かつてのゴア王国の暴挙に倣い貧民街を焼き尽くそうとしたべコリ王を、昂る感情のままに打ち倒したくまは、民意に担がれてソルベ王国の王位に就いた。
と云っても、くまに国政など仕切れるはずもなく、実質的な政務はべコリの前の王だったブルドッグ氏が執り行っていた。
このブルドッグという先々代王は、清貧の志豊かで民からの信頼もそれなりに厚く、しかし自分はあくまでくまの補佐役であると堅実で控えめ。いったいどのような経緯で王座を退きべコリが取って代わることになったのかとても気になる。
ところで、くだんの「コニー王太后」はブルドッグの母親である。
ということは、ブルドッグの父もまた国王だったことになる。何代続いたのかは知らないが、ブルドッグは世襲で王位を継いだのだ。
ただ、見たところブルドッグはかなり高齢。それを理由に16年ほど前(現在からは22年前)に親戚筋に王位を継承させたとしても不自然ではない。
その“親戚筋”に元々いたのか入婿として入り込んだのか、べコリがいたのかもしれない。後者の場合、後ろで糸を引いている黒幕の存在を感じるな。
もともとソルベ王国には裕福なエリアと貧しいエリアが存在するが、ブルドッグ時代の清貧を懐かしんでいるのは貧民たちなので、たとえば貴族階級の者たちがブルドッグの控えめすぎる政治に嫌気が差して、自分たちに都合のいい“王位継承者”を送り込んだ可能性は大いにあるかな。背後には天竜人がいるよね、間違いなく。
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その後すぐに、べコリはくまの悪評を撒き散らし、海軍の軍艦を引き連れて復讐に現れた。その軍勢はくまひとりによって全滅させられるのだが、このことが「暴君」たるくまの悪しき風評を世界中に信じさせる要因となってしまった。
そうなったときのことを考え、くまは王位を放棄しブルドッグに王への復位とボニーの身の安全を頼んでいた。
「だがそうすればおれは犯罪者だ」
いやいや・・・くまさん
あなた、奴隷か死しか選べないバッカニア族で、脱走した元奴隷で、革命軍の幹部で、世界政府加盟の王国を転覆させてるでしょ。心情的にはすべて正常な倫理に則っているつもりだろうけど、世間的にはとっくに“数え役満”ですがな…
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そうして海へ逃げたくまは、単身で世界の情勢を調べながら各地でボニーの病気の治療法を探していたんだが、海賊として指名手配されるようになっていた。
久々に会ったドラゴンからは
会わねェうちに「国王」で「暴君」で「海賊」か… 周囲からすればまったく話題に事欠かないのだろうが、それは人々の幸せを願う真っ直ぐでやさしいくまが、革命軍を抜けたあとも極限に身を置き続けていたという証左だ。国を背負わなくていい今なら革命軍に戻ることも考える余裕があるかもしれない。唯一最大の問題であるボニーの治療さえどうにかなれば。
そうしてドラゴンにベガパンクへを紹介してもらい、くまはボニーを連れてエッグヘッドへ。
ところで
「サボやコアラたちも会いたがっている」と名を出すということは、当然くまと面識があるということなんだが…
ボニーが青玉鱗に発症したことでくまが革命軍を抜けたのがいつ頃かと考えると、ボニーの姿を見る限り2〜3才っぽい。ということは10年前〜9年前だ。
12年前にドラゴンに拾われたサボは、記憶を失くしていたが10才にして革命軍に入る意思を明確にしていたし、それまでも格闘術の素地はできていたので、2〜3年にわたってくまといい修行ができただろう。サボは前回稽古をつけてもらう様子が描かれていたな。
でコアラはというと、革命軍に合流したのが9年前(当時14才)とされている。
もし、くまが抜けたのが10年前だったとしたら、コアラとは会ったことがないハズだ。
ということで、くまが革命軍を抜けたのは9年前と勝手に断定。ほぼ入れ違いでコアラと接する機会はそんなになかったと思うけど、14才にしてハックの下で魚人空手の師範代になってたんだから、くまとしてもコアラのことは印象深かったのかもね。
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〜閑話休題〜
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ベガパンクに会いに来たくま
パンクハザードの爆発事故を受け、新しく移った研究所が今いる第8研究所であり、そこが後にエッグヘッドになるそうだが、たしかパンクハザードの“事故”って4年前のはず。王位を返上して海へ逃げたのが6年前なので、くまは世界中を二年間も放浪していたことになるな。
となるとボニーは8才になっているんだが、目に見える青玉鱗の症状は2年前とそんなに変化ない。医者の見立てだともうあと余命2年のはずだが。
ベガパンクに「よくここまでの拡大で留めたな」と云われていることから、対処が適正だったので症状も重篤には至っていない、だからこそ「治る」とベガパンクも断言できたのだろうな。
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出会ったふたりは互いに驚く。
そういえば現在のボニーはサテライトの存在を知らなかったし、ベガパンクの脳が切り離されてクラウド化していることも知らなかったっけ。
2年前にはボニーは海賊としてすでに名を挙げていたから、この4年前からの2年の間にボニーは完治し、しかしくまとは会うことができなくなり、ベガパンクを憎むようになる。
ベガパンクの脳のクラウド化とサテライト誕生はその後、ここ2年の出来事ということになるな。
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さて、ベガパンクは治ると断言したが、ボニーの治療には莫大な費用がかかる。
そこで、くまがバッカニア族であることに目をつけたベガパンクから素敵な提案が。
血液を提供し、構想中の「クローン兵」プロジェクトの“素体”となるならば、ボニーの手術費はロハでいい。
くまはボニーの命が助かるのなら「悪魔に魂を売る」ことさえ厭わなかったが、それに加えてベガパンクが造り出す未来の治安維持軍がくまの姿で人々を救うことにささやかな希望を得たため快諾。
結局「バッカニア族」の血液がどう特殊で、なぜ政府に忌み嫌われているのかは言及されなかったが、この実験体への申し出がどういう未来を導くことになるのか、このときはベガパンクもくまも解ってはいなかった。
このときすでに、ベガパンクの考える「科学が造り出す未来の可能性」と、ベガパンクを抱える世界政府の考える「科学(兵器)の有用性」に重大な乖離が生じていることに、ふたりは気づいていなかったのだ。
このあと、血液と肉体情報を提供しただけのはずだったが、なぜだかくま自身の肉体が機械化され、自我さえも奪われることになる。
完治したボニーはおそらく人質に取られ、くまは政府の傀儡として王下七武海に名を連ねることになるのだろう。風評のみで「海賊」という実績も自覚もないままに・・・。
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さて、余談となるが・・・
僕がずっと気になっていた“コニー王太后”について。
コニー王太后はソルベ王国の先々代王ブルドックの母親。「王太后」とは先代の王の妻のことなので、ブルドックの父である先々々代王の妃ということになるな。
6年前のこのときに「元王太后」と呼ばれ、現在「王太后」と呼ばれているということは、6年前には「先代」ではなかったが現在は「先代」だということ。つまり、ソルベ王国においてはブルドック王が正式に復位し、現役ということだ。
ただ問題はそこではなく、世界会議でボニーがなりすましたコニーが、門番の役人にコニーと認識されていたことだ。
御存知の通り、ボニーは「トシトシの実」の年齢自在人間。自分や他人あるいは物質の経年を操作できるが、他人に変身できるわけではないため、マリージョアで見せたコニーに変装した姿は単にボニーが老化した将来像であることになる。
だからこそ現在のソルベ王国王家との血の繋がりが疑われたのだが、まったくの赤の他人であることが明らかになった。
しかし年齢操作の練習としてたわむれに老女と化してみせたボニーの姿は、ボニーを溺愛するくまでさえコニー本人と見誤るほどコニー王太后に似ていたそうである。
いやいや・・・「偶然似ていた」というのはズルいよオダッチ・・・
だが伏線回収のためにそれをちゃんと描いてくれたことには感謝する。
6年前にすでにシワシワの爺ィだったブルドック。その母親コニーが今も存命って、本物のコニー王太后、今何歳なんだろうね・・・え? どうでもいい・・・?