ボニーが「ニカ」のように変態した。
「ニカ」に変容した自分の未来を具現化させたのだ。
マーズ鳥は、そんなものは「トシトシの実」によるまやかしだと断ずるが、これがあながちそうだとも云いきれない。
ギア5th(すなわち「ニカ」化)を発動したルフィは髪色や着衣が白化し、体躯も巨大化する。そしてその能力として宙を自在に舞い、物理的にはありえない変幻自在な攻撃をする。
「あたしが一番自由な未来」を体現したボニーは、これまでの歪んだ未来ディストーションフューチャーとは異なり、姿や大きさだけではなく着衣も「ニカ」らしく変化しており、自由な=好きな格好に眼の前のルフィを手本に「ニカ」らしさを付与した見た目になっている。
そればかりか、ルフィと同様に宙を舞いゴムのような変形を使って攻撃をしている。
政府が全力で隠蔽してきた「ニカ」については、「ニカ」そのものが都合が悪いのか、「ニカ」の悪魔の実の能力者の存在が都合が悪いのかは、現状ではいまいちわからない。過去にジョイボーイの例があるので能力者がマズイことは間違いなさそうだ。
「ニカ」が登場しただけで血湧き肉躍る巨人族やバッカニア族においては、「笑いながら」「自由に戦う」「ゴムのような」「白い戦士」が複数存在すれば、その士気は爆上がりである。
それが「まやかし」であろうとも、戦況に与える影響は限りなく大きいのだ。
ただ「ニカ」の能力を具現化するのは半端なく消耗するようで、もともと長く保たない“歪んだ未来”ではあるが、ほぼ本気パンチを一発打っただけでボニーは動けなくなってしまった。
これがルフィと同じように食えば回復するならいいが、おそらくはそんなことはあるまい。今後は使いどころが難しいだろう。
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マーズ鳥を遠くへぶっ飛ばしたと思えば、続いて十ピーターワームとウォーキュリー猪が迫りくる。
ルフィひとりで相手をしきれず、船に突進するウォーキュリー猪に立ち塞がったのは・・・
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それはそうと、
こうして浮上してくる前に、海中に沈んだ鉄巨人の中で配信電伝虫が目を覚ました。おそらくぶちかましか海面激突の衝撃でどこかにぶつかって気を失っていたのだろう。よく死ななかったな。
ヨーク曰く
配信電伝虫の「メモリ」と「念波」は別回路なのだと。
要するに、録画映像は機械的にずっと再生され続けているが、それを生物的な能力で念波に変換して送る電伝虫が意識を失っていたために送信が途絶えていた、ということだ。
とても重要な部分を伝えそこなったようで、結局「D」については何ひとつ新しい情報を得ることはできなかった。今後もまだ配信は続くのだろうか。
今回また13ページしかないので、あんまり書くことないな・・・
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最後にステューシーについて。
ベガパンク本人ステラが死んだ時点で自身の生きる意味を見失い、一度はこの場で果てる決意をしたステューシーだったが、エジソンの説得により生き残ることを選択した。
エジソンは、ステューシーに自分たちの都合でCP0を裏切らせたことを同じベガパンクとして詫びていたが、そういう配慮に最も欠けていたのがステラだった。
こういう所、ステラは純然な“マッドサイエンティスト”であり、自らの手で“クローン”として生み出したステューシーを『人』として扱っていないきらいがある。
いや、そればかりか、そもそもベガパンクは人間の感情にさほど興味がないようにも思えるな。
彼の発明は人々の生活を豊かにしてきたがそれは結果に過ぎず、彼自身は人々のために研究開発をしてきたか…というと少々疑問だ。
世界を未来へ導く研究も、世界中に無償のエネルギーを行き渡らせる夢も、自己陶酔と自己満足に過ぎないんじゃないかな。
くまやボニーを憐れに思ったのは自分が密接に深く関わったからという特殊なケース。これによって彼にも変革が訪れ、今回の政府への裏切りにつながったとも考えられる。
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ステューシーはカクたちのことを「友達」と認識していたか。
「友達」と表現したのはエジソンだ。ステューシーがカクたちをそう思っていたかと問われれば、僕には違和感を拭えない。
ステューシーは任務として長期に亘り「闇の歓楽街の女王」として君臨していた。その場に気を許せる「仲間」や「友」がいたとは思えないし、本来諜報員という立場上、同じCPの諜報員同士であろうとも簡単に心を許すかどうかも疑問が残る。
ルッチがカクを相棒と呼び、その助命をマーズ聖に嘆願したことは相当に意外だったが、彼らは幼少よりずっと共に育った仲。ここ2年で同僚となったステューシーとはわけが違う。
それでも、私利私欲を捨ててひたすら任務遂行のみを追求する彼らとは、余計な私情が絡まない分付き合いやすかったはずである。同じ方向を向いている内は互いに信頼できる間柄だっただろう。
おそらく「そういう」人間が、ステューシーには他にいなかったのだ、ベガパンクたちを除いて。
今、すべての拠り所を失ったステューシーは、精神的に弱っている。
自分の中に「人間らしさ」が芽生えていることを自覚したことで、さらに冷静ではいられないのかもしれない。
その現状をさわりだけでも感じてしまったカクは、彼女の境遇に同情している。しかし手を差し伸べることがステューシーの今後のためにならないことは分かりきっているし、これ以上感情を揺さぶられたくないから突き放すのである。
ルッチもカクも、ずいぶんと人間らしくなったね。
さて、失意のステューシーはどこへ行くのか。
彼女には明晰な頭脳と類まれな身体能力に体術、潜入捜査に必要な人心掌握力・高いコミュニケーション能力があるので、どこへ行ってもそれなりに何でもできるはずだ。しかしすべてを忘れてひっそりと隠遁生活というのは無理だろう。
いずれベガパンクの意に沿う形で戦線に復帰するだろう。どの勢力に参戦するだろうね。
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あと、