コブラやビビに起きた事件を知らなかった。
ガープがネプチューン王家を魚人島まで護衛する出港直後に事件は起きたと云うが、それだと革命軍はモーリーが作った地下空間に7日間も潜伏していたことになるし、チャルロス聖は7日間も自らの欲求を抑えていたことになる。どちらも考えにくいし、そもそも「開催期間中」の出来事ではなくなってしまう。
しかし世界会議の開催期間中にコブラの身に不幸があったなら、それをしらほしたちが知らないのは不自然だ。
となると、「神々の地」襲撃は世界会議の最終日、すべての日程を終えた直後の出来事とするのが妥当だ。革命軍はそれまで地下空間に潜伏し、チャルロス聖はずっと悶々としていたことになるが。
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世界会議に於いて死者が出たという衝撃的なニュースと世界会議の議決結果は、世界経済新聞に同時にニュースソースとして上がってきた。すなわちコブラの死が公になったのは議決結果が出たのとほぼ同時ということになる。
そしてそのときにワポルからタレコミが入っていることから、そのすぐ後にビビとワポルを保護したモルガンズが真相を聞き、ビビ失踪の飛ばし記事を書いたのだろう。
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また「神々の地」が襲われるという非常時、五老星は都合の悪い謁見などドタキャンできる名目がある。にも関わらずコブラの謁見は中止も延期もされることなく行われた。
これは、五老星にもコブラに会うべき何らかの理由があったと考えられ、それは800年前の確認なのか、プルトンの情報を問いただしたいのか、それともある種の警告や恫喝なのか。
イム様がアラバスタを標的に選んだことは間違いないので、その下準備というか、この謁見の機会がまさに計画執行だったのかもしれないし、ともかく謁見はコブラが望んだものとはならなかったのだろう。
それがどのようにしてサボに擦り付けられたか。サボは公に姿を現す機会がほぼないので冤罪をでっち上げるのは政府にとって造作もない。
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僕はただ擦り付けられたのではなく、その場で何らかのやり取りがあったうえでコブラの遺言を託されているような気がしているのだけれど、果たして・・・