僕は幼少の頃、浄土真宗の日曜学校へ通っていた。
浄土真宗は結構古くから少年教化に力を入れていて、地域にもよるとは思うが、家に仏壇があって菩提寺が真宗のお寺なら日曜学校に通う子供は一定数居たもんだ。
そこでは親鸞聖人の教えや経文を子供にもわかりやすい言葉に変換した「せいてん」を学び、読経などの「おつとめ」をした。
「念仏」ってわかる?
“念仏”とは字のごとく“仏の名を念じること”。特定の仏様や経文に帰依しますと誓う文言で、「御題目」「御讃題」など宗派によっては呼び方が異なったりもするが、浄土真宗に於いてその言葉は「南無阿弥陀仏(南无阿弥陀佛)」である。
だいたい念仏は、数珠(念珠)に手を通し合掌してひたすら唱えるものなのだが、日曜学校で唱えられる「仏教讃歌」の中に「念仏」というタイトルの唄があった。
子供向けに簡素化されており、歌詞は「なもあみだぶつ」のみ。
シンプルながら厳かなメロディで、ゆっくりと
な〜も〜あ〜み〜だ〜
あ〜あ〜あ〜
あ〜み〜ぃ〜だ〜
な〜も〜あ〜み〜だ〜〜ぶ〜〜つ〜〜
と唄う。
近頃は同じ「念仏」というタイトルの、より荘厳な別の仏教讃歌が作られており、検索するとそっちばかりが出てくるんだが、そうじゃない方。
知ってる人いるかなぁ…?
龍谷や相愛みたいな真宗系大学の学生さんならあるいは…。
ってところで話はひとまず置く。
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転じて次はキリスト教系の讃美歌の話。
季節的に街を歩けばどこでもクリスマスソングが流れている。
山下達郎とかWHAMやマライアじゃなくて、商店街なんかにBGMで流れてるような「ジングルベル」とか「もろびとこぞりて」みたいな童謡・児童唱歌に混ざって、ここ数年になってよく聞くようになった(と僕は認識している)曲がある。
それが「GLORIA」っての。
たいていの人が聞いたことあると思う。日本語では「荒野の果てに」ってタイトルがついてて、これ讃美歌なんだってよ。
僕が仏教徒だからこれまで触れる機会がなかったということもあるだろうけど、子供の頃には街でこんな曲聞かなかった気がする。
いつ頃から聞くようになったのか、それとも昔から一般には認知されていたのか、とても興味があるけどそこはポイントではなくて、子供の頃の記憶に無かった分、僕としてはどうしても「クリスマスソング」としての座りが悪いわけだ。
そしてこの
グロ〜 オォォォォ〜 オォォォォ〜 オォォォォ〜リア
という独特のフシ回しに続くラテン語の歌詞の
イン エクセルシス デ〜ェ〜オー
の部分が、前段で説明した「念仏」ラストの
な〜も〜あ〜み〜だ〜〜ぶ〜〜つ〜〜
と、なんと同じメロディなんだ。
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先日、ヨメと一緒にスーパーに行ったときに「GLORIA」が流れてて、くだんのメロディに乗せて僕はつい「な〜も〜あ〜み〜だ〜〜ぶ〜〜つ〜〜」と口ずさんでしまったわけだ。
クリスマスソングに乗せて念仏を唱える者など普通はいない。
そしたら、ヨメが真っ赤な顔をして(恥ずかしかったらしい)その歌詞で二度と唄うなと怒られてしまったよ。
考えてみれば、そのメロディは譜面にすると「ド・レ・ミ・ファ・ミ・レ・ド」というごくごく単純なシンプル極まりない旋律で、童謡「かえるのがっしょう」の歌い出しやサビのゲロゲロゲロゲログワッグワッグワとも同じだし、きっと凄くありふれたメロディなのだろう。
だからこそ、“なんか最近よく聞くけどよく知らない曲”のキャッチーなメロディに、“幼少期から心と身体に染み付いている歌詞”がつい乗ってしまっても仕方ないと思わないか?
なぁ、そう思わないか!?
「きわめてどうでもいい長文」でした。