サイトアイコン 我思う故に・・・新館

ONEPIECE 1125「何をもって死とするか」

ツワモノどもが夢の跡──

ルフィたちが去ったエッグヘッドでは、海兵たちが徐々に目を覚まし大反省会がはじまった。


中将9名を擁したバスターコールで麦わらの一味とボニーを取り逃がしたことを激しく悔いているが、意外なことにサターン聖からの叱責はない。
まぁ、麦わらの一味とボニーと巨兵海賊団ははじめの想定になかったし、ベガパンクの始末、パンクレコーズと融合炉の確保という当初の目的は達成できた(と思ってる)ので、まぁ良し、という落とし所なのだろうか。


むしろ、ベガパンクの告発配信を許してしまったことこそが最大の失態だと、サターン聖が少しヘコんでいるのは、五老星の中でも自身がもっともベガパンクと関わりがあり、その人となりもよく知っていながら(虫けらの気持ちを察しろというのが土台無理な話ではあるが)、この事態をまったく想定できなかったことに多少なりとも負い目を感じているのかもしれない。

さらにルフィの脱出の手助けをした鉄巨人を、かつて秘密裏に確保し研究者に渡したのが自分だったのだから、海兵たちの能力不足を一方的に責める筋合いはないというものだ。


だからといって、追求していいことと悪いことはあるようだが。

そうこうしている内にエッグヘッドの研究所に異変が・・・。


何者かが島雲製造機“雲フト”を操作し、人類の未来500年の叡智:ベガパンクの頭脳と蓄積されたナレッジバンクであるパンクレコーズを強奪。


ヨークは犯人をエジソンと断定したが、その中にはシャカ・ピタゴラス・アトラスの意思も同居していた。



彼らサテライトたちがどのような技術、どのような方法論で生み出されたかがイマイチよくわからないのだが「全員がまぎれもなくベガパンク」だというのだから、きっとステラのクローンで、それを培養もしくは成長の段階で6種類のパラメータを歪に尖らせた性格に調整したのが彼らではないかと僕は思っていた。

しかし、頭部を撃ち抜かれたシャカ、爆散したピタゴラス、アトラスがそれぞれの人格を持ち得たままでエジソンのボディに共存している。
彼らのボディパーツが破損してもすぐに換装可能なことは既知の事実だが、彼らが生身の“脳”をも必要としないのだとすれば、それは人造人間でもサイボーグでもなく「アンドロイド」または「ロボット」である。

いや、そうじゃないだろ。身体は造り物でもその頭脳や情熱には熱い血潮が通っているはず、そうでなければベガパンクを名乗るに値するとは思えない。

となると答えはひとつ。
彼らは等しくステラの脳ミソを共有しているのだ。
同じステラの脳ミソをベースに、思考や感情のバイアスに科学的に差異を持たせた各個体が彼らなのだろう。

その理屈はもちろんヨークも知っているので、政府の手に渡りアクセスを遮断または独占される前にステラの頭脳(すなわちパンクレコーズ)を空に浮かせたのに違いない。

ボディパーツは予備があるし、ソフト面も問題ないなら、いずれ彼らは4人に戻るんだろう。その方が効率がいいからな。

だが気になることがひとつ。そこにステラがいないことだ。
パンクレコーズに現存する頭脳をベースとした同位体が復元可能ならば、思考・感情になんら手を加えない人格を遠隔複製することぐらい当然造作もないはずだ。

それに「みんな生きている」と云ったリリスの言葉と矛盾するからには、彼らとは形を変えて「生きている」可能性があるな。
ひょっとして「トチロー」的な・・・?

さて、マリージョアで天竜人のクソどもが食糧不足に不満をたれているのはまったくどうでもいいが、パンゲア城の権力の間には新たな火種が灯っていた。


「神の騎士団」を率いているはずのフィガーランド・ガーリング聖が突然不遜な態度で現れ、サターン聖の定位置のソファーにドッカと腰を下ろしたかと思えば「今日からご同星」だという。
イム様から“科学防衛武神”を拝命したらしい。


では、その頃くだんのサターン聖はというと…


突然黒い煙に包まれ、苦しみ、中将たちの目の前で骨になって消えた。


イム様、たいそうオカンムリ。
まぁ… 今回の騒動で致命的な失態たくさんしちゃったからな。なんらかの責任を取らされるとは思ってたよ。想定の範囲内。

だが、イム様がもっとも“おこ”なポイントは、
ジョイボーイをみすみす逃がしてしまったこと。・・・なんですと?

あの場に“ジョイボーイ”なんて居なかった。

居たのは、ジョイボーイと同じ「悪魔の実」を(たぶん)食ったが、ジョイボーイもニカも空白の100年のことも何も知らないルフィと、ジョイボーイの覇気だけを抱き続けた鉄巨人だけだ。

イム様がもっとも狼狽えたのは、鉄巨人がジョイボーイの覇気を解放したとき。
しかしその鉄巨人はジョイボーイの覇気を解放してそのまま停止した。
ということは、イム様激おこの“ジョイボーイ”とは、ルフィのことを云っているわけだ。

サターン聖が申し開きしている「あそこまで掴み所のない力」とは、五老星の変身を強制解除し、魔法陣を介しての転移をもリセットした、ジョイボーイ本人仕込みのブービートラップのことではなく、常識を翻弄し物理法則をまるで無視したルフィの“自由”な、されど五老星を倒すほどの決定力には欠けた戦いっぷりのことを指していることになる。

サターン聖、結構最後までルフィ(とボニー)逃がすまじと頑張ってたけど、ふたりのダブルニカパンチにやられちゃったんだよな。

まぁ、ニカの奇想天外な能力を大勢の海兵たちが見ちゃったし、「ゴムゴムの実」の能力者のはずのルフィになぜあんな戦い方ができるのか疑問に思う海兵も出てくるだろうね。

これまで徹底的に封殺してきたニカの伝説に関する風説が流布されるのも時間の問題となってくれば、やはりルフィを逃がすべきではなかった・・・となるのかな。
ってか、イム様の中ではもう「ルフィ=ジョイボーイ=ニカ」という認識なんだな。
こりゃあ懸賞金どこまで上がるか分からんで・・・

ところで、


サブタイの「何をもって死とするか」とは、1123話において死を覚悟したベガパンクたち3人の強い決意だ。

今の“生”を捨てて、別の姿で生き続けることを指しているわけだが、ステラだけは意思を持った生命体として存在し続けるかどうか現状では不明だ。
ただ、その頭脳を悪意が届かない場所に残すことができたので、ベガパンクがこれまで積み重ねてきたことは無駄にならないし、その意味と価値を理解できる人が現れるまで受け継がれることになる。ベガパンクの未来への希望や強い意思は消えたわけではないということだろう。


これって、まんまロジャーだよな。


残り数秒わずかに灯った“命の火”を、奴は世界に燃え広がる“業火”に変えた

ヒルルクも云った


人はいつ死ぬか。それは人に忘れられたとき。
その意思が受け継がれてさえいれば、当人が居なくとも目的は叶う。

ベガパンクもまた、未来への希望を後の人類に託したのだ。

深い!深いよ!オダッチ・・・

モバイルバージョンを終了