エッグヘッドにやってきたのは、青鬼のドリーと赤鬼のブロギー率いる伝説の巨兵海賊団。
巨兵海賊団については「まめ知識」で触れられている通り、ふたりの船長が他愛のないケンカに端を発する、しかし戦士のプライドを掛けた命懸けの決闘を100年間続けていたため、その間ずっと休業状態だった。
ふたりを探して海に出た部下のオイモとカーシーは、政府に騙され使役されていたところを、ルフィたちと出会うことにより真実を知り、一時的に行動をともにして友情を確立。その後、一度エルバフに戻り、ふたりの船長を迎えに行ったと思われる。
100年続いたドリーとブロギーの決闘は、バロックワークスの邪な謀事の影響もあって一応の決着を見たこと、その謀事を企てたMr.3たちへの制裁が済んだこと、新たな友(ルフィたち)と出会い、友を島から送り出すために愛用の武器を失ったことなどを理由に、ある程度溜飲が下がっていたのだろう。そうでなければ迎えが来ようとも決闘をやめる彼らではなかったはずだ。
さて、ふたりの船長が帰還したならば、彼らの生活は元通りだ。生まれついての戦士の種族が稼業を失ったのち100年間暮らしてきた生活スタイルもあろうが、古くからの“血”には抗えない。「巨兵海賊団」は何事もなかったかのように“当たり前”に復興したのだろう。
おそらく今エッグヘッドに来ている「巨兵海賊団」は、ドリーとブロギーの帰りを待ちわびた100年前とほぼ同じメンバーなのだと想像する。
彼らの留守中に生まれ育ったハイルディンなど新しい世代が今回帯同していないのは、いわゆる「世代間ギャップ」と云うやつで、海賊稼業から離れ、傭兵などの名目で外界を経験するうちに、100年前とは異なる人生観に開眼した者たちが興したからこその「“新”巨兵海賊団」なのだと思う。彼らとはエルバフに到着すれば再会できるだろう。
│
ボニーは念願の…というより「伝説」「寓話」でしかないと考えはじめていた「ニカ」を実際に目の当たりにして感涙。
ルフィは先程のボニーのへなちょこパンチを見ていたらしく、パンチはこう打てと、そして退路を開くべくサターン聖をぶっ飛ばした。
│
ちなみに、ボニーがへなちょこパンチしか出なかったとき、ルフィはニカ化(ギア5th)が解けてメシ食うのに必死だったはずだが…ちゃんと見てたんだな。
│
この隙に…と撤退を試みる一同に立ち塞がる大きな問題がふたつ。
ひとつはベガパンクが重傷で動かせないこと。ベガパンクは医学についても知識が深いため、今動かされると死んでしまうことが自分で分かるから先にゆけと云う。
こんなところにひとり残したとて死ぬに決まっているんだが、ボニーとくまを先に逃がすための方便なら「わしなら大丈夫」とか云うべきではなかったか…。
│
もうひとつの問題は黄猿である。一同の行く手を遮り、動けないし動かせないベガパンクに向けてレーザーを放つ。が…
この黄猿の表情から察するに、はじめての経験なのだろう。恒例の「エネル顔」じゃないことが逆に新鮮だ。
黄猿の能力は「光」。身体を光子と化し光速で動き、光を集束させて敵を攻撃する。すなわちその動きは光速だ。
アニメを観る限りでは実にゆっくりと技名を詠唱し「ピカー」と溜めも長いのだが、それらはあくまで演出。脳内をはじめあらゆる神経伝達物質が光速で体内を巡るので、考えてから行動に移すのも、技を出すのも、打ち終わるのも常人よりケタ違いに早い(速い)はずだ。それこそルフィやカタクリのように近い将来を予見でもできない限りその攻撃を避けることも備えることもできない。
だが、その黄猿のレーザーをサンジが弾いた。光速の攻撃に反応し、立ち塞がり、蹴散らしたのである。サンジ曰く「愛は光より強ェ」だそうだが、まぁ常識的にありえないことである。
サンジは「見聞色の覇気」が使えるし、黄猿がベガパンクを狙っているのは明らかだったので、先読みして間に立つことはできたとしよう。問題は「光」をどうやって蹴散らしたか…である。
パッと考えつくのは「水」と「大気の歪み」…かな。レーザーは水中で激しく減衰するので殺傷力を失うだろう。また空気を強烈に圧縮するなどして大気の密度に変化を生み出せばレーザーは直進しない(かもしれない)
AKIRAで鉄雄がやってたやつな。
後者はバーソロミューくまの“熊の衝撃ウルススショック”で可能にも思えるが、今のくまにそんな動きがあればさすがに気付く。
それに、レーザーが威力を失う条件なんて黄猿だって理解しているだろうから、サンジのこれは科学的に理解できない方法で為された、と考えるのが妥当である。
サンジがまた一歩人間から離れてゆく…
…いや、人間サンジがまたしても科学を上回ったと考えるんだ!
このカラクリは、おそらくSBSでも解説されず、「愛のパワー」で押し切られる気がするなぁ。
│
さて、ルフィにぶっ飛ばされたサターン聖。
そこに現れたのは…
黒ひげ海賊団のオーガーとデボン。
海軍よりも先にエッグヘッドに到着していたようで、ここで何をしていたのかは不明。サターン聖の脚に軽くタッチして「任務完了」らしいが、それがすべてではないはずだ。
おそらくエッグヘッドが大きな戦火に巻き込まれる前に(もしくはそのドサクサに)ベガパンクの研究成果のいくつかを失敬するつもりだったのだと思う。後々黒ひげ海賊団がセラフィムやマザーフレイムを運用するかもしれないな。
│
そして肝心の「タッチで任務完了」についてだが、
デボンは「イヌイヌの実 幻獣種 モデル:九尾の狐」の能力者。九尾といえば美女に化けて国を滅ぼす妖怪だそうだが、本作中ですでに描写された能力は「変身」だ。
もしこの変身に条件付がありそれが「右手で触れること」であるならば、デボンの悪魔の実は「マネマネの実」の類似種または上位互換の可能性がある。
今後、サターン聖になりすまして何かをするつもりなのだろう。
ただ、これが最初から任務に含まれていたのだとしたら、通常ならありえない「五老星が最前線まで出張ってくること」を予見したことになる。これは地味にすごいこと。
とはいえ、バスターコールを超える規模の大艦隊が派遣され、ベガパンク側も抵抗するなら、パシフィスタの“命令権”は戦況を大きく左右するため、五老星が地上に降り立つこと自体は予想できない話ではない。
おそらく他に何らかの目的があって、五老星が出てくるかもしれないから出会ったらタッチしてこいとでも命令されたんじゃないだろうか。
│
なにやら黒ひげ:ティーチの正体にも繋がりそうな問答をサターン聖と交わして、ふたりはさっさと撤退。
現状で政府は黒ひげが最終的に何を企んでいるかをまるで把握できておらず、まだまだ利用価値が高く表立って反抗も敵対もしていないベガパンクよりも危険度が低いと考えているということになる。
まぁ、黒ひげは昔から実に用意周到で、大きな計画実行の瞬間までその真意が読めない慎重な男だからな。処分に二の足を踏むことも分からないではない。
とはいえ、黒ひげを王下七武海に招聘し速攻で裏切られた赤っ恥も、インペルダウンから極悪囚をこぞって脱走させられた不祥事も、頂上戦争で白ひげの首を横からかっ攫われた不名誉も、いずれも「問答無用で討伐すべし」と考える決定打にならないということになる。おめでてェな。
こうなってくると、その特別な“血筋”とやらが、政府として処分を躊躇するに値する存在である可能性が出てきたな。
│
そして、エッグヘッドを立ち去ろうとするオーガーとデボンに必死に追いすがる影ひとつ。それが…
カリブーがかねてから云っていた「あの人」というのが黒ひげ:ティーチのことだったらしい。
カリブーはティーチに憧れて海に出たという。ルフィでいうところのバルトロメオの立ち位置に該当する。
ルフィたちとの同行で盗み聴いた情報を手土産に、うまく取り入れたらいいね。
まぁ、カリブーは麦わらの一味に一定の恨みを募らせてるし、ちょうどいい気もするよね。
│
まぁ…なんだ
僕的に今回最大のビッグ・イシューは「うろたえる黄猿」だったな。